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高橋一生の発想が面白い 『僕らは奇跡でできている』ときに正しさよりも大切なもの

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リアルサウンド

 育実(榮倉奈々)が仕事に張り切ろうと、自身の歯科クリニックで子供向けの歯磨きイベントを計画する。ところが、子供たちの反応はいまいち。そんな状況を、一輝(高橋一生)が見事に変えてみせる。

 11月6日に放送された火曜ドラマ『僕らは奇跡でできている』(カンテレ・フジテレビ系)第5話では、一輝に助けられたことでイベントは大成功に終わったものの、育実の心は晴れない様子。そんな彼女を、一輝が森のフィールドワークへと誘い出す。

【写真】微笑み合う高橋一生と川口和空

 この歯磨きイベントは、ギスギスしていた恋人との関係が終わりを迎えた育実が、より仕事に打ち込むべく企画したもの。しかし彼女の空回り気味なところは否めず、クリニックのスタッフもあまり協力的とは言えない。そのうえ、日頃から何かと衝突していた歯科衛生士のあかり(トリンドル玲奈)には強く当たってしまい、彼女からは「別れた寂しさを仕事で埋めようとしている」と見抜かれてしまう。

 さて、日曜日のイベント当日。このイベントは子供向けのものなのだが、一輝は以前からともに“リス研究”をしている虹一(川口和空)の、その母・涼子(松本若菜)に会うために参加したのだ。動物園での一件以来、一輝への不信感を拭えないでいる涼子から、虹一を“リス研究”のため、森に連れ出す許可を得るためだ。

 育実は、紙芝居や実演などで虫歯のメカニズムや歯磨きの大切さを訴えるが、少々盛り上がりに欠ける印象。そもそも、1人の少年がたびたび口にするように、「そんなこと知っている」のだ。そこでこの少年は、「なぜ虫歯は、虫歯というのか?」という、一輝も以前から抱いていた疑問を口にする。しかし、育実は答えられない。

 ここで面白いのが、一輝が「昔の人は、歯を虫が食べたと考えたから虫歯と呼ぶようになった」と、育実が言っていたのだというのだが、これを育実は、思いつきで、正しい答えではないと念を押している。彼女は歯科医である以上、歯のプロフェッショナルとして“正しさ”が求められる。ヘタなことは言えないのだろう。だが彼女のこの発想自体は面白いのではないか。

 そこで一輝が自身の考えを述べる。虫歯のことを“ムシクイハ”と呼んだ場合、これを数字に置き換え足し算すると、人間の一般的な歯の本数である「28」という数字が現れるというものだ。それに対して育実が、親知らずの本数を含めていないことを指摘するあたり、やはり“正しさ”を求めている。しかし、子供たちの反応の大きさは明らかだ。彼らは正しさよりも、“正しくないかもしれない”が、発想の面白さの方を選んだのだ。

 そんな一輝と育実は森へ行く。虹一は、残念ながら母がイベントに来れなかったために説得できなかったのだ。渋々フィールドワークの“助手”を引き受けた育実だが、なかなか一輝とのいいコンビ。そしてまたも一輝の、相手を傷つけないとも限らない奔放な発言が、育実に新たな気づきを与えていく。

 ラストでは育実が涙を流し、一輝はそれを目撃。次週の第6話では、その涙の意を問うようだ。彼が積極的に他者と関わろうとしている証であるが、この後の進展が気になるところだ。

(折田侑駿)