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長塚圭史が溝口健二の映画でミュージカル初挑戦! KAAT2022年度ラインアップ

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KAAT神奈川芸術劇場 芸術監督・長塚圭史

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KAAT 神奈川芸術劇場の2022年度ラインアップ発表会が2月28日、オンラインで開催され、芸術監督の長塚圭史が出席。溝口健二監督の同名映画を長塚がミュージカル化する『夜の女たち』、赤堀雅秋が黒澤明の名作の舞台化に挑む『蜘蛛巣城』、岡田利規がドイツのミュンヘンの劇場での上演のために書き下ろした戯曲を本谷有希子の演出で上演する『掃除機』など、多彩なクリエイターによる企画が発表された。

昨年4月より芸術監督に就任した長塚は、「冒」をテーマに様々な作品を上演した昨年を「非常に充実した1年でした」と述懐。来るべき新年度に向けて「忘(ぼう)」を新たなテーマに掲げる。「僕らは日々、忘れていきます。ものすごい情報量の中で生き、大事なものも忘れていきますし、もはや覚えようともしなくなっている時代なのかもしれません。でも忘れちゃいけないことを思い出す動作は必要だと思います。いま僕らがどこに立ってるのか? なぜこうした社会にいるのか? そこにはいろんな時間が眠っています。忘れることで、強く生きられる部分もあります。『忘れる』という言葉は、非常に人間性を映しだす気がしています。『忘』という言葉は、人間そのものを照らし出すかもしれません」とテーマに込めた想いを語る。

メインシーズンの開幕を飾るのは、長塚にとって初のミュージカルとなる『夜の女たち』。溝口健二の映画は敗戦後の大阪に生きる女たちの姿を描いているが、長塚は「占領下で、昨日まで信じたものが全てひっくり返った時代の物語」と人々の価値観が大きく転換した時代を描くことへの意欲を口にし「そこには音楽の力が必ずあったと思うので、ミュージカルにしたいと思いました。暗い時代ですが、ミュージカルの力でひらけた夜の女たちを作りたい」と意気込みを語った。

また、今年は沖縄が本土に復帰して50年となるが、11月から12月にかけて、沖縄在住の兼島拓也の脚本で、沖縄出身の田中麻衣子が演出を担当しての新作(タイトル未定)が上演されることも明らかになった。

このほか、串田和美が1994年から上演し、ライフワークともなっている『スカパン』、山内ケンジの作・演出による『温暖化の秋- hot autumn -』(仮)、2020年秋に上演された森山開次の作・演出・出演によるノンバーバル作品の再演となる『星の王子さま -サン=テグジュペリからの手紙-』の上演も決定。

また、KAAT初登場となる赤堀雅秋は、黒澤明の同名映画を原作に、齋藤雅文の作・演出で2001年に新橋演舞場で上演された『蜘蛛巣城』に挑む。赤堀はビデオメッセージで「泥臭い作品にしたい。(映画を)踏襲するのではなく、もうちょっと若い、若さゆえの何かを視点として作品にできたらと思います。初めての時代劇ですが生々しい人間像を描けたら」と意気込みを語った。

22年度ラインアップ 演出家・作家(上段左より、鬼頭健吾 北村明子 松井周/中段左より 串田和美 山内ケンジ 田中麻衣子/下段左より 森山開次 赤堀雅秋 本谷有希子

本谷有希子の演出による『掃除機』は、岡田利規の作・演出で2019年12月に『The Vacuum Cleaner』のタイトルでドイツのミュンヘンの劇場で上演された作品で、80代の父親、50代のひきこもりの子どもらの姿を、一家の掃除機の視点で描いた異色作。ビデオでメッセージを寄せた本谷は「(岡田の戯曲を)壊していかなきゃ! ということに頭が行ってたけど、岡田さんと偶然お会いして話をして、壊しながら育み、また壊して構築するという作業にどれだけ持っていけるかだなと思いました。いま、自分の劇団(劇団、本谷有希子)を休止している状態で、私は自分のことを演出家だと思ってない節があるんですが、そんな中で他人のアタマの中を舞台化するというのは未知のことで、興味があります。チャレンジになると思いますが頑張りたいです」と語り、長塚も「いわゆる“8050問題”を描いてますが、掃除機のキャラがチャーミングで、見事に社会を捉えている作品。岡田さんの描く強い世界を、同じく世界を持っている本谷さんが演出したらどうなるか楽しみです」と期待を寄せた。

プレシーズンでは現代アーティスト・鬼頭健吾の作品とライブパフォーマンスをコラボレートした『鬼頭健吾展 Lines』、キッズ・プログラムとして昨年、舞踊家の北村明子(振付・演出)と現代美術家の大小島真木(美術)のタッグで制作し好評を博した『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』、同じくキッズ・プログラムとしてコロナ禍で延期となっていた松井周の作・演出で白石加代子を迎えて制作する『さいごの1つ前』が上演されることも発表。

ジャンルの垣根を超えたアーティストたちによる多彩な演目に期待が集まる。

取材・文:黒豆直樹

KAAT神奈川芸術劇場 2022年4月~2023年3月主なラインアップ

<プレシーズン>
■KAAT EXHIBITION 2022『鬼頭健吾 展 Lines 』+関連企画
2022年5月1日(日)~2022年6月5日(日)・アトリウム

■KAAT キッズ・プログラム2022『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』
振付・演出:北村明子
美術:大小島真木
2022年7月下旬 ・大スタジオ

■KAAT キッズ・プログラム2022『さいごの1つ前』
作・演出:松井周
2022年8月中旬・大スタジオ

<メインシーズン『忘』>
■KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『夜の女たち』
原作:久板栄二郎
映画脚本:依田義賢
上演台本・演出:長塚圭史
音楽:荻野清子
2022年9月上旬下旬・ホール

■『スカパン』
原作:モリエール
潤色・美術・演出:串田和美
2022年10月下旬・大スタジオ

■KAAT× 城山羊の会『温暖化の秋 hot autumn』(仮)
作・演出:山内ケンジ
2022年11月・大スタジオ

■KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『タイトル未定(新作)』
作:兼島拓也
演出:田中麻衣子
2022年11月下旬~12月上旬予定・中スタジオ

■KAAT DANCE SERIES『星の王子さま サン=テグジュペリからの手紙』
演出・振付・出演:森山開次
美術:日比野克彦
衣裳:ひびのこづえ
音楽:阿部海太郎
2023年1月下旬・ホール

■KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『蜘蛛巣城』
原脚本:黒澤明 小国英雄 橋本忍 菊島隆三
脚本:齋藤雅文
演出:赤堀雅秋
2023年2月中旬3月上旬・ホール

■KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『掃除機』
作:岡田利規
演出:本谷有希子
2023年3月上旬・中スタジオ

■YPAM 横浜国際舞台芸術ミーティング 2022
2022年12月上旬・ホール / 大スタジオ / 中スタジオ(予定)

【提携公演】
ROTH BART BARON 5月・大スタジオ
小㞍健太+森永泰弘 5 月・中スタジオ
横浜夢座 5月・大スタジオ
ケダゴロ 5月・大スタジオ
モメラス 6月・大スタジオ
CATプロデュース『テーバスランド』 6~7月・大スタジオ
快快(FAIFAI) 8~9月・大スタジオ
劇団た組 9~10月・大スタジオ
Co.山田うん 10月・大スタジオ
地点 12月・ホール 、2月・大スタジオ
オペラシアターこんにゃく座 3月・ホール

※各公演の最新情報は、劇場公式サイトhttps://www.kaat.jp/にてご確認ください。

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