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【第94回アカデミー賞】作品賞は『コーダ あいのうた』 『DUNE 砂の惑星』が最多6部門 邦画も13年ぶり快挙

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『コーダ あいのうた』 (C)2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

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第94回アカデミー賞授賞式が3月28日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、作品賞に仏映画をハリウッドリメイクした『コーダ あいのうた』(シアン・ヘダー監督)が輝いた。同作は脚色賞、助演男優賞にもノミネートされており、そのすべてを受賞。見事3冠を達成した。最多部門を受賞したのは『DUNE 砂の惑星』で6部門(撮影賞、音響賞、視覚効果賞、作曲賞、編集賞、美術賞)。また、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が国際長編映画賞に輝き、日本映画の同賞受賞は『おくりびと』以来13年ぶりの快挙を達成した(『おくりびと』は外国語映画賞)。

一方で、作品賞をはじめ、最多11部門12ノミネートで“本命”と目されていた『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は、ジェーン・カンピオンが監督賞を受賞するのみという結果に。今回もNetflix映画が作品賞に輝くことはなかった。

『コーダ あいのうた』は2014年製作のフランス映画『エール!』のリメイク。家族の中で唯一の健聴者である少女が、歌の才能を見いだされ、ろう者の両親の大反対を受けながら、名門音楽大学への進学を目指す。題名の“CODA”は、“Children of Deaf Adults”(耳の聴こえない両親に育てられた子ども)のこと。主人公の父親を演じたトロイ・コッツァーは男性のろう者の俳優として、初めて助演男優賞を受賞。手話による感動的なスピーチで、授賞式は一度目のピークに達した。

主演男優賞は大本命だった『ドリームプラン』のウィル・スミス。過去2度同賞候補になっており、“3度目の正直”で悲願の初受賞を果たした。世界最強のテニスプレーヤー姉妹、ビーナス&セリーナ・ウィリアムズ誕生に隠された驚きの実話を描く同作で、テニス未経験ながら、独学で二人の娘を世界チャンピオンに育てあげた破天荒な父親を熱演。かつて主演男優賞にノミネートされた『ALI アリ』『幸せのちから』に続いて、今回も実在の人物を演じている。

一方、主演女優賞に輝いたのは『タミー・フェイの瞳』のジェシカ・チャステイン。1970年代から80年代にかけて、愛あふれたメッセージと寛大な人柄で視聴者を熱狂させた実在のテレビ伝道師、タミー・フェイを演じ、初受賞を飾った。本人そっくりに変ぼうした姿も注目を集め、同作はメイクアップ&ヘアスタイリング賞も同時受賞している。なお、今年の主演女優賞はチャステインをはじめ、候補者5人の主演作すべてが、作品賞候補に挙がっていない異例の事態となり、近年まれに見る混戦となった。

助演女優賞に輝いたのは『ウエスト・サイド・ストーリー』のアリアナ・デボーズ。ヒロイン・マリアの兄のベルナルドの恋人、アニータを演じ“アメリカにおける自由と不平等”を男女の掛け合いで歌う名曲「America(アメリカ)」では、抜群の歌唱力とダンスで圧倒的な存在感を放った。

劇場とApple TV+での配信が同時に行われた『コーダ あいのうた』が作品賞に輝いたほか、多様性の観点から画期的な結果を生み出すことになった第94回アカデミー賞。会場も例年通りドルビー・シアターに戻るなど、映画業界全体がアフター・コロナを見据え、新たな一歩を踏み出した。一方で放送時間短縮を目的に、美術賞、音響賞、作曲賞、編集賞、メイクアップ&スタイリング賞、短編アニメ賞、短編映画賞、短編ドキュメンタリー賞が“事前収録”となり、反発を招いた点は大きな課題(結局、3年ぶりに司会者が復活したせいもあり、放送時間の大幅な短縮につながらなかった)。ウィル・スミスの“激おこ”事件については、愛する家族を守ろうとしたスミスの勇気に賞賛が集まると同時に、後味の悪さが残ったのも事実だ。

【第94回アカデミー賞】
◇作品賞
『コーダ あいのうた』

◇監督賞
ジェーン・カンピオン『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

◇主演男優賞
ウィル・スミス『ドリームプラン』

◇主演女優賞
ジェシカ・チャステイン『タミー・フェイの瞳』

◇助演男優賞
トロイ・コッツァー『コーダ あいのうた』

◇助演女優賞
アリアナ・デボーズ『ウエスト・サイド・ストーリー』

◇脚本賞
ケネス・ブラナー『ベルファスト』

◇脚色賞
シアン・ヘダー『コーダ あいのうた』

◇視覚効果賞
『DUNE デューン 砂の惑星』

◇美術賞
『DUNE デューン 砂の惑星』

◇撮影賞
『DUNE デューン 砂の惑星』

◇衣装デザイン賞
『クルエラ』

◇長編ドキュメンタリー賞
『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』

◇短編ドキュメンタリー賞
『The Queen of Basketball(原題)』

◇編集賞
『DUNE デューン 砂の惑星』

◇国際長編映画賞
『ドライブ・マイ・カー』(日本)

◇音響賞
『DUNE デューン 砂の惑星』

◇メイクアップ&ヘアスタイリング賞
『タミー・フェイの瞳』

◇作曲賞
ハンス・ジマー『DUNE デューン 砂の惑星』

◇長編アニメーション賞
『ミラベルと魔法だらけの家』

◇短編アニメーション賞
『The Windshield Wiper(原題)』

◇主題歌賞
“No Time To Die”ビリー・アイリッシュ『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』

◇短編実写映画賞
『The Long Goodbye(原題)』

文=内田涼

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