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ぴあ 総合TOP > 面白い曲が書ける本質は作曲家本人の面白さにあり!? 『どうしてこうなっちゃったか(藤倉大著:幻冬舎刊)』

面白い曲が書ける本質は作曲家本人の面白さにあり!? 『どうしてこうなっちゃったか(藤倉大著:幻冬舎刊)』

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『どうしてこうなっちゃったか(藤倉大著:幻冬舎刊)』

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「今をときめく作曲家・藤倉大の生み出す音楽はなんでこんなに面白いのだろう」という素朴な疑問への答えが、新刊『どうしてこうなっちゃったか(藤倉大著:幻冬舎刊)』の中にある。なにしろ綴られた文章が破格の面白さなのだ。ジャーナリズムの世界において、「普段面白い話ができない奴に、面白いインタビューなんかできるわけがない」という説があるのだが、この“インタビュー”の部分を“音楽”に置き換えてみれば納得だ。そう藤倉大の話はもとより、その人間性が掛け値なしに面白い。だからこそ彼が手掛ける音楽作品の数々は面白いのだろう。

過去を振り返ってみれば、日本を代表する作曲家の先達である武満徹(1930-96)の文章も、藤倉大とはテイストの違いこそあれ最高に面白かったことを思い出す。そのまた先輩に当たる團伊玖磨(1924-2001)においては、作曲家と分筆家の見事な2刀流であったことにも合点がゆく。この2人の大作曲家たちが、人間的な魅力に溢れていたことは語り草だ。だからこそ彼らの音楽が面白かったと考えてみるのも楽しい限り。

この素敵な系譜に藤倉大という超新星が加わったことを喜びたい。藤倉大の次なる展開やいかに。それを期待させるだけの面白さがここにある。
(田中泰:音楽ジャーナリスト)