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岡田将生が“善”と“悪”を見せる 『昭和元禄落語心中』で表現のすべてをぶつける圧巻の演技

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リアルサウンド

 NHKドラマ10『昭和元禄落語心中』で、人気落語家を演じる岡田将生。そのあまりの美しさに、思わずため息が漏れてしまう。

 岡田は2006年にデビューすると、2007年にはドラマ『生徒諸君!』(テレビ朝日系)、『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』(フジテレビ系)にメインキャストで出演。とりわけ『花ざかり~』では、小栗旬、生田斗真、水嶋ヒロといった人気俳優と並んでも、まったく引けを取らない存在感を発揮。時代の流れとともにイケメンは次々に現れるものだが、当時、岡田の美しすぎるルックスに「何者だ」と心を奪われた衝撃は、未だに忘れられない。

【写真】『昭和元禄落語心中』和装姿の岡田将生

 また同時期に公開となった映画『天然コケッコー』も話題となり、2009年には『ハルフウェイ』、『重力ピエロ』、『僕の初恋をキミに捧ぐで名だたる役者陣とW主演。さらに『ホノカアボーイ』では映画単独主演を果たし、これによって第33回日本アカデミー賞をはじめ、各映画賞の新人賞を総なめに。テレビにおいても『オトメン(乙男)~夏~』(フジテレビ系)で連続ドラマ初主演と、デビューからわずか3年足らずで誰もが知る人気俳優へと駆け上がった。

 岡田といえば、透き通るほど白い肌に、スラリと伸びた手足(ちなみに手指も綺麗)と、非の打ち所がない爽やか美男子。そして、バラエティ番組で度々映し出される先輩からのイジられっぷりや、数々の天然エピソードなど、可愛らしさも100点満点。それゆえ正直者の好青年、言うなれば “善”のイメージが強い。

 だが役者としては、映画『悪人』(2010年)の浮ついた大学生役や、ドラマ『小さな巨人』(TBS系/2017年)の出世欲にまみれた刑事役などで見せた、人を小馬鹿にしたような“悪”としての演技にも定評がある。また『伊藤くん A to E』(TBS系/2017年・映画/2018年)では、自意識過剰なナルシスト役をコミカルに演じ、その“痛男”っぷりにジワジワとハマる女性が続出。どんなにルックスが良かろうと、実力がなければ淘汰されていくのが役者の世界。だが岡田は、デビュー後即ブレイクという状況におごることなく、着実に演技の幅を広げてきた。

 そんな岡田が、現在『昭和元禄落語心中』で演じているのが、落語の名人・有楽亭八雲。初回は白髪交じりの頭に、シワが刻まれた頬という晩年の姿から始まり、以降、八雲が青年時代を回想する形で話が進む。度肝を抜かれたのは、第2話で登場した若き日の菊比古(後の八雲)の美しさ。和装姿はうっとりするほど妖艶で、その岡田が拝めるだけでもドラマを観て損はないと思うほど。第4話に、菊比古に思いを寄せる芸者・みよ吉(大政絢)が「(落語は好きじゃないが)しゃべってる菊さんが綺麗だから見に行くの」と話すシーンがあるのだが、「でしょうね」と首を縦に振るばかりである。

 立ち姿や所作に、どこか品があるのも岡田の魅力だが、滲み出る上品さが見事に菊比古にハマっている。そして、友情、愛情、嫉妬、欲望など、とめどなく湧き上がる人間くさい感情を、冷静を装い自らなだめる菊比古は、とても艶っぽい。

 一方で、落語のらも知らずに、まずは落語を楽しむことから稽古を重ねたという岡田だが、意を決して臨んだしゃべりは、落語ファンからも称賛の声があがっている。また本作の落語指導を務め、第4話で木村家彦兵衛に扮した柳家喬太郎との稽古場面は、ドキュメンタリーかと錯覚を起こすほどリアリティにあふれ、岡田が落語と真摯に向き合ってきたことが伝わる名シーンだった。そして、菊比古がすべてを吹っ切り披露した「死神」は圧巻で、同時に役者・岡田将生としてもこの上ない輝きを放つのだった。

 物語は、ここから助六(山崎育三郎)とみよ吉の死の真相に迫っていくこととなり、シリアスな展開へと突入する。心から落語を楽しみ、みよ吉を愛した“善”の自身を封じ、地獄に落ちても落語と心中することを決め、ある種“悪”としての面が見え始めた菊比古を岡田がどう演じるのか。目を奪われる美貌と色気、ハイレベルな落語、10代~晩年までの演じ分けと、これまで培ってきた表現のすべてをぶつける『昭和元禄落語心中』は、間違いなく岡田の代表作となるはず。そして、回を追うごとに視聴者の中で高まる多様な期待にも、岡田はきっと応えてくれることだろう。

(nakamura omame)