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ようこそ『京都市京セラ美術館開館1周年記念展 森村泰昌:ワタシの迷宮劇場』へ! 内覧会レポート

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会場入口の看板

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3月12日(土)から京都市京セラ美術館で始まった『京都市京セラ美術館開館1周年記念展 森村泰昌:ワタシの迷宮劇場』。森村泰昌と言えば、これまで何かに扮した自身のポートレート写真や、そのインスタレーションといった作品で知られる、日本の現代美術を代表するアーティストのひとりである。

この入口のビジュアルや展覧会タイトルからして、「今までの森村さんと違う気がする」のは、私だけではないだろう。

会場入口のひとつ「空装門」

展覧会場にある5つの入口はそれぞれ「空装門」、「鏡影門」、「だぶらかし門」、「烈火門」、「迷宮門」と名付けられ、どこからでも出入りできるようになっている。さぁ、入ってみよう。

『京都市京セラ美術館開館1周年記念展 森村泰昌:ワタシの迷宮劇場』展示風景

「えっ?」

展示風景より 「M式 写真回廊」 《ワタシの迷宮劇場》 

「えっ!?」
どんなに歩みを進めても、額に入ったインスタント写真(拡散転写式印画)とドレープの効いた水色のカーテンで構成された「M式 写真回廊」が続く。前を向いても、振り返っても、同じ空間が広がり、いま歩いてきた方向さえ見失う。展覧会タイトルの通りに、本当に迷宮に入り込んでしまったようだ。

展示風景より 「M式 写真回廊」 《ワタシの迷宮劇場》

インスタント写真(拡散転写式印画)は、これまで森村作品を見たことがある人であれば、「知ってる!」と思い出すものも多いだろう。これらは森村が1984年から撮りためたもので、全291点、823枚も並んでいる。森村泰昌というひとりのアーティストが何者かになるだけでなく、しかしそれは何者にもなっていないというひとり遊び=「自由演技」である、と森村は語る。

会場は「M式 写真回廊」とは別に、3つのセクションがある。

展示風景より 「夢と記憶の広場」 《夢と記憶が出会う場所》 撮影:三吉史高

「夢と記憶の広場」は、森村が扮した30人の「ワタシ」が流れている映像と、そのためのメイク(化粧)する森村を撮影した映像という、ふたつの映像インスタレーションの空間だ。私たちが見ている森村作品は「何者かに扮した『後』」であることに気付かされる。同時に、作品制作の裏側を知ってしまった罪悪感や秘密のような気持ちも、感じるかもしれない。

映像に登場する30人の人物たちが手にしている本や、身に着けている衣装は、「衣装の隠れ家」にある。

展示風景より 「衣装の隠れ家」

再び、あの迷いそうな「M式 写真回廊」を歩くとあった。ここだ。別のセクション「衣装の隠れ家」は、この隙間に顔を入れて、見ることができる。

展示風景より 「衣装の隠れ家」

衣装に使われている布地の触感、その色の鮮やかさなどで、視覚以外の感覚がぞわぞわする。衣装を見ながら、「あの女性の服はどこかの女王かしら?」といった妄想するのも楽しい。

そういえば、入口(鏡影門)で予約した「声の劇場」の時間になった。行ってみよう。

展示風景より 「声の劇場」《影の顔の声》 撮影:三吉史高

「声の劇場」は、中心に四畳半の畳が舞台のように据えられ、それを取り囲むように鑑賞者は座る。約26分のサウンドインスタレーション《影の顔の声》は、立ち込めるお香のにおいや光とともに、森村が1994年に書いた「顔」という小説を改編したミステリー仕立ての物語が、点在するスピーカーや古いラジカセから聞こえてくる。

実はこの「顔」の制作と連動して生まれた写真も、「M式 写真回廊」には置かれている。探してみるのも面白いだろう。

展示風景より 「M式 写真回廊」 《ワタシの迷宮劇場》

春になって、久しぶりに美術館へ行ってみようか、京都に行ってみようか、という人も多いだろう。この『京都市京セラ美術館開館1周年記念展 森村泰昌:ワタシの迷宮劇場』は、忘れかけていた五感すべてを一気に覚ますことができるはずだ。

取材・文:藤田千彩

【開催概要】
『京都市京セラ美術館開館1周年記念展 森村泰昌:ワタシの迷宮劇場』
会期:2022年3月12日(土)~2022年6月5日(日)
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜日(3月21日、5月2日は開館)
料金:一般2,000円、大学1,600円、高校1,200円、中小800円
■美術館公式サイト:https://kyotocity-kyocera.museum/

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