「キックス」監督が語る少年たちとスニーカーの関係「ヴィトンにハマる人と同じ」
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「キックス」メイキング写真
「キックス」のメイキング写真が公開され、監督を務めたジャスティン・ティッピングのコメントが到着した。
トライベッカ映画祭2016で撮影賞、ローマ国際映画祭2016でアリスインザシティ賞を獲得した「キックス」は、米カリフォルニア州のスラムに住むスニーカー好きの少年ブランドンを中心とする作品。地元のギャングに奪われたナイキ エアジョーダンを取り戻すため、ブランドンが危険な道に足を踏み入れるさまが描かれる。ラッパーのジャキング・ギロリーがブランドンを演じ、クリストファー・ジョーダン・ウォーレス、クリストファー・メイヤー、コフィ・シリボー、マハーシャラ・アリが共演に名を連ねた。
ティッピングは「16歳のとき、新しいナイキを履いてウェストオークランドを歩いていたら襲われたときのことをもとにストーリーを考えたんだ」と制作の発端を明かす。ストーリーについては「感情的な部分はボコボコにされて帰宅したときの気持ちから来ている。完全に気持ちを壊されたと感じた。ボロボロで帰宅した僕に『大丈夫。これでお前も男だ』と兄が言った。なぜだかその瞬間、その通過儀礼を経験できたことがうれしく思えた」と回想し、「だが思い返してみると、男らしさについて我々が持っている考えは間違っていると思う。まったく無意味な暴力を振るわれただけなのに」と考えを語った。
ティッピングが育った米リッチモンドとオークランドでは、レアなスニーカーを履いている人がクールだと見なされるという。ティッピングは「スニーカーを求めた暴動がニュースで流れているのを観るとおかしくなる。リポーターたちはとても高価なハイヒールを履いているのに、『この子たちが300ドルの靴のために争う理由がわからない』と言っている。ルイ・ヴィトンにハマっている人と同じことだと思う。でも争っているのが子供たちで、対象物がバスケットボール選手のスニーカーだから、どうでもいいことだと思われてしまう」とコメント。「僕らにとっては大したことではなくても、周りに溶け込めない10代の少年にとっては重大なことがある。それらに直面したときに、対処法がわからないことは多々あるんだ」と続けた。
劇中ではブランドンの前に宇宙飛行士がたびたび登場する。冒険する少年に視覚的メタファーを与えたかったと話すティッピングは「マジックリアリズムが好きなんだ。突然スローモーションになったり。いろんな監督に影響されたよ。『オールド・ボーイ』『預言者』などの映画が大好きだ」と明かした。
「キックス」は12月1日より、東京・シネクイントほか全国で順次ロードショー。
※「キックス」はR15+指定作品
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