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ホーバスHCがバスケ男子日本代表に、新たなスタイルと新たな文化を植え付ける!

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富樫勇樹  (C)JBA

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トム・ホーバスヘッドコーチの熱はオンラインの画面越しでも伝わってくる。『FIBA バスケットボールワールドカップ 2023』アジア地区予選へ向けて、準備を進めるホーバスHCは男子日本代表に新たなスタイルを植え付けようとしていた。バスケットの新たなスタイルを構築するのは容易ではない。さらにチームの文化も変えようと日々奮闘していた。Bリーグのシーズン真っ只中で『W杯』アジア予選へ向けての準備期間が少なくても、コロナ禍で代表活動が制限を受けても、だ。

女子日本代表を『東京オリンピック』で銀メダルまで導いたHCはチーム強化の魔法なんて存在しないことを知っている。勝つため、チームを強くするためには地道な努力の積み重ね以外に道がないことも熟知している。それでもなお指揮官は困難に挑戦する。2月21日、メディア対応に登場したホーバスHCは勝利への渇望を口にした。

「中国戦は全然いい試合できずに結果も残せなかった(昨年11月に『W杯』アジア予選ウィンドウ1で対戦し、初戦63-79、第2戦73-106)。あの2試合のポジティブなところはうちのスタイルをみんなが意識していたこと。2ポイントシュートと3ポイントシュートのバランスも悪くなかった。フリースローの数も多かった。パーセンテージは悪くて修正しないといけないが、我々のバスケの道に入った。オーストラリアも結構も若いメンバーが来るし、チャイニーズ・タイペイに関してはFIBAランキングはうちの方が上。勝ちたい。結果が大事。勝てばもっと自信を持つ選手が多くなる。選手個々の自信が高まり、チームの自信も高まる」

ホーバスHCは相手のスカウティングがままならない中、自分たちにフォーカスすることの重要性を説いた。
「チャイニーズ・タイペイのメンバーは結構変わった。今いろいろとスカウティングをやっているが、データが少ない。スカウティングビデオには帰化選手が入っていない。前日(2月25日)にあるオーストラリア×チャイニーズ・タイペイでしっかりスカウンティングしたい。
オーストラリアも若い選手が入っている。Bリーグの3選手に関してはスカウティングができているが、若い選手の特徴まで把握できていない。短い合宿で時間が少ないので、相手のことよりも自分たちのバスケに集中している」

約3か月ぶりの代表活動ではまず自分たちのバスケを再確認した。
「第一次合宿からレベルアップしたい。2~3か月経ち、選手たちがスタイルを忘れていたか心配だったが、前回の合宿から確実にレベルアップした。長い期間集まってなかったので、まずオフェンスとディフェンスのベースを再度教えている」

指揮官は主将の富樫勇樹にさらなるリーダーシップを求めた。
「第1合宿に比べると勇樹はアグレッシブにやっている。キャプテンの仕事について、彼と私が勉強中。私は熱い人で声を出す、彼は物静かで冷静なタイプ。彼はオン・ザ・コートのリーダー。もっと声を出してほしい。そこはしつこくしつこく言っていく。それが彼のためになり、チームのためになるのだから」

今回の合宿からアソシエイトヘッドコーチに盟友であるコーリー・ゲインズを招聘した。
「オフェンスに関して特別な人。20年前のセットプレーとか覚えていて、いろいろな経験を持っている。20年来の友人であり、彼はいろんな選択肢を示してくれるので、アイデアは出てくるし、仕事はしやすい。このチームに合っている」

女子日本代表と同様に男子日本代表でも協力を求められたゲインズAHCは、自らの役割をこのように述べた。
「この機会を与えられて光栄に思う。ホーバスHCとの関係も長く、女子代表の時から一緒に仕事をする機会があった。合宿は日が短いし、中国戦も見たが、すべてにおいて時間がかかる。ホーバスの目指すバスケットは理解しているし、やりたいバスケを実行するためのツールはある。何よりも男子の文化を変えようとしている。時間はかかるが、女子で成し遂げたことを男子でもやろうとしている」

AHCはプレーを変えるためには、マインドセットを変える必要があると語った。
「ゲームに対するスタイル面でのアプローチもそうだが、毎日コートに立つ時のマインドセットのアプローチが必要。その日どのようにバスケットと向き合うのか。ベストを尽くして必ず少しでも上達するという意思や何かを成し遂げるために常にアグレッシブな姿勢を持つことがすごく大事」

ゲインズは『リオ五輪』直前の『三井不動産カップ』豪州戦で女子日本代表の選手たちの変化を実感したと振り返った。
「それまでのプレーは受け身であり、相手が何かをしたら自分たちがやり返すような姿勢を感じていた。でも自分たちから攻撃的にプレーできるように変わった。相手を狩りにいくようなマインドが見られた。追われる立場ではなく、自分たちからやっつけようというメンタル面の変化を感じた。時間がかかるとは思うが、男子日本代表でも絶対にできると思っている」

2月24日・25日には日本代表候補の選手たちがオンラインで取材に対応。次のように意気込みを語った。

富樫勇樹「トムさんにはいろんな経験を発信してほしいと言われているので、まだまだできていないので、これから徐々にそういう部分でも成長していきたい。
このチームはPGが中心になって引っ張っていくシステムだと思うので、(ゲインズから)『好きにやれ』ではないが、引っ張っていくように求められている。いろいろなアドバイスをもらえるし、すごく助かっている。コーチとしてすごい経験あるので、いろいろ聞いていきたい。
2回目のウィンドウということで、トムさんへのバスケの理解度も高まっているのでいい結果を残したい。オフェンス面でのスピードのコントロールと3Pは自分の武器なので、ディープスリーもそうだが、決めていきたい」

安藤誓哉「今回から招集されてトムさんともいろいろしゃべって、バスケットのスタイルはインスピレーションで5人が発想を持った中で阿吽の呼吸でパスやドライブやシュートを作る印象がある。これをしっかり完成させるには一日一日の練習を本当に大事にしないといけないと感じた。トムさんからも『このバスケはPGがポイントになる』と言われているので、しっかりリングにアタックしていきたい。いい意味で迷わないで、シンプルに判断した方が周りも合わせやすいと思うので、まずシュートから展開していくのがいい。引き続きシンプルにアグレッシブにプレーしていきたい」

古川孝敏「代表は昔から追い求めてきた場所であり、日本を背負って戦いと思ってきたので、その自覚を持って戦っていきたい。まず初戦のところで自分たちがいい試合できるようにしたい。まず台湾戦、自分たちのバスケットをコートで表現できるようにチーム全員でひとつになって全力を尽くしたい」

シェーファー アヴィ幸樹「リバウンドが取れれば、それだけポゼッションが増えるのですごく大事。僕がしっかり身体を張ってリバウンドを取れるようになれば、チームとしてももっと良くなっていくし、自分の中でかなり大事にしている。自分が取れなくても弾いて、ほかの選手に取らせることを意識している。自分で取るのも大事だが、取らせないことの方が大事。
各々が役割をしっかり全うすれば勝てると思う。自分はとにかくディフェンスで相手に簡単にやらせないこととリバウンドをもぎ取ること。オフェンスではほかの選手がより打ちやすいように、より動きやすいようにバランスを整えていくことを意識してプレーしていきたい」

竹内公輔「必要とされていると言われたので、シーズン中で難しい状況だが、代表のためにやろうと思った。しがみついてでもというより必要だと言われたので、応えたい気持ちが強い。若い選手に負けないという気持ちもある反面、若い選手の手助けをしたい気持ちが強い。

空いたら打つ。Bリーグと戦い方が変わってくるので、アジャストしていかないといけない。全員でボールを動かしてノーマークを作って、しっかり打つバスケをしっかりやっていきたい。トムさんは『今日の練習は良かった』『今日はエナジーが足りなかった』と最後のハドルで言うが、僕は毎回トムさんに『今日は良かった』と言われたい。毎日毎日昨日よりいい練習を続けて試合に臨みたい」

『W杯』アジア予選ウィンドウ2の日本代表候補選手(予備登録メンバー)は以下の通り。

竹内公輔(PF/宇都宮ブレックス)
ファジーカス ニック(C/川崎ブレイブサンダース)
古川孝敏(SF/秋田ノーザンハピネッツ)
金丸晃輔(SG/島根スサノオマジック)
ロシター ライアン(PF/アルバルク東京)
谷口大智(PF/茨城ロボッツ)
比江島慎(SG/宇都宮ブレックス)
チェンバース アキ(SF/群馬クレインサンダーズ)
熊谷尚也(SF/川崎ブレイブサンダース)
エヴァンス ルーク(C/ファイティングイーグルス名古屋)
森川正明(SF/横浜ビー・コルセアーズ)※
野本建吾(PF/群馬クレインサンダーズ)
安藤誓哉(PG/島根スサノオマジック)
富樫勇樹(PG/千葉ジェッツ)
原修太(SF/千葉ジェッツ)※
佐藤卓磨(SF/千葉ジェッツ)
齋藤拓実(PG/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
今村佳太(SG/琉球ゴールデンキングス)
フリッピン コー(PG/琉球ゴールデンキングス)
アキノ マシュー(C/信州ブレイブウォリアーズ)
寺嶋良(PG/広島ドラゴンフライズ)
シェーファー アヴィ幸樹(PF/シーホース三河)
マーフィー アイザイア(SG/広島ドラゴンフライズ)
西田優大(SG/シーホース三河)

『W杯』アジア予選・チャイニーズ・タイペイ×日本は2月26日(土)、オーストラリア×日本は翌27日(日)、いずれも沖縄アリーナにてティップオフ。試合の模様はチャイニーズ・タイペイ戦はBS日テレ、豪州戦はBS朝日、2試合ともDAZNにて生中継。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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