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サンダンス映画祭:日本が関係する2本の映画

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『Living』 (c)Sundance.org

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サンダンス映画祭で、日本に関係した作品が2本上映された。

ひとつは、オリヴァー・ハーマナス監督の『Living』。黒澤明監督の『生きる』を、1950年代初期のイギリスに設定を置き換えて語るものだ。主演はビル・ナイ、脚本を手がけたのは、ノーベル文学賞受賞者で『日の名残り』『わたしを離さないで』の原作者カズオ・イシグロ。

主人公ミスター・ウィリアムズは、毎日淡々と仕事をこなす、お役所勤務の男性。そんなある日、医者から余命半年だと伝えられた。ショックのあまり、最初はどうしていいかわからないウィリアムズ。しかし、そのうち、残された時間を有効に使おうと、仕事への態度を変えていく。

ナイは上映後のヴァーチャル会見で、いかにもイギリス人らしい、おとなしく謙虚なウィリアムズのキャラクター像に惹かれたと、今作の魅力について語った。「品があって、真面目。私自身の父もそんな感じだった。そんな人が、とても極端な状況に置かれるんだ」。出演オファーを受けるまで「生きる」を見たことがなく、志村喬の演技にも影響は受けていないとも述べている。それでも「日本とイギリスの文化には似ているところがあるとよく言われるし、私もそうだと思う」「今作にかかわったみんなもそうだが、私も黒澤と彼(志村喬)には敬意を表したかった」と語った。ソニー・ピクチャーズ・クラシックスが、アメリカ、カナダを含む数カ国の配給権を獲得している。

もう1本は、ブラッドリー・ラスト・グレイ監督の『blood』。夫を失った白人女性が友人のいる日本を訪れ、心を癒していくという物語だ。

主人公の女性クロエを演じるのは、スイス人女優カーラ・ユーリ。日本人の友人トシには、ミュージシャンの植野隆司が大抜擢された。グレイ監督によれば、「有名な俳優も何人か検討したがしっくりこなかったところへ、誰かがYouTubeの動画を送ってくれて植野を知った」とのことだ。トシ家として登場するのは、植野が実際に住む家で、「僕らは彼の家を乗っ取った感じ(笑)。そして彼をひたすら追いかけて撮影しただけだ」とも、グレイ監督。その自然な撮影のしかたについては、ユーリも「カメラがあることも感じなかった。お互いと一緒にそこにいるだけだったわ」と述べている。そんな植野は、ヴァーチャル会見で「また演技をしたいですか?」と聞かれると、「どうなんだろうね?」と日本語で言って笑った。だが、「でも、very enjoy!」と、この体験がとても楽しかったことを明かしている。

文=猿渡由紀

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