小松菜奈が「余命10年」完成までの道のりを思い涙、坂口健太郎は「生き切った」
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「余命10年」ジャパンプレミアの様子。左から奈緒、坂口健太郎、小松菜奈、山田裕貴。
「余命10年」のジャパンプレミアが本日1月24日に東京・丸の内ピカデリーで開催され、キャストの小松菜奈、坂口健太郎、山田裕貴、奈緒、黒木華、原日出子、松重豊、監督の藤井道人が登壇した。
本作は、数万人に1人という不治の病を抱える茉莉と、自分の居場所を失った和人が織りなすラブストーリー。小松が茉莉、坂口が和人を演じた。
マイクを持った小松は「企画のお話をいただいてからいろんな物語がありました。完成して、ここに立っていることを本当にうれしく思いますし、感無量です」と目を潤ませ、坂口は「撮影期間は宝物のような時間でした。本当に(役を)生き切ったなと。作品を観てここまで感情があふれることがあるんだなと驚きました。愛にあふれた映画になったと思います」とほほえむ。
山田は「悩んだり考えたりと自分の中で負の感情が渦巻いているタイミングで試写を観て、『あ、ただ生きよう。強く生きよう』と思えました」と回想。藤井は「この作品が公開になる頃に桜の季節がやって来ます。この季節に毎年思い出してもらえるような映画になればと思い、監督しました」と挨拶した。
四季を通して撮影された本作。作中でも重要な桜のシーンについて小松が「あの場面で2人の関係が始まっていきますよね。大きな扇風機があってものすごい音でしたが(笑)、キャラクターの心が動くシーンだったのでさわやかに演じようと思いました」と述べると、坂口も「2人の美しい関係性にスイッチが入るようなシーンでしたね。僕らも四季の美しさに体を預けて、景色に感情移入してしまうような撮影でした」と振り返る。
茉莉の姉・桔梗を演じた黒木は役作りについて「キャラクターシートをいただきました。監督から聞いた話と、家族とのドライブシーンを経てだんだん桔梗ができていきました」と述懐。藤井は原作者・小坂流加の家族への取材が桔梗のキャラクター作りに生かされたと言い、「病気を患っているから(茉莉に)優しくするというより、黒木さんにはいかに普通に接するように演じてもらうかを考えました」と語った。
茉莉の父役である松重は「モンタージュという形で家族の描写があるんですが、そこにも丁寧な物語があるんです。断片的とは言え、僕らは“10年”という時間を経て、最終的なところへ行った。家族のドキュメンタリーとして撮れたと感じました」と思い入れの深さを垣間見せる。山田はアドリブが多かったと小松から指摘されると「台本よりしゃべっていました」と笑い、奈緒は「定期的にモンタージュの描写を撮ったので、桜の時期に花見をして、夏に海に行ってと、友達と行事ごとで集まってやっているような……」と絆を深めていったことを明かす。
小松は「茉莉役を終えたあとは抜け殻状態だったというか、燃え尽きたなという気持ちが大きくて。自分の人生と役の人生両方が重なって、こんなふうに2つの人生を歩んだということは今までなかったんです」と話し、「病状が悪化する役ということもあり、減量をしていました。なので家族の大事なシーンでおなかの音が大きく鳴ってしまったり(笑)。ただ、減量したことで茉莉の計り知れない苦しさを自分のこととして味わい消化することができました」と述懐。茉莉の母を演じた原は「みるみる痩せていくので途中で心配になって。終わったらおいしいもの食べようねって言って。がんばったね」と涙ぐみながら小松について語った。
終盤には映画に掛けて「これからの10年でやっておきたいこと」をテーマにフリップトークも。最後に藤井は「久しぶりに俳優部の方々に会って、大変だったことも乗り越えてきたなと改めて感じています。何か1つでも心に残ってくれたら」と願いを託してイベントの幕を閉じた。
「余命10年」は3月4日に公開。
(c)2022映画「余命10年」製作委員会