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【ライブレポート】BEGIN、記念すべきデビュー日に東京でワンマン。「今日で32年。普段通りにやります」

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『第25回 BEGINコンサートツアー2022』3月21日 東京・LINE CUBE SHIBUYA Photo:Viola Kam (V'z Twinkle)

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沖縄県石垣島出身のBEGINが、今年3月21日にデビュー32周年を迎えた。あの、デビュー・シングル『恋しくて』(1990年3月21日リリース)から32年という歳月が流れたのだ。筆者も含めて上の世代の方ならば、通称・イカ天こと『三宅裕司のいかすバンド天国』(TV番組)に彼ら3人が登場し、「恋しくて」を披露したことを覚えている人も多いのではないか。

そのBEGINが今年に入り、22公演に及ぶ『第25回 BEGINコンサートツアー2022』を開催。その東京編はLINE CUBE SHIBUYAにて、二夜連続で決行。本稿では、まさにデビュー32周年という記念すべき日に行われた2日目の模様をお伝えしたい。とはいえ、何も特別な催しや仕掛けがあったわけではない。

比嘉栄昇(Vo)、島袋優(G/Vo)、上地等(Pf/Vo)のメンバー3人がステージに現れると、「皆さんBEGINです、よろしくお願いします。今日で32年ということで(盛大な拍手が起きる)……普段通りにやりますので。今日までまんぼう(まん延防止措置)みたいで、明日なら良かったね」と、気さくに語りかける比嘉。形式張らず、メンバー3人がコンサート会場にふと立ち寄ったみたいな空気が最高だ。音楽は高尚なものではない。日々生きる人たちの生活に根付き、寄り添うもの。そんな彼らのスタンスが透けて見えてくる挨拶である。今日披露された楽曲の数々もアーティストでございという雰囲気は皆無。隣のお兄さんが素敵な音楽を鳴らしている”近さ”を感じずにはいられなかった。

比嘉栄昇(Vo)

ライブ本編に入っても、メンバーは演奏の合間におしゃべりや楽曲の背景などを積極的に盛り込んでいく。初めて観る人にとっても本人のガイドは有難く、何より楽曲に感情移入しやすいだろう。今日の会場を見回してもお年寄りから子どもまで、言わば三世代が集う場となっていた。そうした幅広い客層を見ても、長い活動の中でBEGINの音楽が親から子へと受け継がれている事実を感じ取れた。

島袋優(G/Vo)

今やジャンルも細分化され、世代を超えて共有できる音楽がどんどん減っている。彼らの音楽は時代を跨ぎ、32年間にもわたり、普遍的な歌詞とサウンドを紡ぎ続けてきたことを痛感させられた。ある意味、BEGINは流行とは真逆に位置する音楽と言えるかもしれない。流れ行く(=流行)ものではなく、しっかり大地に根を張った音楽なのだ。換言すれば、間口が広く、敷居が低く、音楽はとてつもなく深い。そんな奇跡的なバランスをキープして、ファンを開拓し続けてきた歴史も感じられる懐の深いライブ構成であった。

上地等(Pf/Vo)

冒頭でも触れた「恋しくて」を筆頭に、比嘉の柔らかくも美しい歌声は3階席に座っていても、耳元で語りかけてくれるような親密な声色で迫ってくる。また、日常で抱く感情や身近な題材をテーマにした楽曲は入りやすく、頭の中で鮮明な絵を結びやすい。例えば沖縄の揚げ菓子である「サーターアンダギー」を歌詞に取り入れた「砂糖てんぷら」など、一度聴いたら耳から離れないメロディとリズムに多くの人々が笑顔でノッていた。さらに「いつものように」では上地が若々しい歌声を解き放ち、「海の声」においては島袋が哀切な歌声を聴かせたりと、メンバー全員がヴォーカルを取れるのもバンドの大きな魅力である。

そして、自分たちの地元・沖縄に思いを馳せた楽曲も特筆すべき素晴らしさであった。三線を用い、民謡をベースにした比嘉のヴォーカルは「日本人の心」を高らかと歌い上げていく。イントロから拍手が沸き起こった「三線の花」は、個人的なハイライトと言っていい。《喜びも悲しみも いつの日か唄えるなら この島の土の中 秋に泣き冬に耐え 春に咲く 三線の花》の歌詞は、とりわけ胸に響いた。時代が移り変ろうとも、人生の苦楽は避けては通れない。楽しい時よりも、むしろ苦しい時のほうが時間は長く感じられるものだ。そんな時にも雄大なスケールで、隣に寄り添ってくれる音楽の力をひしひしと感じた。

後半になるにつれ、エイサーよろしく立ち上がって踊る観客が増え、会場はお祭り騒ぎの様相を呈した。自分たちの足元を見つめた歌が、非日常の空間を生み出し、人々をみるみると熱狂させていく。まるでハレとケが循環するダイナミズム溢れるライブに圧倒されるばかりであった。特別な演出などなくとも、デビュー32周年という節目に相応しい祝祭感に満ちたパフォーマンスだった。おそらく、全国各地で、このような歓喜渦巻く景色を作り出してくれることだろう。是非、老若男女を虜にするの音楽的魅力と、その奥深き底力に触れてもらいたい。

Text:荒金良介 Photo:Viola Kam (V'z Twinkle)

<公演情報>
『第25回 BEGINコンサートツアー2022』

3月20日(日)・21日(月・祝) 東京・LINE CUBE SHIBUYA

<ツアー情報>
『第25回 BEGINコンサートツアー2022』

※終了分は割愛
4月16日(土) 広島・東広島芸術文化ホールくらら大ホール
4月20日(水) 大阪・オリックス劇場
4月21日(木) 大阪・オリックス劇場
4月28日(木) 京都・ロームシアター京都メインホール
4月29日(金・祝) 千葉・千葉市民会館 大ホール
5月13日(金) 宮城・仙台サンプラザホール
5月14日(土) 福島・喜多方プラザ文化センター 大ホール
5月23日(月) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
5月24日(火) 熊本・市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
5月26日(木) 鹿児島・宝山ホール(鹿児島県文化センター)
6月3日(金) 北海道・音更町文化センター 大ホール
6月4日(土) 北海道・カナモトホール(札幌市民ホール)
6月10日(金) 兵庫・神戸国際会館こくさいホール
6月12日(日) 沖縄・那覇文化芸術劇場 なはーと
6月17日(金) 奈良・なら100年会館大ホール
6月19日(日) 長野・長野市芸術館メインホール
7月2日(土) 秋田・大曲市民会館
7月3日(日) 山形・天童市市民文化会館

チケット購入リンク:
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=11011806

BEGIN オフィシャルサイト:
https://www.begin1990.com/

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