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さまざまな立場の人に寄り添う物語 『神様のえこひいき』インタビュー「多様性が求められる今だから観てほしい」

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Huluで独占配信する恋愛ドラマシリーズ「マーガレット Love stories」で小村あゆみの『神様のえこひいき』が実写ドラマ化される。

親友・七原ケンタへ告白するものの、フラれる主人公の天野弥白。しかもその直後に交通事故に遭って亡くなってしまう。しかし、弥白は暇を持て余す神様の「えこひいき」によって、ケンタの好みの女の子・天堂神楽の姿に生まれ変わるが、中身は男の弥白のまま。「今度こそ、オレはケンタと恋をする!」と意気込むが、思い描いていた女子力を発揮できず、変人に思われてしまう。さらにケンタの元カノ・鳥居鈴から告白されて!?
更に、死んだと思っていた弥白は実は生きており、その肉体には神楽の魂が宿っていて……。

連載当時から話題となっていた『神様のえこひいき』。

主人公の弥白を演じる藤原大佑、弥白が生まれ変わる女子高生・天堂神楽に桜田ひより、弥白に想いを寄せられる七原ケンタに窪塚愛流、ケンタの元カノで、弥白が生まれ変わった神楽に興味を持つ鳥居鈴の新井舞良、そして、弥白にえこひいきをする神様を古川雄輝が演じる。
実写化にあたり、主要キャストに話を聞いた。

社会的なテーマをポップに明るく描く

――まずは、原作や台本を読んだ際の感想を教えてください。

藤原大祐(以下、藤原):扱っている内容はすごく社会的なテーマというか、大切なことを扱っているんですけど、作品を作る前の段階から、それを重くではなくて、明るく扱いたいとうかがっていました。
それで、実際に脚本を読んだら、全体の雰囲気がポップに描かれていて、すごくおもしろかったです。
『神様のえこひいきで女の子に生まれ変わる』というちょっとファンタジーな内容にも関わらず、その点があまり気にならないし、入っていきやすいんじゃないかな、と思いました。

桜田ひより(以下、桜田):お話をいただいたときに原作を読ませていただいたんですけど、ただの恋愛漫画ではなく、切ない部分があったり、おもしろいところは本当にポップに描かれているので、恋愛漫画が苦手な人でもすごく入りやすい作品だな、と思いました。
この漫画が実写化する、ということで、脚本はどんなふうになるんだろう? ということにすごくワクワクしましたね。

窪塚愛流(以下、窪塚):初めて台本を読ませていただいたとき、自分の役柄を注視していたんですけど、読んでいるうちに、いつの間にか物語に没頭していました。フッと笑えるところもたくさんありますし、初めて台本を読んで泣きもしました。
「今からこの作品を弥白と神楽と、鈴、そして神様と右近ちゃんと作っていくんだ」と撮影する前にドキドキワクワクしていましたね。

新井舞良(以下、新井):多様性が求められる今の時代に、ボーイズラブだけ、とか、ガールズラブだけ、とかじゃなくて、どちらも入っている作品なんですよね。
そういうテーマを扱っている作品って新しいな、というのもあって、作品がどんなふうに完成するのか、すごく楽しみでドキドキした状態で演じていました。

古川雄輝(以下、古川):お話をいただいて役柄をお聞きしたときに、まず「神様!?」っていうところで驚きましたね。
実際、脚本を読むと、特殊な役柄で遊び甲斐があるな、と感じましたし、すごく撮影を楽しみに、ワクワクしながら台本を読んでいました。

役作りのために渋谷で男性を尾行!?

――新井さんもおっしゃられていたように、今回、多様性が詰まった作品だと思うのですが、役作りはいかがでしたか?

藤原:僕は相当難しくて。と言うのも、最初の弥白を男らしくしたほうが、そのあと女性と入れ替わったあとのキャラクターが際立つんですけど、男らしくしすぎると、ケンタより前に出てしまう。ケンタよりは一歩下がっていないといけない、という2番目意識を大切にしていたので、「男」に振り切れないんです。
入れ替わったあとも女性らしくしすぎると、違和感が出そうで。そういう見え方にはしたくないから、女性らしさを抑えながらも、でも女性に見えなきゃいけないという両端に振り切れなかったので、その塩梅が難しかったです。

――女性の振舞いでお手本にされたことはありますか?

藤原:普段から人間観察が好きなので、どういう行動をしているのかは見ていたんですけど、それをシーンの中に入れるとなると難しかったです。座り方や、物の持ち方とか、そういうのは現場でひよさんに教えてもらいながらやったんですけど、ちょっと完成を見るのは怖いですね……。
でも、女性に見えることが一番大切、というより、入れ替わったあとの中身、神楽としての伝えたいメッセージが一番大切なので。大丈夫でしょう!(笑)

桜田:私は、実は男の子役をやることが多くて。
役作りのためにやったことを挙げるとするなら……歩いている男性の方とか、男子高校生の後ろをついていって歩き方を真似したりしていました。

藤原:それ怖いね(笑)男子高校生のあとを同じ歩き方でついていくって。

桜田:やってることは周りから見たら変な人なんですけど(笑)
でも、その時は本当に真剣だったので、手先から足先の向きまで見ながら一緒に歩いていました。一番渋谷が若い子が多くてやりやすかったです。

藤原:次はあの人に、って乗り替えしやすいよね。一人のあとをついてまわり過ぎるとストーカーになっちゃう。

桜田:そうそう(笑)こっち、次はこっち、というのができたので。
こういうふうに動くんだなとか、こういうふうに物を持つんだなあ、とか、そういうのを観察する時間も楽しかったです。

――じゃあ、撮影にそれが全部生きている感じなんですね。

桜田:と、思います。私はやりすぎくらいがちょうどいいって言われてたので。

藤原:そう、女性は男を出しすぎた方が。

桜田:うん、男らしく見えるんですよ。
その部分は結構思いっきり私はできたので、あんまり不安になることはないです。

――新井さんと窪塚さんはいかがですか?

新井:みんなは中身の性別が違ったり、神様だったり、難しい役なんですけど鈴とケンタは唯一、普通の女の子、男の子だったので。
鈴は明るくて感情豊かで元気でポジティブで自分に自信があって、物怖じせず何でも言いたいことをはっきり言う、っていうキャラクターが、原作読んでも脚本読んでも、すごくわかりやすく表れていたキャラクターでしたね。その鈴のキャラクターは自分に近い部分もたくさんあったので、私は演じやすかったですし、しっくりきながらセリフも喋れたし、楽しかったです。

窪塚:新井さんがおっしゃったように、僕も姿も変わらないですし、普通の高校生なので特に何か大変な役作りをしたということはないですね。
普通にセリフを覚えて、自分で想像したケンタの特徴を大事に台本にメモしておいて……ただ、そこからさらに深くまで七原ケンタに近づく作業は全て現場で行いました。
例えば藤原くんが何かちょっとしたアドバイスをしてくれたら、それもすぐ取り入れたりとか。撮影を重ねるにつれ、だんだんケンタに近づけたかな、という実感はありました。

――古川さんは神様という特殊な役どころですが、いかがでしたか。

古川:本読みでは神社の写真やロケ地の写真を見させていただいて、神様は人間がいないところに座ったり立ったりするとそれだけで神様に見えるのでは、というご相談を監督にしました。
次にお会いしたときには神社の屋根の上に登れるようになりましたっていう話があったんですけど、神社の屋根の上にいたらそれはもう神様に見えるんですよね。
階段で話すシーンでも、そこは座らないで寝転がりましょうとか、教室の上から見てたりだとか、ピアノの上に乗ってみたりとか。対面で話すのが普通だから、神様の場合はそれはしたくないとか。
どこにいるか、という居場所の話が、実はすごく神様という役をやる上では大切なのかな。
ほかには2人(藤原、窪塚)よりも背が高い方が神様っぽく見えるので身長も高くしてほしいという話をしたり。
あとは結構お茶目な部分もあるので、真剣なときのシーンとの緩急の付け方は意識しながらやっていましたね。

それぞれの「叶えたいこと」

――作中ではお百度参りをするシーンがあるのですが、お百度参りするぐらい叶えたい願いごとがあればお聞きしたいです。

桜田:叶うかどうかは別として、ってことですか? うーん……。
それなら、たくさん食べても太らない体が欲しいです!

窪塚:僕の体、いりますか?(笑)

桜田:もう本当にほしいです!(笑)
胃下垂なのでそんなに太ったりはしないんですけど、やっぱり食べたいものを食べたいじゃないですか、深夜のラーメンとか、行きたいじゃないですか!
でも次の日や今後のことを考えると、いや、やっぱりやめとこうかなとか……そんな気持ちにはなりたくないんですよね。なので叶うとするならば、それを選びます!

新井:だったら、私は一生20歳のお肌でいたいです。

桜田:あ~!(笑)

新井:死ぬまで絶対にシミもシワもたるみもない肌を手に入れたいです。

桜田:私も欲しい……!

藤原:僕は……1日の時間を26時間にしてほしいです。

窪塚:わかる、それ。

藤原:2時間でいいから欲しいんです、今。
毎日はさすがに欲張りすぎなので、1週間に1回だけでも増えてくれれば。

窪塚:それだとやっぱり僕も時間ですかね。
制服で学校に行きたい、とか。あと、少しでもいいから高校3年生を長く過ごしたいです。それが今の一番の願いですね。

古川:シンプルでいいですか。家族の幸せですね。

桜田:すてき~!

――えこひいきということで、もし古川さんが今出た4人の中の願い事をひとりだけ叶えるとしたら、どれを選びますか?

古川:なんだっけ、肌と食べ物と時間と、高校の時間?

藤原:お願いします!

桜田:お願い!

古川:うーん、高校の時間ですね。

窪塚:やった~!

古川:高校の3年間ってすごく貴重ですよね。高校のときに受けた影響は成長して大人になったときも性格に関わってくる。だからその3年間を有意義に使えた方がいいんじゃないかな、と思います。
食べることと肌は何とかなるかな。

桜田:ですよねっ!

意外と大人は「今」と変わらない

――作中ではそれぞれが成長して大人になっていく過程が描かれていると思うのですが、みなさんの理想の大人像はどういったものでしょうか。

藤原:僕は男らしい大人になりたいですね。
見た目で言うと、胸板、腹筋、肩幅。この三拍子は必須条件です!
性格的な面ではどんなことにも屈せずに自分を大切にしていて、身構えているかっこいい大人になりたいなと思っています。

桜田:大人ってなんだろうって考えたときに、私は選択肢の多さだと思うんです。物事に対しても、見方も一方通行じゃなくて、いろんな面から見るからこそ心が広い大人になれる。適応能力も高くなるし、そういういろんな選択肢を持ってる人になりたいですね。

窪塚:僕は……余裕のある人になりたいですね。
大人っぽい大人にはなりたくなくて。なんていうんですかね、間を取って、「こどな」っていうか。遊びも仕事も、何でも楽しんで毎日を過ごせたらな、と思います。こういう人になりたい、という具体的なことはないんですけど、強いて言うなら、いつも笑顔で。明るい人になりたいです。

新井:私は、オープンマインドでずっといたいなって思いはあります。
大人だから、って自分の考えを人に押し付けるわけでもなく、自分と同年代の人にも、子どもに対してもそれぞれの魅力を引き出す側の大人になりたいな、って思います。

――古川さんが大人の立場からアドバイスされたら、どんな言葉をかけますか?

古川:意外と感覚的にはそんなに変わらないよ、という感じなんですけど……。17歳とか20歳ぐらいのときに、こういう大人になれたら、と思ってはいましたけど、そんなに変わらないかな。
若いときから働いているので、芸能やっている人たちは既に大人なんですよね。ひよりちゃんとか、子役からやっているから接していて「あっ、この人は大人だ」と分かるんですよ。
うん、もう、みんなは大人です。

藤原:まだ子どもだよぉ!

古川:藤原くんだけはまだ子どもだね。

藤原:おーい!(笑)

それぞれ観る立場によって抱く感想が変わるはず

――最後に、作品の見どころをお願いします。

藤原:セクシャルマイノリティの話だったり、神様だったり、本当にそれぞれが別の作品としてもできるようなテーマが全部集約された盛りだくさんの作品なんですよね。
でもそれぞれがぶつかり合うことなく、うまくぴったりはまってるような作品。どれかひとつでも欠けていたら成り立たないような、全てがその構成要素として素晴らしい役割を果たしているので、多分観てくださる方の環境によって観え方が変わってくると思います。
誰の視点に立って作品を見るのかというので変わってくると思うので、ぜひたくさんの人に見てもらって、それぞれどういう感想を持ったのか、どこが一番印象に残ったとか、そういうことを何らかの形でお伝えしてほしいです。知りたいですね。

桜田:恋って何だろう、というところから多分始まってると思うんですよ。
友情としての恋なのか、恋愛としての恋なのか。はたまた家族みたいなのか、愛とか恋とかいろんな形があるじゃないですか。
本当に矢印がたくさん飛んでいて、誰かが誰かの事を想っていても、その誰かは別の誰かのことを想っているとか。そういう誰もが作品の中の何かに対して共感できる作品になってるんじゃないかなって思っているのでいろんな登場人物の目線から作品を観ていただいて。誰に共感するかはやっぱりその人次第なので、楽しんで観ていただけたらいいな、と思います。

窪塚:この撮影をする前はセクシャルマイノリティの人に対して、悪い感情はなかったんですけど、素直に受け入れられるような人間ではなかったんですよ。何か引っ掛かるというか。
でも、この撮影を通して自分がケンタになって、弥白の気持ちをケンタとしてだけではなく、窪塚愛流としても受け止められたんです。クランクアップしたときには、男同士、女同士とかじゃなくて、好きなら別にその人の考えでいいんじゃないかな、って。
僕の恋愛対象は女性ですけど、同性が恋愛対象の人にも素直にいいじゃない、って応援できる気持ちになりました。
考え方は人それぞれですけど、落ち込んでいたり、不安な気持ちを持っていた人がこのドラマを見て、ちょっとでも温かい気持ちになれたらな、と思っています。

新井:日本だとあまり当たり前にはなっていない、同性を好きになることに対して、この作品を観ていただければオープンマインドになってもらえるのかなと思います。鈴も、自分が好きになった人が女の子だったけれど、「この気持ちはおかしい、どうにか消そう」と思うのではなくて、恋愛として「好きなんだ」と受け入れている。そういう姿を見ていただけたら嬉しいです。たくさんの人にこの作品を観ていただいて、いろいろな考え方、趣向があっていいんだという考え方がもっと浸透する世の中になったいいなと思います。

古川:じゃあ、話題に出なかったのでこまちゃんっていうワンちゃんのことを。神様の側に仕える右近というキャラクター役なんですが、結構、撮影が大変だったんですよ。やっぱり人間じゃないので、こっちを見て、って言っても向いてくれなかったりする中で撮影をしました。
今みんながお話ししていたように作中にはいろいろテーマがありますが、かわいいワンちゃんも出てくるので、そのお芝居にも注目しながら見ていただければと思います。

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撮影/奥田耕平、取材・文/ふくだりょうこ

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