Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > 横浜流星は敗北を引きずらない「負けたということは、まだまだ成長できる証拠」

横浜流星は敗北を引きずらない「負けたということは、まだまだ成長できる証拠」

映画

インタビュー

ぴあ

横浜流星

続きを読む

フォトギャラリー(12件)

すべて見る

やったことのない役だから飛び込んでみようと思った

人は挑み続けるから、強くなれる。

「やっぱり挑戦したかったから」

本作に出演を決めた理由を、そう横浜流星は明かす。

2月11日(金)公開の映画『嘘喰い』は、迫稔雄の同名コミックを原作としたエンターテインメントムービー。横浜流星の近年のフィルモグラフィーを振り返ると、『いなくなれ、群青』や『きみの瞳が問いかけている』のような繊細な表現力を活かした作品が多い。これだけ直球エンタメの世界を生きる姿は、新鮮ですらあった。

「僕も最初は正直、自分には合わないのかなと思ったんです。でもあんまりやったことのない役だからこそ、飛び込んでみようと。ずっと同じような役をやっているだけではつまらない。俳優として、いろんな顔を見せたいという気持ちがありました」

俳優というのは、複雑な職業だ。作品のカラーによって、あるいは監督のポリシーによって、要求される演技の質ががらりと変わる。この『嘘喰い』で描かれるのは、嘘を見破れなければ即死の≪超危険なデス・ゲーム≫。そのテンションの高い世界を生きるために、俳優にもオーバーアクトが求められた。

「どこまで振り切っていいのかというのは、悩んだポイントの一つでした。今や原作モノといえば、2.5次元舞台という大きなコンテンツもある。特に、僕が演じた斑目貘のような派手なビジュアルのキャラクターなら、そういう世界もハマると思うんです。でも、これは映画だから、僕は映画でやる意味を見つけたかった。ちゃんと映画の中で貘として生きたかったんです。そのためのお芝居と、エンタメらしいわかりやすいお芝居。そのバランスをどうとればいいのかは結構悩みました」

監督を務めたのは、『リング』で知られる中田秀夫。中田監督とは現場で何度も話し合いを重ねた。

「監督からはよく『もっと大きなリアクションで』と言われていたんですけど、その振り切り具合が難しくて。そしたら監督が『あとで編集をするときに、ここには効果音をつける。音がついたら、今よりもっと大きく芝居をしても違和感はなくなるから』と言ってくださって、やっと監督のイメージされているものが少し見えた。リハーサルの段階で僕が用意してきた貘は今の感じとはまったく違っていたんですよ。監督の言葉を信じて、思い切りのびのびやった結果、ああいう貘になりました」

嘘はつきたくない。だから一切妥協もしない

演じたのは、天才ギャンブラー・斑目貘。どんなイカサマも見破ることから“嘘喰い”の異名を誇るが、横浜自身は嘘は嫌いだと言う。

「根本的な信念として嘘をつきたくない人間なんです。世の中には優しい嘘というのもあると言うけど、正直僕にはそれがよくわからない。常に正直に生きていたいです」

「最近ついたプチ嘘は」と聞かれても「何だろう…」と答えに窮する。思わずそばにいたマネージャーに「なんかありますか」と助け舟を求めても、「本当に嘘をつかない」とマネージャーも証言する。

「嘘をつきたくない人間だから、ついても結局バレちゃうんですよね(笑)。だから、そもそも嘘をつかないのかもしれない」

監督と納得いくまで話し合いを重ねるのも、演じる上で嘘をつきたくないという信念あってのことだ。

「ものづくりで大切なことは、時にぶつかり合いながらも話し合って、みんなが同じ方向に向かっていくこと。どちらかが折れて、納得しないまま相手の言い分を飲んでやるというのは違うし、それって誰に対しても失礼だと思うんです。だから、僕はできる限り妥協したくない。何かをやるときも、自分に嘘をついていないか、常に自分に問いかけるようにはしていますね」

そんな話し合いの末に生まれたのが、今回の斑目貘というキャラクターだ。だが、決して満足もしていない。

「試写を観たときに、監督の言っていたことが理解できたし、なんならもっとやってみても良かったのかなと思いました。こればかりは完成したものを観ないとわからないので難しいところですけど、反省点が残ったのは次に向けての課題になる。まだまだ僕は表現の引き出しは多くないので、もっと増やしていかないといけないなと感じました」

勝つために必要なのは、努力を怠らないこと

横浜自身は、賭け事とは無縁の性格。会員制の闇ギャンブル倶楽部“賭郎”にも「入りたくないです」と苦笑いする。

「パチンコすらやってこなかった僕にとっては、完全に遠い世界。一攫千金を狙うよりも、一歩一歩進んでいく方が自分には合っています」

だが賭け事を“勝負”という視点で見れば、空手の世界大会で優勝した経歴を持つ横浜流星の体には“勝負師”の血が流れている。

「勝負は好きです。ずっと勝ちか負けしかないところで戦ってきたので、勝負は好きだし、勝負強さはあると思います」

この世は、勝者と敗者でできている。勝つために必要なことは何か。その質問に、横浜流星は愚直なくらいストイックな性格がよく表れた答えを返してくれた。

「努力を怠らないことだと思います。確かに努力を続けるのは難しいです。だから、もし手を抜きそうになったら、原点に戻ってみるといいかもしれないです。弱い心に負けそうになったとき、たとえば僕だったら『自分がやりたいって言ったんだろう? だったら逃げるな』と自分に問う。どんなに辛い空手の練習も、そう自分に言い聞かせることで踏ん張れた。努力の継続をできる人が、最終的に勝負にも自分にも勝てるんだと思います」

だが、1人の勝者の裏側に100人の敗者がいるのがこの世の現実。人生は、勝つことより、負けることの方がずっと多い。では、横浜流星は敗北に対してどう向き合ってきたのだろう。

「負けは引きずらないです。いつまでも落ち込んでいてもしょうがない。負けたということは、今の自分に何かが足りないということ。だから、何がダメだったのかを探すことから始めます。それに、失敗や敗北って、まだまだ成長できる証拠でもある。自分の足りなかったものを知り、それをその日から徹底的に鍛え直す。いつも負けた悔しさを成長のきっかけに変えるようにしていました」

この貪欲さと自律心が、横浜流星という人間を築き上げたのだろう。まだ25歳ながら、慢心したところはまるでなく、常に足元を見つめ、前進をやめない。

そんな横浜流星の素顔が知りたくて、最後に少しだけ砕けた質問をしてみた。横浜流星といえば、出世作となった『初めて恋をした日に読む話』のピンク髪で有名。今回の銀髪とピンク髪、どちらが好きか聞いてみたら…?

「難しいですね(笑)。でも、本当、どっちも好きなんですよ。僕、金髪が似合わなくて。ピンクにするときも銀にするときも最初は金にするじゃないですか。それがマジで似合わない(笑)。ちょっと顔が浮いているような感じになっちゃうんですね。たぶん淡い色の方が合うのかな。だから、金じゃなくて、銀やピンクで運が良かったなあと思います。次に染めるなら…? うーん。青でお願いします!」

そう25歳らしい笑顔を残して横浜流星は去っていった。ひとつの場所にとどまらず、常に挑戦をし続ける彼のことだから、きっとまた今度は違う顔を見せてくれることだろう。何色にも染まる彼に、また多くの人の心も染め上げられていく。

映画『嘘喰い』は2月11日(金)より全国公開!

ぴあアプリ限定!

アプリで応募プレゼント

横浜流星さんのサイン入りポラを1名様にプレゼント!

【応募方法】

1. 「ぴあアプリ」をダウンロードする。

こちらからもダウンロードできます

2. 「ぴあアプリ」をインストールしたら早速応募!

撮影/奥田耕平、取材・文/横川良明

フォトギャラリー(12件)

すべて見る