エミール・ゾラの姿も、ポランスキー監督作「オフィサー・アンド・スパイ」新写真
映画
ニュース

「オフィサー・アンド・スパイ」より、アンドレ・マルコン演じるエミール・ゾラ(右)。(c)Guy Ferrandis-Tous droits réservés
ロマン・ポランスキー監督作「オフィサー・アンド・スパイ」の新たな場面写真が10点公開された。
第76回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)を受賞した本作は、1894年に起きたフランスの冤罪事件“ドレフュス事件”を映画化したもの。ドイツに機密を漏洩したスパイ容疑で終身刑となったユダヤ人大尉ドレフュスの無実を示す証拠を発見したピカール中佐は、隠蔽をもくろむ国家権力に抗いながら真実と正義を追い求め奔走する。場面写真には、ジャン・デュジャルダン演じるピカール、ルイ・ガレル扮するドレフュス、メルヴィル・プポー演じる弁護士ラボリらの姿が切り取られた。
本日4月2日は、自然主義を提唱し「居酒屋」や「ナナ」といった作品を生み出した作家エミール・ゾラの誕生日。劇中ではアンドレ・マルコン演じるゾラが、ピカールに「私ならドレフュスを救える」と手を差し伸べ、新聞に「私は告発する」と題した大統領宛の公開状を掲載する。この記事は世論に衝撃を与え、ドレフュス再審を求める動きを活発にする契機となった。ポランスキーは「ゾラの半生を描いたアメリカ映画(『ゾラの生涯』)で、ドレフュス大尉が失脚するシーンを見て打ち震えました。そのとき、いつかこの忌まわしい事件を映画化すると自分に言い聞かせました」と製作のきっかけを語っている。
「オフィサー・アンド・スパイ」は、6月3日より東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。なお本作の字幕監修を務めた思想家・内田樹からのコメントを下記に掲載した。
内田樹 コメント
ポランスキーは大戦中のフランスでユダヤ人狩りから逃げ回るという痛ましい少年時代を過ごした。彼はそのトラウマからついに自由になれなかった。彼の映画に“底知れず邪悪なものへ”の恐怖が伏流しているのはそのせいだと思う。この映画も例外ではない。
(c)2019-LÉGENDAIRE-R.P.PRODUCTIONS-GAUMONT-FRANCE2CINÉMA-FRANCE3CINÉMA-ELISEO CINÉMA-RAICINÉMA