実際に起きたセクハラ事件の後日談を描いた「ある職場」3月公開

第33回東京国際映画祭のTOKYOプレミア2020に出品された「ある職場」が、3月5日に東京・ポレポレ東中野で公開となる。

本作は、実際に起こったセクシャルハラスメント事件をもとに、その後日談として制作された135分の会話劇。「フタバから遠く離れて」などで知られる映画作家・舩橋淳が、密室で起こったハラスメントの被害者の声を聞いたのが制作の始まりだった。プライバシーを尊重し、ドキュメンタリーではなくフィクションとして構成され、シナリオは存在せず、舞台設定だけ与えられた俳優たちが即興に近い演技でリアリティを表現した。

主演の平井早紀は「映画には観た人の明日を変えてしまう力があると思っています。この作品が、観てくださった方の明日に少しでも勇気をもたらすものであることを、切に願います」と、監督の舩橋は「差別意識が微塵もない加害者の悪意、穏便に揉み消そうとする上司の保守意識、互いを疑う同僚たちの闇、そして傷ついた被害者女性の悲哀──。心の奥底に降りてゆくような精神の映画にしたいと考え、モノクロームの色調を選んだ。人間の弱さと愚かさが露呈した大混乱のあと、本当に大切なものとはなにか？ と問いかける映画になってほしいと願っている」とコメントした。

平井早紀 コメント

この作品で繰り広げられる議論は、
もしかしたら現実の同僚同士の会話としては非現実的に感じてしまうかもしれません。
ですが作中の彼らの心の中に生まれた苦しみや憤りは、
現実の皆さんが抱くものと、大きくは変わらないのではないでしょうか。
映画には観た人の明日を変えてしまう力があると思っています。
この作品が、観てくださった方の明日に少しでも勇気をもたらすものであることを、切に願います。

舩橋淳 コメント

僕は映画作家として時代の無意識を描き出したいと考えている。
「ある職場」は、今の社会がいかに未成熟かを描きだした作品である。
人権意識の希薄な人間が寄り集まり、
正しいことと間違っていることの線を引く事ができないとき、
混乱は続くしかない。
人間関係は悪化の一途を辿り、
誹謗中傷の二次被害は様々な善意と悪意に翻弄され、
広がり続ける。

差別意識が微塵もない加害者の悪意、穏便に揉み消そうとする上司の保守意識、
互いを疑う同僚たちの闇、そして傷ついた被害者女性の悲哀──
心の奥底に降りてゆくような精神の映画にしたいと考え、モノクロームの色調を選んだ。

人間の弱さと愚かさが露呈した大混乱のあと、
本当に大切なものとはなにか？ と問いかける映画になってほしいと願っている。

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