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勝負の開幕5連戦を乗り越えて川崎F、ホーム25戦負けなしのJ1タイ記録達成なるか!?

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脇坂泰斗(川崎フロンターレ) (C)スエイシナオヨシ

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さすがV2王者である。鬼木達監督が「すごく重要な5つ」と定めた『2022明治安田生命J1リーグ』開幕5連戦を川崎フロンターレは3勝1分1敗で走り抜けた。

昨季は2敗のみ、一昨年も3敗しかしていないチームは2戦目に早くも黒星を喫した。しかも、横浜F・マリノスとの真っ向勝負の末、2-4で敗れたのだから、ショックの大きさは窺い知れるだろう。それでも王者はずるずると後退しなかった。3日後の2月26日・第3節では日程とホームの追い風が吹く鹿島アントラーズ相手に2-0の完勝。3月2日の第10節では2-1の鮮やかな逆転勝利で浦和レッズに『FUJIFILM SUPER CUP 2022』の借りを返した。そして3月6日・前節は敗戦濃厚なムードの試合終了間際、途中出場の小林悠が相手の隙を見逃さずにGKからボールを奪取、ボールを受けたレアンドロ・ダミアンがゴールネットを揺らし、2-2で勝点1を持ち帰ったのだった。

3勝1分1敗。悪くない出だしである。3月10日、メディア対応を行った鬼木監督は、開幕5連戦を改めて評価した。
「全部勝ちたいと思って挑み、いろんなアクシデント、イレギュラーなことがあった中、力のあるチームとの5連戦で自分たちのやるべきことをやってくれた結果と感じている。全部勝とうとした結果、修正ポイントは見えてきているので、充実した5連戦だと思うし、これを今後に生かしていくことが大事だと思っている」

前回3連覇に挑んだ2019年は今季と同じような対戦カードが並ぶ中、開幕4戦勝利なしと苦しんだ。指揮官は確かな成長を実感するとともに物足りなさも感じ取っていた。
「2019年と比較しても仕方ないが、難しい状況、3連覇というプレッシャーの中でいろんなことに一喜一憂せずに戦っている。『FUJIFILM SUPER CUP 2022』で敗戦し、ネガティブになってもおかしくない状況でもしっかり戦うメンタリティで戦い抜いたことはすごい進歩。2年目の選手たちが『自分がやらないと』という意識を持ち、新たな競争が生まれているので、そこはポジティブに思っている。でももっと貪欲な選手が、『自分が自分が』という選手が出てきてもいいとは率直に思っている」

前節のG大阪戦の引き分けは次のように振り返った。
「失点のシーンはやはり修正しなければいけない。浦和戦のように自分たちが連続得点したり、得点後・失点後はサッカーが一番動く。一番アグレッシブにやるところだし、守備ならアラートをかけるところ。より気を引き締めないといけない。気を付けないといけないが、意識を全部持っていくと体は固くなる。そこは戦術的なところというより、その瞬間瞬間で何を感じられるのかが大事になってくる。
(攻撃でも)本当にチャンスなのか、相手が嫌がるのは速い攻撃か握られることなのか、そういうゲームコントロール。ボールを奪った瞬間の相手の状況、一発で一番遠くの人を見てカウンターがいいのか、刻んだ方がより速い攻撃につながるのか、そういうところをもっともっと研ぎ澄ましていければ。 結果的に引き分けられたが、負けてもおかしくないゲームだった。『もっとできたのではないか』と思ったので、やっぱり悔しい。ただ選手たちが最後まで諦めずに大きな勝点1を奪えたので、諦めなかった姿勢は素晴らしい。諦めないのは当たり前のことだが、その当たり前のことをしっかりやってきたからチャンピオンになれた。そこはリスペクトの思いがある」

監督はFW遠野大弥、宮城天、MF橘田健人、小塚和季、塚川孝輝らプロ2年目、加入2年目の選手を「2年目の選手」と称した。
「(G大阪戦でホットラインを見せた宮城、小塚は)やっぱり途中から入った選手がチームに勢いを与えてくれるのは重要。チームの力になっているし、2年目の選手という言い方でいいのか、大弥、健人、孝輝も含めて、彼らがフロンターレのサッカーに合わすのではなく、自分たちのプレーを出そうとしている。期待しているし、当たり前のことをしっかりやれているので、リスペクトしている」

G大阪戦で途中出場し、存在感を見せ付けた家長昭博についてはこう絶賛した。
「アキに関しては別格だとわかっている。タメができれば、みんな動ける。同じことをやるのは無理だが、違う形でゲームコントロールやビジョンを持ってボールを動かしていければ。ああいう選手は日本にはいない。彼がより前で仕事できるようにできれば。彼は素晴らしい」

鬼木監督は名古屋グランパス戦へ向けて攻撃を強調した。
「自分たちからよりアクションを起こしてゴール前に迫るということを意識しないといけない。名古屋はストロングがあって、パワーがあって、スピード、カウンターがあるが、カウンターを怖がっていたら自分たちの攻撃はできない。『ミスはあるから、そこは恐れずにやっていこう』と選手たちに伝えている。どれだけ攻撃的にいけるかにフォーカスして、結果にもこだわりたい」

同日のメディア取材には宮城も出席。前節75分に小塚のピンポイントループパスをワンタッチでコントロールしMF小野瀬康介をかわした技ありゴールと、2分後に小野瀬のシュートを右足に当てながらゴールに吸い込まれた失点シーンを振り返った。
「基本ああいう浮き球の裏へのパスとかの切り返しやトラップは得意にしているので、普段の練習通りに出た。負けていた時間帯で緊張感のある試合で出せたというのは成長を感じた。カズくんのパスセンスやタイミングを生かしたいと思っていた。
(失点シーンは)相手が右利きでクロスに早く反応しようとしたが、カットインに遅れてしまったので、そこは中間の位置に立ってどっちにも反応できるようにしてもいいと思った。逆にもっと寄せてもいいのではとも思った」

3年目の今季がチャンスだと宮城も自覚している。

「人が変わればサッカーも変わるので、去年とは違う色を出さないといけない。去年はまだ形があったが、今はゼロではないにしても作り上げているところ。もっと自分が色を出せば試合に出るチャンスもある。逆に言うと(左ウイングに)圧倒的な人がいないので、自分もチャンスだと思う。チャンスを掴み取らないといけないと思っている。
もう少し推進力だったり、J1王者なので圧倒的な存在感が必要。エゴとまでは言わないが、自分が流れを変えるという気持ちを持ってもいいと思うし、FWなので自分が攻撃を引っ張っていかないと機能しないと思うので、やっぱり違いを出していきたい。途中出場でも流れを変える。前半から強度の高いフロンターレのサッカーは途中から流れを変える選手が必要。途中出場で流れを変え、スタメンを取るために力を出していきたい」

3月7日~9日に実施されたU-21日本代表候補トレーニングキャンプでも大いに刺激を受けてきた。
「同世代は久しぶりだったので楽しかった。切磋琢磨して負けてはいけないなと感じた。チームで活躍し続けないとその舞台に立てないし、今は『パリ五輪』を目指すというより自チームで絶対的な存在になってから。今はレギュラーではないし、途中から出ているので、『パリ五輪』どうこうという立場ではない。『東京五輪』で(三笘)薫くんや(田中)碧くん、(旗手)怜央くんを見ているので、自分はまだまだと思う」

脇坂泰斗もメディアの質問に答えた。背番号14は開幕5連戦の結果に決して満足していなかった。
「理想通りの結果ではないし、もっとできたと感じているが、まあ終わったことなので、次に向いている。結果や内容は求めていたものには届かなった。相手が対策をしてきても、それを打開するのが自分たち。相手がどう対策してきてもいい準備をしているので、それを出せないのはまだまだだと思う。攻撃の時間を増やす。ただボールを持っているだけではなく、怖さを出さないといけない」

G大阪戦については手応えと課題を口にした。
「最後の最後で勝点取れたのは『敗戦を引き分けにする』『引き分けを勝ちにする』という2019年に足りないことだったので、そこはポジティブにとらえている。勝点1が今後左右してくると思うし、今後勝点1を取っていくことが大事だと思う。ただ前半から意図的に敵陣でボールを握ることが足りなかった。自ら速攻を仕掛けているのか、何となくいけているからいっているのか。自分たちでスピードをコントロールしていけばよかった。ちょっと淡泊なところがあった。決め切れるところがあったし、失点シーンも人数はいたので最後体を当てるというのもできたと思う」

また脇坂はセットプレーからの得点に自信を深めていた。
「練習通りに蹴られている。ニアすらしや浦和戦の同点ゴールとか、セットプレーは練習通りに決められているので、キッカーとして自信につながっている。狙った形で点を取れているのはポジティブなので、あとはショートコーナーとかも必要になってくると思う。相手のウィークポイントだったり、逆にこっちのストロングを生かすとか、コーチングスタッフは試合ごとに毎回数パターン用意してくれている」

名古屋戦へ向けてはこう意気込んだ。
「堅守速攻のイメージがあるが、トップ下の仙頭(啓矢)選手、柿谷(曜一朗)選手ら攻撃にアクセントを加える選手がいるので、速攻だけに気を取られずにやりたい。攻撃している時に一番気を使って、攻撃しながら取られたことを気にしながら、でも大胆にやりたいなと思う。ポジションにこだわらず、相手に食いつかせながら、はがしていければ」

対する名古屋はここまで2試合を消化。ヴィッセル神戸との開幕戦はしてやったりの展開で2-0の勝利を奪った。神戸にボールを保持されても名古屋は慌てず騒がず。23分に新たに10番を背負うマテウス・カルロスの高い位置でのボールを奪取からFW酒井宣福がクロス、トップ下の仙頭がヘッドで合わすもDFが跳ね返すと、こぼれ球に稲垣祥が反応。昨季8ゴールでベストイレブンに選出されたボランチが詰めて先制ゴールを決めた。51分には左サイドでボールを受けたマテウスがアーリークロスを放つと、これがオウンゴールに。2-0となった直後にはMF扇原貴宏が退場、数的有利となった名古屋はボールを握られながらも収支余裕を感じさせる内容で開幕勝利を飾ったのだった。

白星発進となったが、長谷川健太監督が昨季まで指揮していたFC東京との第2節は相手に新型コロナウイルス陽性者が多数出て、延期に。前節はサガン鳥栖から早々に先制点をマークするも、11分にCBチアゴが負傷交代すると、次第に鳥栖ペースへ移っていき、結局1-1で勝点1を分け合った。次節が今後の流れを決めるひとつのポイントになることだろう。

リーグ戦の対戦成績を振り返ってみると川崎Fが21勝6分7敗と圧倒。昨季のGW首位攻防2連戦で川崎Fがアウェイで4-0のゴールショーで先取し、ホームでは3-2と逃げ切ったのも記憶に新しいことだろう。

果たして、川崎Fが25戦連続ホーム負けなしのJ1最多記録に並ぶのか、それとも名古屋がタイ記録達成を阻むのか。『明治安田J1』第4節・川崎F×名古屋は3月12日(土)・等々力陸上競技場にてキックオフ。チケットはチケフロ(Jリーグチケット)にて発売中。試合の模様はDAZNにて生中継。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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