ホラーを語るリレー連載「今宵も悪夢を」 第9夜 選者 / SCANDAL RINA「エスケーピング・マッドハウス」
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「エスケーピング・マッドハウス」
ホラーやゾンビをこよなく愛する著名人らにお薦め作品を紹介してもらうリレー連載「今宵も悪夢を」。集まった案内人たちは身の毛もよだつ恐怖、忍び寄るスリル、しびれるほどの刺激がちりばめられたホラー世界へ読者を誘っていく。
第9回ではSCANDAL RINAが、米国人ジャーナリストの実体験をベースにした「エスケーピング・マッドハウス」を紹介。極限状態の主人公に感じた思い、これからの世への願いをつづる。
文 / SCANDAL RINA(コラム)、田尻和花(作品紹介)
いつの時代にも何百歩も先の考え方を持って行動する人が居る
なんだ、この素敵なアートワークは!
と、目に付いたのがきっかけで、前情報なしで観てからずっと記憶に残っている作品。
年齢や国籍、この施設で生活している理由もバラバラの女性だらけの空間で、なんとも言えない閉鎖的なムードがずっと続く。
暗闇のなかで何とか生きて、希望の光が差し込んだと思えば閉ざされて。
「もう、味方が居なさ過ぎるじゃない…。」
と、観てるだけで少し体力を使うんだけど、19世紀後半のお話と言うこともあって、衣装やインテリア、ヘアスタイルなども素敵でレトロな世界観を楽しめる映画でもあると思う。
とにかく怖さを求めて観ると、物足りないなと感じる人も居るかもしれないけれど、この映画の凄いところは実話がベースになっているところ。最後まで観て「え、嘘でしょ?」と思った。正直、そこに一番ビビる。
最近はメンタルヘルスについてもオープンに話せる時代になってきて、これって本当に大切なことだなと思ってる。自分の心を守ることは、自己中心的で我儘なことでは無いし、心が折れて誰かの助けが必要になることは恥ずかしいことでも悪いことでもない。誰だって不安定になることがあって、その振り幅が人それぞれ違うだけ。人間はみんな繊細さを持っていると思う。
“心と体は繋がっていて、どちらも同じくらい大切なもの”
こんな当たり前の考え方が、今普通に広まっているのは、極限状態で心と体を張りながら、世の中に事実を広めたひとりの女性が居たからなんだなと、この映画に出会って思った。
そして、いつの時代にも何百歩も先の考え方を持って行動する人が居ることに希望が持てた。
いろんな方向に想像力を働かせて、出来る限り誰も置き去りにしない世の中で、心も体も健康で居たい。
RINA
SCANDAL RINA
1991年8月21日生まれ、奈良県出身。2006年にHARUNA(Vo, G)、MAMI(G, Vo)、TOMOMI(B, Vo)と結成したガールズバンド・SCANDALでドラムとボーカルを担当。2008年にシングル「DOLL」でメジャーデビューを果たし、翌2009年にシングル「少女S」でレコード大賞新人賞を受賞した。2019年にはSCANDALのプライベートレーベル・herを設立。1月26日にリリースした新アルバム「MIRROR」を引っさげ、ツアー「SCANDAL WORLD TOUR 2022 "MIRROR" 」を3月12日にスタートする。
「エスケーピング・マッドハウス」(2019年製作)
実在した米国人ジャーナリスト、ネリー・ブライの体験にもとづいた物語。ニューヨークのブラックウェル島精神科病院に潜入した彼女が、不穏なうわさの実態を暴こうとするも、壮絶な仕打ちに遭ってしまうさまが描かれる。監督はカレン・モンクリーフが務め、キャストにはクリスティーナ・リッチ、ジュディス・ライト、ジョシュ・ボウマンが名を連ねた。
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