Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 【ライブレポート】Anonymouz、初のホールライブ開催「皆さんからもらう以上の力を歌と音楽を通して届けていきたい……。」

【ライブレポート】Anonymouz、初のホールライブ開催「皆さんからもらう以上の力を歌と音楽を通して届けていきたい……。」

音楽

ニュース

ぴあ

『Anonymouz Live 2022~Forward〜』1月28日 東京・日本橋三井ホール Photo:Viola Kam(V'z Twinkle)

続きを読む

フォトギャラリー(10件)

すべて見る

Anonymouzが1月28日(金) に東京・日本橋三井ホールにて、ワンマンライブ『Anonymouz Live 2022~Forward〜』を開催した。

2019年3月からYouTubeにJ-POPの英詞カバー動画の投稿を始めたAnonymouz(アノニムーズ)は現在、二十歳の女性シンガーソングライター。自身で<名前のない女の子>というアーティスト名を名づけ、「ビジュアルにとらわれずに純粋に歌声を聞いてほしい」という思いから顔を出してない彼女は、独自の翻訳技術と透徹した歌声で瞬く間に注目を集め、メジャーデビュー前ながらも2020年11月にはSONY「Xperia 5 II」の全世界CMソングに大抜擢された。
これまでに配信リリースした3枚のオリジナルEPは全てiTunesオルタナティブチャートで1位、最新のカバーEPはiTunes総合チャート2位を獲得。昨年5月21日には恵比寿LIQUID ROOMでキャリア初となるライブを開催し、本公演は有観客としては自身二度目のワンマンにして、初のホールライブとなっていた。

優しく穏やかなピアノの調べにのって、真っ白の衣装に花冠のようなレースとウィッグで顔を隠したスタイルでステージに登場した彼女は、初のオリジナル曲で、未だ音源化されてない全編英語歌詞のバラード「Winds of Time」でライブをスタートさせた。続く、「足りないよ」は初の全編日本語歌詞による欲張りなラブソング。
父が日本語、母が英語を話す家庭で育ち、邦楽も洋楽も聴いてきた彼女のルーツを示すかのように英語曲と日本語曲を並べ、手元がかろうじて見えるくらいの小さな灯りの中で、ピアノとチェロを基調にひとりの少女の心の内側を吐露するかのような切実さを湛えて歌い紡いでいった。

「みなさんこんばんは。アノニムーズです。今日は最後まで楽しんでいきましょう」という短い挨拶を経て、チェロがアコギに持ち替えた「In Our Hearts」から少しずつテンポを上げていき、エレキギター、キーボード、ベース、ドラムによるバンドのアンサンブルに合わせて後ろ向きで伸びやかなフェイクを繰り出した「Snake Love」ではファンキーに弾むボーカルに場内から自然とクラップが沸き起こった。
スモークが焚かれ、ピンクのライトで覆われたステージでミステリアスに歌ったアーバンR&B「Wonders of Art」、黄色のライトの中で、失ってしまった自分の心のかけらを探す「Homesick」と、洋楽的なメロディで情景描写に優れた歌詞を歌う多彩なサウンドを聴かせた。

ここで、ステージの最前に置かれた椅子に座った彼女が、観客に向けて「たまにタメ口でしゃべっていいですか?」と問いかけると、了承の意味を表す大きな拍手が上がった。「普段、顔を隠しているし、投稿頻度も高くないので、もっともっと皆さんと近づきたいなと思ったので聞きました」と明かした後、ファンの呼び名のアンケートも実施。「バンドでもよくいう<ムーザー>、AからZから始まる世界中の皆さんが虜になる<AZ>、名前をつけるという意味での<ネーマー>」の中から、観客の拍手で<AZ(アズ)>に決定した。

中盤には彼女の知名度をあげるきっかけとなったイングリッシュカバーのメドレーも設けられた。ピアノとボーカルによる「水平線」(back number)、アコギのリフと観客のクラップが重なった「カタオモイ」(Aimer)、ピアノとボーカルにチェロが加わった「ドライフラワー」(優里)、サビで繰り返される英語歌詞が印象的な「もうええわ」(藤井風)、ピアノのパワフルなタッチとコンガがジャズサンバのビートを奏でる「夜に駆ける」(YOASOBI)。ミニマムからアンサンブルまで、さまざまなスタイルで演奏されたが、誰もが知るヒット曲だからこそ、彼女の翻訳の独自性と、日本語を歌う時のピュアで伸びやかな歌声とは違う、滑らかで張りと膨らみのある歌声の特性が際立つ時間だったように思う。

続く、「Your Plan」では雰囲気は一変。インダストリアルな重低音が鳴り響く中で彼女は咆哮のような歌声を叩きつけ、少しずつ穏やかな様相へと変わっていく、動から静へと着地。<1 MINITUE ORIGINAL>としてYouTubeチャンネルでワンコーラスだけ公開していた動画から新曲のファンクポップ「Hide & Seek」を初披露し、観客の体を揺らすと、最新のカバーEPに収録されたオリジナル曲のダンサブルなR&Bナンバー「Lips」では、アラームのような赤い光が瞬く中でラップも繰り広げ、攻撃的なパフォーマンスを見せた。
この「Lips」から「Thrill」へのつなぎのボーカリゼーションは、この日のハイライトといってもいいほどの高揚感と興奮を与えてくれた。

「ずっとずっと歌が好きだったので、この活動を通して、小さい頃からの夢がどんどん叶っていっています。ほんとに皆さんの応援が届いて、刺さって、何度も何度も救われてきました。本当にありがとう。私も皆さんに、皆さんからもらう以上の力を歌と音楽を通して届けていきたいなと思っています」

ライブの最後にはギター、ベース、ドラムに変わって、4人編成のストリングス隊とアルトサックス奏者が登場し、YouTubeの音楽コンテンツ「With ensemble」に出演したことを発表した。そして、東京都美術館で開催が予定されている『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』の展覧会テーマソング「Unbreak」について、「この曲を書く過程でも、まだ整理のつかない気持ちをたくさん並べて、ヒントを得て、そこから少しずつ理想に近づけるように書いていきました。それは少し絵と似ているなと思います。生きていく上でも、苦しいこともいっぱいあるけど、その苦しいことからヒントを得て、少しずつでも理想に近づいていけば、きっと大丈夫なんじゃないかと思っています。時間は過ぎていって、苦しいことも必ず過ぎていくはずです」というメッセージを伝えた。

自分の全てが崩れてしまうほど大切な人のことを歌った恋の歌を優しく美しい弦楽四重奏で歌唱した後、SONY「Xperia 5 II」の全世界CMソング「Eyes」でライブは温かいムードと明るい光に包まれた中で大団円を迎えた。

アンコールでは、「これからも皆さんの日常を少しでも鮮やかにしていけるようにたくさん曲を書いて、たくさん届けられるようにがんばりますので、これからも応援してください。今日はありがとうござました」と感謝の気持ちを延べ、再び<1 MINITUE ORIGINAL>から新曲のエレクトロニカ「赤」を初披露。かつて想いを寄せた人への僅かな未練を日本語で切実に歌い上げ、「また必ず会いましょう」と再会の約束をし、観客に手を振りながらステージを後にした。孤独や絶望、漠然とした不安や弱さ、過去の傷や焦燥が漂う中でも、彼女の歌声に内包される優しさや癒し、どんな困難があっても前に進むんだという希望が伝わってくるライブであった。

Text:永堀アツオ / Photo:Viola Kam(V'z Twinkle)

<タイアップ情報>
『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』

※1月22日(土) 開幕は延期、展覧会テーマ曲はAnonymouz「Unbreak」
公式サイト:
https://www.dresden-vermeer.jp/

プロフィール

Anonymouz

2019年3月より、YouTubeでJ-POPの英語カバーをスタート。歌詞の翻訳は全て本人によるもので、その抜群な翻訳センスと歌唱力が瞬く間に評価され、2021年12月現在、登録者数は14.5万人に到達している。世界に向けた活動や、透き通るような声質が評価され、2020年11月より、メジャーデビュー前にSONYのXperia 5 Ⅱの全世界CMタイアップに楽曲「Eyes」が大抜擢される。これまで配信リリースした3枚のEPはどちらもiTunesオルタナティブチャート1位を獲得。最新EP『Greedy』はiTunes総合アルバムチャート2位を獲得し、同EPに収録されている『In Our Hearts』は香港ネスカフェCMソングに大抜擢された。2022年1月22日(土) から東京都美術館で開催が予定されていた『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』(開幕日延期)の展覧会テーマソングに新曲「Unbreak」が起用された。


関連リンク

公式サイト:
https://anonymouz.jp/s/n109/?ima=4300

Instagram:
https://www.instagram.com/anonymouz_official/

Twitter:
https://twitter.com/Anonymouz_music

YouTube:
https://www.youtube.com/channel/UCe0h32Y4Po84iLubCviKRug

フォトギャラリー(10件)

すべて見る