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佐々木蔵之介、舞台『冬のライオン』は家族が容赦なく闘うシチュエーションコメディ

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佐々木蔵之介 撮影:稲澤朝博

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主演・佐々木蔵之介×演出・森新太郎、魅力タッグで向かうは英国王家の草創期、イングランドの国王ヘンリー二世とその王妃、息子たち、敵国の若き王、愛妾による激烈な領土、跡目争いを描いた舞台『冬のライオン』だ。“しぶとく粘る稽古場”から数々の秀作を生み出して来た森の指揮のもと、佐々木をはじめとする巧者によって立ち上がる“高貴な人々の赤裸々な家族劇”とは…!?

権力に固執しているところを、ある意味チャーミングに表現できたら

――演出の森新太郎さんとは、2020年5月に織田作之助の小説を原作とした人情喜劇『佐渡島他吉の生涯』をともに作り上げる予定でいらっしゃいましたが、残念ながらコロナ禍のため公演は中止に。今回晴れてまたタッグを組み、最初にこの『冬のライオン』を提案された時はどのように思われましたか?

どちらもパワフルな役ですよね。『佐渡島〜』は浪速のオヤジ、今回はイングランドのオヤジ。両方とも周りを気にせずにパワー全開、己の赴くままにお構いなしで突き進むから、周りはただただ巻き込まれていく……みたいな。言うてみたら“ザ・老害”といったオヤジです(笑)。『佐渡島〜』もそうだったけど、今回もまた森さん、どえらい作品を言うて来はるなあと思いました。でも、森さんがこの戯曲を「僕はコメディとして読んでいます」と言わはったんですよね。僕は最初、『冬のライオン』を知らなくて、イギリスの難しい歴史劇かなと思いきや、いざ戯曲を読んでみたら、結構笑える台詞やん、と。これはオモロくやれそうやなと思って受けました。

――1183年の英国王家を舞台に展開する、熾烈な家督相続のドラマが、コメディ!?

シチュエーションコメディといったふうに捉えられるかなと。国王がいて、王妃がいて、3人の息子がいて、そこにフランスの王も入ってきて、さあ皆はどんなふうに権力や領地を取り合うのか!?と。その関係性が笑えるんだと思います。そこにプラス、森さんの演出によって、登場人物7人それぞれがとても個性豊かなキャラクターとなっています。森さんがとてもわかりやすく、「この人物は誰々風にやってみて」と指示されて……、この“誰々”はここでは言えませんが(笑)、俳優さんの場合もあれば、スポーツ選手だったり、アーティストだったり、お相撲さんだったり(笑)。面白いですね。

――“ザ・老害”とおっしゃった、佐々木さんが演じるイングランド王ヘンリー二世が“誰”風味なのか、とても気になります(笑)。どんなヘンリー像を立ち上げようとされているのでしょうか。

ヘンリーは五十過ぎの男なんですが、「老衰が始まる直前に肉体的にも精神的にも活力が急上昇した男で、それを楽しんでいる」とト書きに書かれているんです。つまり、権力も体力もある絶好調の無邪気なオッサンという、すごく迷惑な人なんですよね(笑)。でも実力もあるし、頭も回る。地位も何も次の世代に継がせたらいいのに、渡さずに全部自分のものにする男。そんな王を中心に皆が容赦なく戦い合う、そのさまが激しすぎて笑えてしまうんです。そんなふうに権力に固執しているところを、ある意味チャーミングに表現できたらと思っていますね。高畑淳子さんが演じる王妃とのやりとりも、ユーモアを交えて戦っているからすごく笑えるし。森さんが「夫婦漫才みたいにしたい」って言ってはるくらい(笑)。高畑さんが演じる王妃エレノア! ヘンリーもパワフルだけど、このお母さんのパワフルさには圧倒されます。高畑さん、ゴージャスでやっぱり面白い!

久々に味わう森演出と頼もしい共演者の面々

――稽古に入られての感触は?

立ち稽古の初日は、一幕一場の、僕と葵わかなちゃんのふたりだけのシーンを4時間以上ぶっ通しでやって、それで稽古が終わったんですよ。他のキャストの皆さんはず〜っとそれを見ていて、「今日、8回公演くらいやってますね」って言われました(笑)。翌朝は5時くらいに目が覚めてしまい、ちょっと声が枯れていて……。これが続くのか…!と思った絶望の朝でしたよ(笑)。そうだ、森演出ってこれでした〜!と思い出しましたね。以前、森さんと『BENT』(2016年上演)というお芝居をやった時も、粘り強く、繰り返し繰り返し稽古をやっていましたから。本当に、ここまで充実しなくてもと思うくらい(笑)、充実しています。

――葵わかなさんは、ヘンリーの愛妾であるフランス王女アレーを演じます。重要な役どころで、確かストレートプレイは初挑戦かと。稽古場での葵さんをどのように見ていらっしゃいますか?

小柄で可愛らしいけれど、ものすごく芯が強くて、彼女もパワフルです。台詞は完璧。役についても、戯曲を深く読み込み、しっかり舞台に立っていますね。その一幕一場の稽古でも、僕は彼女に頼りっぱなしです。僕がいくら台詞を間違えても、わかなちゃんは全部入っていて絶対に返してくれますから(笑)。自分の意思をはっきりと持った、すごく芯のある子だと毎日感じています。

――ヘンリーが、自らを追い抜こうとしている次世代に向けて「まだ引っ込まないぞ」とさらに野望をたぎらせるところは、俳優としてのご自身と照らし合わせて考えた場合、強く共感出来る部分でしょうか。長男リチャード役の加藤和樹さん、フランス王フィリップ役の水田航生さんなど気鋭の俳優陣と稽古を重ねるなかで、いい意味での危機感、競争心が生まれることもあるのでしょうか。

そうですね、同世代だったら少し考えるかもしれないけれど、世代が違うと「この年齢の時の俺はこんなに出来なかったな。よく解釈してしっかり舞台に立って、立派やなあ」と思うほうが大きいですね。加藤さんも水田さんも、この戯曲を一緒に戦う同志といった感じで、これをやり遂げたらまた絆が深まると思います。高畑さんもそう。初めて高畑さんとお会いしたのは、僕がまだ劇団(「惑星ピスタチオ」に1998年まで在団)にいたころでしたからね。29歳から30歳になるあいだ、高畑さんと舞台(『ロマンチック・コメディ』1998年上演)でずっと一緒だったんです。だから今回の共演には感慨深いものがありますね。

作品と向き合い、格闘していく時間を求めている

――いつも「しんどい〜」とおっしゃいながら(笑)、ご自身を追い詰める作品、役柄に飛び込んでいく理由を教えてください。

いや、舞台はしんどいものです。うわ〜これ、どうやるの!?と思って向かうものが舞台だという気がしているんですね。これをやったら何かが見えるだろう、いつもそう思ってやっています。映像作品と違って、舞台は稽古に1ヶ月や2ヶ月など、時間をかけることが何よりも大切なので。作品と向き合い、格闘していく時間を自分は求めているのだろうと思います。

――しんどい先に見える“何か”を、毎回とらえている?

う〜ん、映像作品なら記録として残るけど、舞台の場合はお客さんや自分の記憶でしかないわけで。残るものといったら、あ〜ちょっとここ肉離れしたなとか、そんなのばっかりですよ(笑)。でも劇場で、起こっていることを今一緒に共有している、あの感覚は日常では経験できないことで、そこは中毒になっているのかもしれないですね。稽古は嫌いやけど(笑)。先日も皆で「稽古が好きか、本番が好きか」って話をしていて、「僕どっちも嫌いや。カーテンコールだけ好きや」って言いました。そんな、舞台に出てないヤツがカーテンコールにだけ出て来たらあかんやろ、と(笑)。

――嫌いと言いながらも、しんどい時間を求めるんですね(笑)。佐々木さんが主宰する演劇ユニット「Team申」の前作の舞台『君子無朋』(2021年7月上演)では、演出を劇団桟敷童子の東憲司さんが手掛けていましたが、今後一緒に舞台を作りたいと思う、気になるクリエイターはいますか?

いますよ! 僕、劇作家の横山拓也さんが主宰している「iaku」の舞台は、ここ何本か続けて観ています。ものすごく面白いと思う。前に観に行った時、劇場にいらしてご挨拶したんだけど、横山さんが「僕、一番最初に観た舞台が「惑星ピスタチオ」だったんです」とおっしゃって(苦笑)。横山さんの描く世界は面白いですね。

――いつかおふたりのタッグも実現していただきたい。まずは『冬のライオン』を楽しみにしています。

劇場では安心して観に来ていただける環境を作っていますので、多くの皆さんにお会いしたいですね。舞台上で、家族がバチバチぶつかり合うさまを、ぜひ目撃していただけたらと思います。

取材・文:上野紀子 撮影:稲澤朝博



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『冬のライオン』
2022年2月26日(土)~2022年3月15日(火)
会場:東京芸術劇場 プレイハウス

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