対立する意見に、着地点は見つかるか?土田英生が語るMONO新作「悪いのは私じゃない」
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土田英生
2月から3月にかけて上演されるMONO 第49回公演「悪いのは私じゃない」について、2月上旬にオンライン記者会見が行われた。
「悪いのは私じゃない」は、土田英生率いるMONOの新作。舞台は山奥の小さな会社。退職した元社員が、社内いじめを告発する手紙を社長に送る。総務部部長はその調査を始めるが、それぞれの意見は対立し、誰が悪いのかははっきりとせず……。
今回の作品について、土田は「もともと論争劇を書こうと思っていたんです」と説明。「MONOは“よく息の合った会話劇”と言っていただくことが多いので、原点に帰り、今のメンバー9人で息の合った会話をし続ける芝居を描こうと。また、このお話を考えた理由の1つに、SNSなどの影響もあって、人の分断が加速し、ケンカはあっても話し合いの場がないことが増えているという思いがあったんです。演劇界でもパワハラなどいろいろな問題が顕在化するようになりましたが、話を聞けば聞くほど結論が出ず、とても難しいんですよね。それぞれ言い分があり悪いところもあって、どう決着をつけたら良いかわからない。でもどこに着地点があるかを考えてみたい……というのが今回のお話です」と続けた。
記者から「前作『アユタヤ』では『コロナ禍においてはハッピーエンドの物語を求めてしまう』と話していたが、今回はどうか」と問われると、「このような題材ではありますが、いじめの全貌を明かすというような展開は影を潜め、バカバカしいやりとりが劇中では多くなってきました(笑)」と土田。「ラストで居心地の悪さを持って帰っていただく、というようなことは考えておらず、希望があると感じてもらえればと」と話す。また、今作のように“結論が出ない”状況について、「日本的な状況だと思っていましたが、世界的にも加速しているようです。この作品も、日本社会の縮図として見ていただけたら」と意気込みを語った。
最後に土田は「このところ、この年齢では考えられないくらい新作を書いているんです(笑)。2カ月に1本新作を書き下ろすという、これまでにしたことがないことをしていて」と述べ、「なので、『今回の作品はちょっと息切れしてるんじゃないか』と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、この通り! 気力充実していますので!!」と、新作への意気込みをはつらつとした表情で示した。
公演は2月26・27日に福岡・北九州芸術劇場 小劇場、3月5・6日に岡山・岡山県天神山文化プラザ ホール、11日から20日まで東京・吉祥寺シアター、23日から27日まで大阪・ABCホールにて。出演者には土田のほか、水沼健、奥村泰彦、尾方宣久、金替康博、石丸奈菜美、高橋明日香、立川茜、渡辺啓太が名を連ねている。
MONO 第49回公演「悪いのは私じゃない」
2022年2月26日(土)・27日(日)
福岡県 北九州芸術劇場 小劇場
2022年3月5日(土)・6日(日)
岡山県 岡山県天神山文化プラザ ホール
2022年3月11日(金)~20日(日)
東京都 吉祥寺シアター
2022年3月23日(水)~27日(日)
大阪府 ABCホール
作・演出:土田英生
出演:水沼健、奥村泰彦、尾方宣久、金替康博、土田英生、石丸奈菜美、高橋明日香、立川茜、渡辺啓太