サンゴリアスの首位奪取か? スピアーズの1位確保か? NTTリーグワン首位攻防戦キックオフ!
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ダミアン・マッケンジー(東京サンゴリアス) (c)スエイシナオヨシ
首位攻防戦だ。『NTTジャパンラグビー リーグワン2022』第9節交流戦で1位クボタスピアーズ船橋・東京ベイと2位東京サンゴリアスが激突する。ともに1敗である。勝点差はわずかに1しかない。両チームとも後半戦へ向けて、そして『NTTリーグワン プレーオフトーナメント2022』を睨み、トップに立っておきたいところである。
前節は対照的な試合展開だった。『NTTリーグワン2022』第7節・埼玉ワイルドナイツ戦で17-34のショッキングなダブルスコアでの敗戦を食らった東京SGだが、第8節ではそのショックを完全に払拭。コベルコ神戸スティーラーズを相手に、自慢のアグレッシブアタッキングラグビーが炸裂した。
前半11分にラインアウトからモールをドライブされて神戸Sに先制を許すも、3分後にはオーストラリア代表38キャップのCTBサム・ケレビのトライで同点、ニュージーランド代表40キャップのFBダミアン・マッケンジーがCGを決めて逆転すると、トライショーが開演。17分ラインブレイクしたマッケンジーがWTB尾崎晟也とのワンツーパスで相手を置き去りにすると、24分には『トップリーグ2021』トライ王のWTBテビタ・リーが独走トライ。33分にはCTB中村亮土のグラバーキックにマッケンジーが反応、インゴール中央に回り込んだ。
28-5で折り返した東京SGの勢いは後半に入っても衰えない。45分、スクラムから左へ展開、ケレビからパスを受けたリーがタッチラインぎりぎりで踏みとどまりトライをマーク、マッケンジーはこの難しい角度のCGもズバリ。57分素早いリスタートからFL小澤直輝がトライを奪取すると、その5分後に神戸Sが一本返す。圧巻は65分。途中出場のSO森谷圭介がランで相手守備網にギャップを生じさせると、パスを受けた中村が突破。中村は同じく途中出場のWTB仁熊秀斗に絶妙なタイミングでノールックバックフリップパス一閃。最後はサポートに走っていたマッケンジーがボールを受けてハットトリックを達成した。
71分、神戸Sが意地の3トライ目をマークし、ラストワンプレーを告げるホーンが鳴っても、東京SGは攻め手を緩めなかった。インゴール前でスクラムを選択、何度も神戸Sを押し込んだ。そして途中出場のSH流大からマッケンジー、さらにリーとボールは渡たり、こちらもハットトリック。タイトな角度のCGもマッケンジーが見事に成功させて56-17でノーサイドとなった。
ハットトリックにキック8本中8本成功の計31得点を叩き出し、文句なしのプレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)に選ばれたマッケンジーは試合後、「チームとしていいパフォーマンスができた。FWもセットピースのところでいいボールを供給してくれて、自分としてもいい仕事ができた。先週の非常に悔しい試合からカムバックし、今日はチームとしてすごくポジティブなパフォーマンスができた」と振り返った。
コンビネーションの成熟度について質問が飛ぶと、マッケンジーはこう答えた。
「素晴らしいクラブで素晴らしいチームメイトがいるので楽しめている。全員でコンビネーションが合ってきている感覚がある。サントリーのアタッキングラグビーが自分には合っていると思うし、自分のプレーでチームがより良くなるように心掛けている」
ランにパス、キックだけではない。69分にはインゴールへ突進する203cmのJD・シカリングに背後から追い駆けてタックルを決めた。果敢なディフェンスを称えられると、「身体が大きい相手を倒すには、低く入る。低く鋭く入ることを意識して入れた。少し体を痛めてしまったが」とコメントした。
指揮官と主将は次のように試合を振り返った。
ミルトン・ヘイグ監督「いいゲームだった。前半私たちはいいディフェンスをした。後半は同じようにプレーしたが、いくつか課題も見つかった。とくにキャッチパス、ブレイクダウンのところ。次の試合までに修正しなければいけない。ただボーナスポイントを取れたし、満足している」
中村主将「先週負けてがっかりしてからのスタートだったが、選手みんなが気持ちを切り替えて、しっかり修正すべきところに向き合って修正し、東京サンゴリアスのラグビーができた。本当にチームメイトを誇りに思うし、たくさんスクラムを組んでくれたFW陣に感謝したい」
主将はディフェンスの充実ぶりを口にした。
「ディフェンスがよかった。前半のほとんどがターンオーバーからのトライ。我慢してペナルティせずにディフェンスできた。先週負けて課題が明確になった。ペナルティとオフサイド、ロールアウェイを意識して、今日は余裕を持ってディフェンスできた」
さらにマッケンジーとのコンビについて、こう手応えを口にした。
「彼の出すパスのタイミングとか、試合を重ねるたびに合ってきた。同じ絵を見てプレーすることができている。どんどんコミュニケーションを取ることでどんどんよくなっている」
接点とスクラムで前に出続けたLO辻雄康とリズミカルな球出しでアタックをリードしたSH齋藤直人は、次のようにコメントした。
辻「セットプレーでもフィールドプレーでも相手に対してプレッシャーを与え続けられたので、それがアグレッシブアタッキングラグビーにつながったのでは。自分がサントリーのためにできることは、フィジカルで相手を押し戻したり、ボールキャリーで前に出ること。接点で相手にしっかりダメージを与えていくことを意識した」
齋藤「前半から自陣からでもチャンスがあれば攻めていこうと。ミスもあったが、最後までそれを貫けたのでよかった。パナソニック戦の後はショートウィークだったので、すぐに神戸戦へ切り替えた。もう一度サントリーらしさを出そうと。エリアを問わずチャンスがあればアタックして、その中でキックを使う。そういうところはハーフ団の役割、10・12番と意思疎通してやった」
3月7日のメディア対応にはFL小澤が出席。日本代表4キャップの社員戦士は神戸S戦を次のように振り返った。
「パナソニック戦の課題は自分たちで我慢し切れなかったところ。自分たちのディフェンスにしっかり自信を持って、不用意なペナルティをしない。そういう部分ではその前の週の試合と比べて、神戸戦は改善できた。中でもカウンターからのトライだったり、サンゴリアスらしいトライが取れたので、そこから自信を持ってディフェンス、アタックができた」
小澤は一人ひとりが埼玉WK戦の敗戦を受け止めたと言う。
「ワイルドナイツ戦が終わった後、選手主体の4グループぐらいのミーティングを実施した。その時挙がった課題はペナルティ。なぜペナルティが起きたのかまで、一人ひとりが考えた。いつもよりも一歩踏み込んで考えた結果、神戸戦でペナルティが減った要因になるのでは。試合の中で修正するというのができず、フラストレーションを溜めていたので、そういう場合はどうするか話し合った。チームとしてしっかり受け止めて次に向かうひとつの敗戦だったと思う」
次戦・S東京ベイ戦へ向けてはこう抱負を語った。
「FWが大きく、外国人メンバーが多いので、フィジカルバトルでまず負けない。継続して不要なペナルティをしない。相手の土俵で戦わないというのが大事になる。大きいFWを前面に押し出したプレー、スクラム、ラインアウト、モールがキーポイントになってくる。不要なペナルティを与えると角に持っていかれて、モールからのアタックが出てくるので、それをいかにさせないかというのが大事」
一方、S東京ベイは第8節で静岡ブルーレヴズと対戦。勝つには勝ったが、前半と後半で異なる戦い模様となった。ルアン・ボタ、デーヴィッド・ブルブリング、ヘル ウヴェのLO勢に日本代表主将のFLピーター・ラピース・ラブスカフニ、元NZ代表48キャップのCTBライアン・クロッティを欠いたS東京ベイだったが、前半はこれまで通りに圧力をかけた。
6分CTBテアウパ シオネが先制トライを決めると、17分WTB根塚洸雅のラインブレイクからサポートに走ったSH藤原忍がトライ。21分には残り10mでのラインアウトからモールと思いきや、PRオペティ・ヘルがショートサイドへ回り込んでそのままトライ。27分に静岡BRに一本返されるも、37分オーストラリア代表71キャップのSOバーナード・フォーリーがPGを成功。41分には今度はラインアウトからドライビングモール、最後は南アフリカ代表44キャップのHOマルコム・マークスが飛び込んで27-7で前半を終えた。
後半は五分の展開から53分に反則の繰り返しでFLファウルア・マキシがシンビン(10分間の一時退場)となると風向きが変わる。55分にSOサム・グリーンがトライ、FB奥村翔がCGを決めると、2分後にはS東京ベイがPGで加点して30-14。マークスがケガでピッチを去ると、さらに旗色は悪くなる。この日100キャップのHO日野剛志が連続トライをゲットする。60分にラインアウトからのモールが崩れたが、日野がディフェンスラインの穴を突いてインゴールへ、69分にはそのままモールを押し込んだ。ただCGは2本連続で失敗し、30-24。その後S東京ベイが時間を有効に使いノーサイドを迎えた。
反省点の多い白星にも、ヘッドコーチとキャプテンはポジティブにとらえた。
フラン・ルディケHC「大事なことは勝ち続けること。自分たちの信じたラグビーをして勝ち続けたい。前半と後半、ふたつの戦いがあった。前半は選手たちが役割を遂行し、後半はミスから相手に勢いを与えた。若手がゲームの中で我々のシステムを知ることができてよかったし、ステップアップしてくれてよかった。ケガ人がいる中、こうして勝ててよかった」
立川理道主将「前半はうまくコントロールしながらゲームを進められてよかった。最後の15分はさらにタフな状況だったが、一人ひとりがしっかり判断して勝ち切れた。経験の少ない選手が出ながら、しっかり勝って反省できるのはよかった。ショートウィークだが、サントリー戦にしっかり備えたい」
初トライをマークし、POMに選出されたオペティと初先発初トライを記録した藤原は、こう語った。
オペティ「ハードワークが実ってよかった。ブルーレヴズにしっかりプレッシャーをかけてられた。後半風が強くてプレッシャーをかけ切れなくなったが、ベストを尽くした。次に繋げていきたい。
(初トライについて)自分ができることで貢献した。自分だけではなく、みんなのおかげ。自分が大きく動くようにプランを作ってくれた。あとはみんなのハードワークの結果がトライに繋がり自分もハッピーだし、みんなもハッピーだと思う。
(東京SG戦について)アタッキングマインドがすごいし、大きくて強いし、動きも速い。ただ、自分としては来週もパフォーマンスをしっかり出していきたい。練習でも一日目からエネルギーを上げてしっかりやり、チームメイトを信頼して、いい試合にしたい」
藤原「いい入りからトライを奪えたが、後半は流れが向こうにいってから、流れを変えられなかった。
(初トライについて)WTBがラインブレイクしてくれたので信じてサポートした。『いいプレーをしてやろう』とは思っていないし、やるべきことをやった結果。ブレイクダウンで周りを生かせていないシーンがあったので、次の相手は強いが、プレッシャーの中、周りを見て生かしていきたい。
(東京SG戦について)すごいアタッキングラグビーをしてくるし、ディフェンスもすごい。反則をしないイメージ」
試合登録メンバーは以下の通り。
【東京サンゴリアス】
1石原慎太郎、2堀越康介、3垣永真之介、4辻雄康、5小林航、6下川甲嗣、7小澤直輝、8ショーン・マクマーン、9流大、10田村煕、11テビタ・リー、12中村亮土、13サム・ケレビ、14尾崎晟也、15ダミアン・マッケンジー、16北出卓也、17森川由起乙、18須藤元樹、19ハリー・ホッキングス、20飯野晃司、21齋藤直人、22中野将伍、23テビタ・タタフ
【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】
1北川賢吾、2杉本博昭、3オペティ・ヘル、4松井丈典、5青木祐樹、6トゥパ フィナウ、7末永健雄、8ファウルア・マキシ、9谷口和洋、10バーナード・フォーリー、11根塚洸雅、12立川理道、13テアウパ シオネ、14金秀隆、15ゲラード・ファンデンヒーファー、16大塚健太郎、17羅官榮、18松波昭哉、19堀部直壮、20千葉雄太、21藤原忍、22岸岡智樹、23山崎洋之
東京SGは頭部へのコンタクトの対処手順におけるコーチングの介入を経て、出場停止処分が1週間減免されたNO8タタフが第4節以来の登場となる。さらにWTB中野の戦線復帰も心強い。東京SGが充実のメンバーを並べるのに対して、S東京ベイは前節に続き、ボタ、ブルブリング、ウヴェ、ラブスカフニ、クロッティが欠場。さらにマークスも欠くというスクランブル状態に陥った。
果たして、首位に立つのは東京SGか、S東京ベイか。『NTTリーグワン2022』第9節・東京SG×S東京ベイは3月11日(金)・秩父宮ラグビー場にてキックオフ。チケット発売中。
取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
東京サンゴリアス対クボタスピアーズ船橋・東京ベイ NTTジャパンラグビー リーグワン 2022 DIVISION 1のチケット情報
https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2202702&rlsCd=008&lotRlsCd=
東京サンゴリアスのチケット情報
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=11027037
クボタスピアーズ船橋・東京ベイのチケット情報
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=11027060
ジャパンラグビー リーグワン 特設ページ
https://t.pia.jp/pia/events/rugby-leagueone/
ジャパンラグビー リーグワン 2022 観戦ガイド
https://book.pia.co.jp/book/b597752.html
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