AI・HALL「現代演劇レトロスペクティヴ」にコトリ会議とbaghdad cafe
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コトリ会議「髪をかきあげる」「ともだちが来た」チラシ表
「現代演劇レトロスペクティヴ」が2018年度も開催。11月15日から18日にコトリ会議「髪をかきあげる」「ともだちが来た」が、12月22日から24日にbaghdad cafe「野獣降臨」が兵庫のAI・HALLにて上演される。
「現代演劇レトロスペクティヴ」は、1960年代以降に発表された時代を画した現代演劇作品を、関西を中心に活動する演劇人によって上演・再検証する企画。
今回はコトリ会議の山本正典が鈴江俊郎作品に、baghdad cafeの泉寛介が野田秀樹作品に挑む。上演に際し山本は鈴江との思い出を振り返りつつ「はやく鈴江さんになりたい」と述べ、泉は「頭ではよく理解できないけれど、こういうのやりたい、と肌で感じた」と語っている。
なお11月16日19:30開演回には鈴江、12月22日18:30開演回には夢の遊眠社の旗揚げメンバーで、現在もNODA・MAPで演出補佐を務める高都幸男を招いたアフタートークが実施される。
山本正典コメント
鈴江さんに「岩が落ちてくるから」と言われた。
僕は役者で立っていて、稽古場。舞台は工場の宿舎の一角。
思わず「屋内ですが」と尋ねた。
鈴江さんは血管の浮き出た大きな目で「落ちてくるから。受け止めるだろお前は。死にものぐるいで」僕は台詞を叫びながら汗だくで無数の岩を受け止めた。
大きいの小さいのなんてイメージする暇はない。鈴江さんが「もっともっともっともっともっともっと……」って。
気づけば僕は、落石から生き延びていた。
鈴江さんは「それや」と一言。
それ、とは。
僕は、でも、衝撃だった。
あれから何年経ったか。気づけば僕は役者さんに「落石があるので」と演出している。
役者さんは「屋内ですけど」って言ってくる。
僕は笑って「ねえ、屋根ありますもんね」と返す。
はやく鈴江さんになりたい。
泉寛介コメント
初めて読んだときには、何の話かよくわからなかった。
ただ、言葉が気になった。言葉の輝きや流れに、異様に惹かれた。そう思いながら何度か読み続けると、少しいびつな形をしたそれらは、飛び交うように集まって、セリフになってひとつの情景をつくった。追ってセリフとセリフが噛み付くようにぶつかりあい、その情景を相当な震度で揺さぶる。景色が変わったかと思うと、新たな言葉や意味が化学式のようにつながって、一瞬でまったく違う次元に流される。時間や空間、意味や肉体、いろんなものが跳び、暴れまわって、自由でたくましいのに、野獣のけものの声にならない咆哮は熱く、寂しい。これは何だろう。何なんだろう、この演劇。頭ではよく理解できないけれど、こういうのやりたい、と肌で感じた。
AI・HALL 平成30年度 現代演劇レトロスペクティヴ
兵庫県 AI・HALL
コトリ会議「髪をかきあげる」「ともだちが来た」
2018年11月15日(木)~18日(日)
作:鈴江俊郎
演出:山本正典
出演:「髪をかきあげる」牛嶋千佳、要小飴、まえかつと、三村るな / 竹内宏樹、原竹志、平林之英、「ともだちが来た」大石英史、本田椋
baghdad cafe「野獣降臨」
2018年12月22日(土)~24日(月・振休)
作:野田秀樹
演出:泉寛介
出演:一瀬尚代、辻るりこ / 杉原公輔、村井友美、アミジロウ、徳永健治、松原佑次、速水佳苗、松村里美、尾形柚香、安東利香、成瀬トモヒロ、ネコ ザ ポンティ、山根千佳
※baghdad cafe'の「e'」はアクサン付きが正式表記。
※初出時、baghdad cafeの劇団名の表記に誤りがありました。訂正してお詫び致します。