建築家にとどまらない活動を紹介。東京都現代美術館で『吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる』開催
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《大学セミナー・ハウス 本館》1965年 (撮影:北田英治、1997年)
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すべて見る吉阪隆正(1917~1980)は、戦後復興期から1980年まで建築家として、また、建築を中心とした教育者、登山家、冒険家、文明批評家など横断的に活躍した。東京都現代美術館で3月19日(土)から開催される『吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる』では、そんな幅広い顔を持った吉阪の活動を紹介する。
1917年に東京で生まれた吉阪は、「考現学」の創始者として知られる今和次郎、近代建築の巨匠ル・コルビュジエに師事。戦後の住宅難解消のため、住むためにすべてが準備されている大地を人工の力でつくる「人工土地」を提唱した。そんな人工土地の上に住む住宅《吉阪自邸》や、《ヴェネチア・ビエンナーレ日本館》、《アテネ・フランセ》などを手掛け、コンクリートによる彫塑的な造形を持った独特の建築で知られている。
世界各国の大学や会議に招聘されるなど国際的に活躍する一方、吉阪は新しい社会や環境、未来へ向けた集住とすがたを提言した。自身の著作執筆だけでなく、師のコルビュジエの著作も数多く翻訳して、日本での普及に努めた。さらに住宅建築、公共建築、山岳建築や地域計画を手掛けたり、アラスカやアフリカなどへ探検する冒険家・アルピニストの活動も行った。
同展では吉阪の生涯と領域横断的な活動を、7章に構成して紹介する。
主宰した設計アトリエの「U研究室」、教鞭を執った大学院の学生らと共に、ディスカッションをしながら、集団で建築を作り上げていった30の建築とプロジェクトを、スケッチ、原稿、ノート、書類、写真といった創造の源泉となる資料とともに紹介。吉阪が建築によって目指したものとは何か、社会へのメッセージを紐解いていく。その中でも、地域計画のプロジェクト展示は初めてとなる。
同展を、地域や時代を超えて見渡すことなどを意味する、吉阪自身の造語“パノラみる”ことで、個から地球規模への活動の広がりを知り、現代における吉阪隆正の仕事を再評価する絶好の機会となるだろう。




【開催概要】
『吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる』
会期:2022年3月19日(土)~6月19日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F
時間:10:00~18:00(展示室入場は17:30まで)
休館日:月曜(3月21日は開館)、3月22日(火)
料金:一般1,400円、大学・65歳以上1,000円、高中500円
■公式サイト: https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/takamasa-yosizaka/
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