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【PUNPEE×スカート対談】『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』主題歌で新たに挑んだチャレンジ

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独特の世界観で人気のテレビアニメ『オッドタクシー』の主題歌「ODDTAXI」で初のコラボレーションを行った、ラッパー / ビートメイカーのPUNPEEと、カクバリズム所属のシンガーソングライター、スカート・澤部渡。「ODDTAXI」は、4月1日公開の『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』の主題歌として、引き続き起用される。異色のふたりが織りなす、メロウで切ない主題歌「ODDTAXI」で挑んだ新たなチャレンジと、それぞれが捉える『オッドタクシー』という世界観とは?

音楽的に大事なのは「外側から見た都会」PUNPEEさんと合致したのはそこでした(澤部)

――そもそも今回のコラボは、PUNPEEさんがテレビアニメ版『オッドタクシー』シリーズの劇伴を担当されることになったのがきっかけだったそうですね。

PUNPEE そうですね。自分と、自分が所属するレーベル、SUMMITのVaVaくんとOMSBくんの3人で一緒に劇伴をやるっていうところからが始まりでした。その流れでオープニング曲を作ることになった感じですね

――PUNPEEさんからコラボの指名があった時、澤部さんはどんな感想を?

澤部 意外だなという印象がまずありましたね。まさかPUNPEEさんから?!というのが正直なところでした(笑)

――お互いに面識はあったんですか?

澤部 なかったんですよ。もちろんリスナーとしてはPUNPEEさんの作品は知ってたんですけどね。

PUNPEE 僕もそうですね。あと、何かで澤部さんとは地元が同じ板橋区だってことも知っていて。1回、FUJI ROCKのバックヤードで一方的に見かけたことがあったんですよ。その時、澤部さんはどなたかと喋ってて。話しかけたらよかったですね(笑)。あれいつだったかな?2017、18年ぐらいかな? 澤部さんはあの時FUJI ROCKに出てたってこと?

澤部 2017年と2019年に出てるんですよ。

PUNPEE じゃあ、2017年の時だ。オザケンさんとかと出てらした時ですね。その時はお話出来なかったんですよ。

澤部 もったいないですよね。

PUNPEE 今回は、主題歌ということもあって、普段とは違う組み合わせだったり、メロディーだったりっていうところに挑戦するのも新鮮かなっていう思いもあって。それで澤部さんと一緒にやることになったんです。

――今回共同作業をする上で、お互いにテーマや共通言語にしたものというと?

澤部 それはもちろん『オッドタクシー』っていう作品や脚本なんですけど、僕が今回の共作のお話を頂いた段階で、すでに、Vコン(※ビデオコンテ。作品の概要を説明するための映像版の絵コンテのこと)があったんです。なので、そういう意味では、お互いに作品の深いところまで知ってる状態ではあったかなと思います。

――『オッドタクシー』は物語的にも演出的にも、かなり異端な作品だと思うんです。それぞれ『オッドタクシー』にどんなイメージを?

PUNPEE 群像劇というか、内容ももちろんなんですけど、こんな感じの背景になりますとか、こんなキャラクターになりますっていう設定資料だったりを見せてもらった時に、夜の街っていうところがすごく印象的で。澤部さんも結構そういうイメージがあったみたいで……。

澤部 そうですね。

PUNPEE 音とかを作ってると、色とか、わりとそういう抽象的なところからイメージをすることがあるんですね。『オッドタクシー』は夜の街っぽいイメージがあって。東京なんですけど、板橋って場所から見た都心部のような得体の知れなさっていうか。新宿とか渋谷とかって、もっと若い時とかはちょっと怖いじゃないですか。

澤部 怖いですねぇ~。

PUNPEE 池袋より先に行く時はちょっと気合いが入る、みたいな(笑)

澤部 んふふふふ。主人公の小戸川の家も練馬ですし、板橋と練馬は隣ですからね。

PUNPEE そういう、少し都会に踏み込んでる感じというか得体の知れなさというか。都心=ちょっとオシャレな街っていう理想をちょっと投影するようなイメージはありましたね。

澤部 僕もPUNPEEさんが言ってたように、夜の街の感じをどうやって出そう? みたいなところから作り始めた気がします。やっぱり、どう都市を見るか? みたいなことが、音楽的には大事なのかなとは思ったりはしますね。都会の中心にいて中心を歌うんじゃなくて、外側から見た中心を歌うじゃないけど、なんかそういうのは心がけてる部分ではあるかなと思いますね。そういうところが、PUNPEEさんと合致したんじゃないかな。

――おかげでかなり物語に踏み込んだ歌詞になってますよね。都会で生きることの「孤独感」が、美しく、かつメランコリックに描かれているというか。

澤部 僕の場合、物語の傍観者っていう目線で歌詞を書いてましたね。あの世界にいる誰か、みたいな。

PUNPEE それは自分も同じかもしれないですね。でも(物語の行方を)なんか知ってそうな人、みたいな(笑)

澤部 もしかしたらと思ってたのは……僕の歌詞の最初の4行ぐらいは、小戸川のタクシーに乗ってる人の目線かなとは思ってました。ただ、絶対そうしようと思って書いてたわけじゃなくて、出来上がったものを見て、そうだったかもしれないと感じたというか。あまりそこは決め打ちして書かなかったですね。

ラップの人とはメロディーの作り方も全然違う すごく刺激を受けたし自分もやってみたいなって(澤部)

――おふたりはこれまでにいろんな方とコラボしたり共作されてきたと思うんです。そんな中で、今回のコラボにはどんな印象が?

澤部 僕からしたらこのコラボは刺激しかなかったですよ。

PUNPEE あ、ほんとですか!?

澤部 僕は普段バンドでやってるんで、トラックメイカーの方に預けるってことはあんまりしたことがなくて。そういう意味で、ああいう揺れるビートもそうだし、何より「歌始まり」にするっていうことは、多分、僕の選択肢にはなかったことですし、驚きました。自分とまったく見るところが違うからこそ、とてもいいものが出来たなあと思いましたね。

PUNPEE 澤部さんのメロディを作るプロセスが自分とは全然違うのでとても刺激的でした。すごく高い上のところから来たりだとか、とくにロングトーンというか、伸ばすっていうメロディーの作り方って普段、自分ではあまりやらないやり方だったので。

澤部 うんうん。

PUNPEE 今回デモをもう一個もらったんですけど、そのメロディーの作りとかもすごく刺激を受けました。ラッパーの人はこういう作り方しないなって。自分もやってみたいなって思いました。

――またコラボ第2弾も期待してしまいますけどね(笑)

澤部 めちゃくちゃうれしいです。だよね~って思います(笑)。ただ、こんだけうまくいったら、またやりたいっていう気持ちと、ここでそっとして置いた方がっていう気持ちもあるというか(笑)

PUNPEE 確かに(笑)。でも今回はふたりで「FIRST TAKE」もやれたし、ビデオも撮れたしライブも出来たし、いろんな新しいことが続々と出来てますね。

――最近は例えば、『ヒプノシスマイク』や『大豆田とわ子と三人の元夫』のように、第一線で活躍するラッパーやビートメイカーが作品に深く関わっているエンタメ作品が増えましたよね。そういう流れについて、PUNPEEさん自身はどうご覧になってますか?

PUNPEE 単純に、若い人たちがヒップホップを聞く機会が増えたっていうところもあると思います。そこで声をかけてもらえる選択肢の中に、自分も入れてもらえるようになったのかなというか……。例えば、『大豆田とわ子と三人の元夫』はSTUTSがイメージ曲をやったりとか、CMにトラックを提供するトラックメイカーも増えてるし、実際、そういう仕事も増えてますし。そうやってテレビやドラマを通して、初めてラッパーやトラックメイカーに接する人たちも多いと思うんです。あと、同じ現場でやってる人たちが、あ、この人こんなことやってるんだっていうのを見るのもシンプルに楽しいですよね。

――コアなところからお茶の間にリスナー層が広がっていくことについては?

PUNPEE そこはそんなに意識してなくて。『オッドタクシー』の劇伴の話を頂いた時も、自分がいつもやってることの延長線上でまったく問題なさそうと思ったんですよね。このままでフィットすると思って声をかけてもらった、っていうのももしかしたらあるのかもしれないですけど。挑戦っていう部分もあったかもしれないですけど、(音楽が)作品にどれだけフィットするかとか、世界観を壊さずにもっと広げられるかっていうところだけに集中した感じですね。まぁ、少しはありましたけどね。本来の自分の曲調だともっと遅いBPMになってたかなっていうところも、ちょっと明るくしてみたりとか。でもそこは無理なく出来たんで、制作がすごい楽しかったです。

澤部 僕の場合はどっちかと言うと、オープニングやエンディング曲で関わらせてもらうことが多いんですよね。NHKでやってたドラマ『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』の音楽もceroの高城くんと王舟くんがやってたりしてましたけど、昔の劇伴って、いわゆる職業作曲家の方の領域だったイメージをずっと持ってたんですけど、今回の『オッドタクシー』もそうですけど、ちょっとずつ潮流が変わってきてるのかなぁって感じで捉えてますね。自分的にはこう、借りてきた猫、みたいになっちゃう気持ちはなくもないですよね、やっぱり(笑)

かなり早い段階で声をかけてもらったおかげでいきなり友達を声優界に送り込みました(笑)(PUNPEE)

――脚本や演出と同じテンションで音楽も面白くてリアルなものにしたい、と考えるテレビや映画クリエイターの率が増えたのかもしれないですね。だからこそ、PUNPEEさんに『オッドタクシー』の劇伴を……という声に繋がったのかなと。

PUNPEE 実はテレビ版の劇伴を作る際、声をかけてもらったのもオンエアの直前とかじゃなく、1年とか2年前とか、かなり早い段階だったんです。なので、がっつり一緒に考えられましたし、こっちの意見も聞いてもらえたりとか。こういうセリフ入れてみたらどうでしょうか、みたいなところも聞いてくれたし、オープニング映像に出てくるビルの看板に、自分が関わったアーティストのジャケットを出してくれたりとかもしたし。あと、ヤノってキャラクターを決める際の相談も一緒に出来たりとか。いろんなことを一緒に作っていける制作陣だったので、すごくやりがいがありました。

――ラッパーのMETEORさんがヤノのCVを担当することになったのもそこから?

PUNPEE SUMMIT側からMETEORくんがいいんじゃない?っていう話になって。で、提案してMETEORくんのデモを録って、企画 / 原作のP.I.C.S.に送ったらもう、ばっちりですってことになって、いきなり友達を声優界に送り込むっていう力技をしてしまったんですが(一同大爆笑)。で、その後にオリジナルでヤノのキャラクターソングをMETEORくんと作ってアップしていいですか?って言ったらオッケーしてくれて。

――ああ! あの曲、めちゃくちゃいいですよね。

PUNPEE あれも、あの世界にいるPUNPEEにヤノが曲を作らせました、っていう設定でYouTubeにあげるのってどうでしょうか?っていう提案をふたりでしたら、そこものってくれて。そしたら書き下ろしでアニメも描いてくれて。そしたらあれがヤノってキャラを後押ししてくれる感じになったりして、ありがたかったです。

――確かに、あの曲のおかげでヤノを少し好きになれたかもしれない(笑)。今回、『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』の主題歌として新たにアレンジされた際にイメージされていたことはありますか?

PUNPEE 大きいアレンジをしたところはなくて、ミックスというか、映画館という大きな空間で観てもらう仕様にしてみました、という感じでしたね。ただ、劇伴の部分は少し変わった部分もあるんで、そこは映画を観てぜひお楽しみ頂けたらという感じです。

澤部 僕もそれ、まだ聞けてないんですよ。来週試写を観ます(※取材は3月上旬)

――映画版ではあの不穏なラストシーンの続きも描かれているそうですね。

澤部 やっぱりあの、事前に出たビジュアルが取り調べの席につく小戸川の姿だったので、その辺の続きが観れるんだろうなと思うんですけど、ただ、『オッドタクシー』において何がハッピーエンドでバッドエンドなのかって、なんともわからないところじゃないですか。その辺の曖昧なところも『オッドタクシー』の面白さなので、その辺も試写でしっかり見届けたいと思ってます。

PUNPEE 自分もまだ試写、観てないんですよ。どうなるんでしょうね……わかんないですね(笑)。本編ですらわかんないまま最後まで進んだんで、映画もワクワクしながら観ようと思います。

――正直、もう少しおふたりのコラボ作品を聞いてみたいという期待感もありますよね。

澤部 おお、ありがとうございます(笑)

PUNPEE 澤部さんとのコラボ曲は自分的にもすごいスルッと出来たんで、ふたりでアルバム1枚ぐらい作れちゃいそうです(笑)

澤部 いや、ほんとにほんとに! それぐらいのやり易さでしたよ。

PUNPEE 楽しかったですし、「FIRST TAKE」を一緒にやったりっていうサプライズも出来たし。良い体験をさせて頂きましたって感じで、ほんと、『オッドタクシー』に頭が上がんないっスね(笑)

Text:早川加奈子

(C)P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ

<作品情報>
『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』

4月1日(金) TOHOシネマス新宿ほかにて公開

『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』公開直前PV

公式サイト:
https://oddtaxi.jp

プロフィール

PUNPEE
ラッパー / プロデューサーとして、2009年に自身のグループPSGでの1stアルバム『David』の発表。宇多田ヒカル「光 -Ray of Hope MIX-」ではオフィシャルRemixを担当。同曲はプレイステーション用ゲームソフト「Kingdom Hearts HD 2.8」全世界共通のオフィシャル・テーマソングとして起用される。そのほか、RedbullのTVCM、TBS系 水曜日のダウンタウンのOPなどを担当するなど、幅広く活動中。
自身のソロ作品として、2012年に「Movie On The Sunday Anthology」、2017年に1st アルバム『MODERN TIME』を発表。 2017年7月には、ソロアーティストとして、FUJI ROCK FESTIVAL’17「WHITE STAGE」に出演し、2018年3月には、SPACE SHOWER MUSIC AWARD「BEST HIPHOP ARTIST」、CDショップ大賞「準大賞」を受賞した。
2020年7月、1stアルバム以来となる新作『The Sofakingdom』を発表。また、2021年4月よりTV東京にて放映がスタートするアニメ作品『オッドタクシー』の劇伴音楽を、VaVa、OMSBと共に担当。同作品は、Amine Award Brazilにて2022年の「O.S.T賞」を受賞した。しかしまぁ、大事なのは今後である。P


公式サイト:
https://www.summit2011.net/artists/punpee/

スカート
'06年、澤部渡のソロプロジェクトとして、多重録音によるレコーディングを中心に活動を開始。'20年にインディーズ期の楽曲を再録音した『アナザー・ストーリー』を発表。これまで、数々のアニメーション作品、映画、ドラマの劇伴、楽曲制作に携わる。藤井隆、Kaede(Negicco)、三浦透子、adieu(上白石萌歌)などへの楽曲提供、更にマルチプレイヤーとして澤部自身も敬愛するスピッツや川本真琴、ムーンライダーズらのライヴやレコーディングに参加するなど、多彩な才能、ジャンルレスに注目が集まる素敵なシンガーソングライターであり、バンドである。


公式サイト:
https://skirtskirtskirt.com/

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