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宇多田ヒカルが“特別な空間”を約5万人の視聴者と共有した配信ライブ、アルバム曲に加え意外な楽曲も披露

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宇多田ヒカル

宇多田ヒカルのスタジオライブ「Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios」が、彼女の誕生日である昨日1月19日に配信された。

8枚目のオリジナルアルバム「BADモード」を昨日配信し、絶賛を集めている宇多田。スタジオライブは、このアルバムの収録曲をライブ初披露するためにイギリス・ロンドンのAir Studiosで収録され、2018年のコンサートツアーでバンドマスターを務めたベーシスト、ジョディ・ミリナーを中心に名だたるミュージシャンが集結した。録音とミックスは、2016年のアルバム「Fantôme」以降、宇多田の作品を手がけているスティーヴ・フィッツモーリスが担当。Radiohead「In Rainbows - From the Basement」やエリック・クラプトン「LOCKDOWN SESSIONS」などのライブ映像を手がけてきたデイビット・バーナードが映像監督を務めた。

開演時刻の20:00を迎えると、バンドメンバーと宇多田がスタジオに入ってくる場面で配信がスタート。ラフな白シャツ姿の宇多田は、声慣らしのためか「きぃーきぃー」と素っ頓狂な声を上げてバンドメンバーと笑い合う。そんなリラックスしたムードの中、1曲目に披露されたのは、エレクトロニックミュージックシーンを牽引するFloating Pointsが参加したことでも話題のアルバムタイトル曲「BADモード」だ。バンドメンバーが奏でる軽快なディスコサウンドに乗せて、宇多田がその声を響かせた瞬間、空気は一変し、配信のチャット欄は興奮したファンのコメントであふれかえった。

その後、宇多田はニューアルバムから映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の主題歌「One Last Kiss」、TBS系金曜ドラマ「最愛」の主題歌「君に夢中」と話題曲を次々に歌唱。心に染み入るような歌声とサックスの音色が艶っぽく絡み合った「誰にも言わない」に続いては、「Find Love」「Time」が情感豊かに歌われた。ここでキーボードプレイヤーのルーベン・ジェイムズがスタジオに入ってくると「PINK BLOOD」が始まり、宇多田は複雑なリズムを難なく乗りこなす、卓越した歌唱力で視聴者を魅了。続く「Face My Fears(English Version)」は、スクリレックスのプロデュースによりEDMサウンドに仕上がっている原曲とは異なり、生バンドならではの緊張感を持って届けられた。

ここまでのライブはアルバム収録曲のみで構成されてきたが、ルーベン・ジェイムズ退場後、宇多田は「Hotel Lobby」という意外な楽曲も披露。この曲はUtada 名義で2004年にリリースされた全米デビューアルバム「Exodus」の収録曲であり、思わぬサプライズにファンは沸き上がる。さらにアルバムのボーナストラック「Beautiful World(Da Capo Version)」を力強いベースラインと繊細なピアノの音色に乗せて歌い、約5万人の視聴者の心を打った宇多田は、最後に「Exodus」からもう1曲、「About Me」を歌唱。ファンに大きな驚きと感動をもたらす形でライブを締めくくった。

パフォーマンスを終えた宇多田は、カメラに向かって英語と日本語で挨拶し、「今日は一緒に過ごしてくれてありがとうございました。私たちと同じくらい楽しんでもらえてたらいいなと思います」とコメント。「普通の会場みたいなところでのライブはできなかったけれども、普段は見せられない、本当に奥の方の特別な空間を初めて共有できた気がしているので、みんなもそれを感じてくれていたらいいなと思います」と今回のライブの意義を語りつつ、「とは言え、次どっか会場とかで会えるといいけど、今日は本当に時間をありがとう。みんな元気で。また会いましょう!」と呼びかけた。

配信映像のエンドロール後には「BADモード」のミュージックビデオも初公開された。これはサム・スミス「Pray」やColdplay「Everglow」の映像なども手がけるジョー・コナーが監督を務めたもので、MVに関する監督のコメントも到着。YouTubeではこのMVに加えて、今回のスタジオライブから「PINK BLOOD」と「Face My Fears(English Version)」の映像、さらにはライブの裏側に迫ったスペシャルムービーが公開されている。

配信ライブのアーカイブ映像は1月23日まで有料配信されており、2月23日にCDリリースされるアルバムの初回限定盤には、今回のライブの映像とメイキング映像を収めたDVD / Bru-rayが付属。このDVD / Blu-rayには、配信で公開されなかった「Face My Fears(Japanese Version)」のパフォーマンス映像もボーナストラックとして収録される。

ジョー・コナー コメント

映像のコンセプトについて

この映像のコンセプトは楽曲を聴いた時の感情から生まれました。
最初に楽曲を聴いた時、誰かがどこかで何かが起こるのを永遠に待っているという感覚に捉われました。
そこから今回のビデオの舞台となった、現実であるのか夢の中であるのか曖昧な部屋のアイディアが生まれました。
部屋の中に湧いてきた水は、ある種このような比喩的な空間で立ち往生している時の感情の湧き起こりを象徴しています。
そこでは次の動きがわからず、自分自身がどう感じているかも上手く理解出来ない。そんな時そんな状態でする唯一のことと言えば、その環境の中で踊ることです……。
このようにして映像が作られていきましたが、ファンの皆さんにとって楽しくてエキサイティングな動画であると同時に深く親密な部分も感じて頂けたら嬉しいです。

今回の映像制作で一番苦労した部分

水に満ちた部屋のセットを作ることはとても大きな挑戦でした。巨大な水槽の中に足場を作り、その上に部屋のセットを建て、そしてそれを半日かけて水の中に沈めていったのです。
これは裏側の技術的な苦労ですが、画面上ではそれが見えないようにする必要がありました。
映像の前半では、後半の水のシーンが驚きになるように演出していきました。
このプランニングは非常に苦労が多かったのですが、スタッフの皆さん、プロデューサーのFred、Andrew、そして美術のLuke Moran Morrisが私のビジョンを具現化してくれたことに深く感謝しています。

今回のプロジェクトで一番の魅力的だったこと

ヒカルのようなアーティストと一緒にプロジェクトをすることは夢のようでした。
彼女は音楽的なアイコンであり、そして彼女の作品(音楽)はとても勇敢で大胆で、まさに私が私の映像とマッチさせたいと思っていたような存在そのものでした。
そして彼女は何かを一緒に創る上で最高のアーティストでした。
彼女は深く普遍的な暗喩を取り入れながらそれを遊び心をもち肩の力を抜いて探求する力を持っているので、この映像にも非常に新鮮なフィーリングを与えてくれました。
彼女のパフォーマンスは非常に魅力的ですが、ただそれが巨大な水槽の上で、そして見知らぬ人たちに囲まれた環境の中で行われていたことを忘れてはいけません。
そんなことが出来るポジティブなエナジーは本当に特別なものなのです。

宇多田ヒカル「Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios」2022年1月19日 セットリスト

01. BADモード
02. One Last Kiss
03. 君に夢中
04. 誰にも言わない
05. Find Love
06. Time
07. PINK BLOOD
08. Face My Fears(English Version)
09. Hotel Lobby
10. Beautiful World(Da Capo Version)
11. About Me