氷上の王ジョン・カリーのドキュメンタリーに町田樹が字幕監修・学術協力で参加
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「氷上の王、ジョン・カリー」ポスタービジュアル
“スケート界のルドルフ・ヌレエフ”と評された英国のフィギュアスケート選手、ジョン・カリーのドキュメンタリー「氷上の王、ジョン・カリー」が2019年初夏に公開。去る10月6日にプロスケーターを引退した町田樹が、字幕監修および学術協力を担当することがわかった。
カリーはバレエのメソッドを取り入れた華麗な演技で人々を魅了し、1976年のインスブルックオリンピックフィギュアスケート男子シングルで金メダリストを獲得。しかしマスコミが真っ先に伝えたのは彼のセクシュアリティで、同性愛が公的にも差別されていた当時の世界で論争を巻き起こすことになった。本作では競技者としてのカリーだけでなく、彼の栄光の裏にあった深い孤独を、パフォーマンス映像やインタビューを交えて明らかにしていく。ディック・バトン、ロビン・カズンズ、ジョニー・ウィアー、イアン・ロレッロらスケート関係者も登場し、「パンターニ/海賊と呼ばれたサイクリスト」のジェイムス・エルスキンが監督を務めた。
町田は本作について「私はその華やかな舞台の裏で彼が一人抱えていた葛藤を目の当たりにした時、このスポーツを取り巻く諸問題が、未だ根本的に解決されていないことに愕然とするのである。私たちは、今もなお多くのスケーターがカリーと同じような困難を抱えて氷上に立っていることを、決して忘れてはいけない」とコメントしている。
「氷上の王、ジョン・カリー」は東京・新宿ピカデリー、東劇、UPLINK、UPLINK吉祥寺PARCOほか全国で順次ロードショー。
町田樹 コメント
ジョン・カリーは、ともすれば「男が華やかに踊るなんてみっともない」と揶揄されるような時代に、芸術としてのフィギュアスケートをその生涯をもって追求し続けた孤高のスケーターである。
この映画では、貴重な映像資料や身近にいた者の生の証言によって、様々な困難に抗いながらもアーティストとして生き抜いたカリーの人生を、彼が紡いできた珠玉の作品群と共に色鮮やかに甦えらせていく。
だが一方で、私はその華やかな舞台の裏で彼が一人抱えていた葛藤を目の当たりにした時、このスポーツを取り巻く諸問題が、未だ根本的に解決されていないことに愕然とするのである。私たちは、今もなお多くのスケーターがカリーと同じような困難を抱えて氷上に立っていることを、決して忘れてはいけない。
(c) New Black Films Skating Limited 2018