「音楽を好きでよかった」3年ぶりのフォーリミ主催「YON FES」、花冷えのモリコロパークで閉幕
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「YON FES 2022」2日目公演終了後の記念撮影
04 Limited Sazabysが主催する野外イベント「YON FES 2022」が4月2、3日に愛知県の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)で開催された。この記事では2日目公演のレポートを掲載する。
雨がちらつくあいにくの天気となった2日目。Jリーグ・名古屋グランパスの公式マスコットキャラクターのグランパスくんも迎えた開会宣言ののち、SKY STAGEにこの日のトップバッター・ハルカミライが登場した。彼らは、肌寒さと雨を吹き飛ばすように、雨に濡れたステージの前方に飛び出したり寝転んだりと、アグレッシブなパフォーマンスを見せる。「YON FES 2019」ではLAND STAGEのトリを務め、中止となった「YON FES 2020」に出演予定だったハルカミライ。彼らは「YON FES 2020」で演奏予定だったセットリストでライブを行うと宣言し、「僕らは街を光らせた」「アストロビスタ」などを、歌詞の一部を「フォーリミ」「YON FES」に替えて愛情たっぷりにパフォーマンスした。四星球は北島康雄(Vo)以外のメンバーが、“ヨン様”ことペ・ヨンジュン、金のシャチホコ、「マツケンサンバII」の松平健に扮して登場。今年の目標を「『YON FES』の“YON”は四星球の“四”でもあると(フォーリミメンバーに)言わせること」と意気込み、「運動会やりたい」や「薬草」などを観客を巻き込むパフォーマンスで楽しませる。最後は段ボール製の小道具を解体して「YON FES超大スキ」というメッセージボードを作成して愛を伝えた。
SKY STAGEとLAND STAGEともに2番手はヘビーなサウンドやダークな世界観が魅力のアーティストが出演。SKY STAGEではCrossfaithが重低音を轟かせた。硬質なギターリフが印象的な「Deus Ex Machina」やハードコアサウンドの「Catastrophe」を経て、Koie(Vo)がフォーリミについて「同い年でプライベートでも仲良くさせてもらって、同世代のヤツらがこんなデッカいイベントをやってることを誇りに思ってます」と語った。LAND STAGEではSPARK!!SOUND!!SHOW!!が「†黒天使†」「かいじゅうのうた」などハードなナンバーをプレイ。ダークな世界観を打ち出したかと思えば、「MARS」ではタナカユーキ(Vo, G)がフリースタイルのラップでロシアによるウクライナに対する軍事侵攻について触れたあと、「『YON FES』、今日はこれだけを言いにきました。戦争反対」と平和を願う。バンドは最後にキラーチューン「南無」を披露してアクトを終えた。
2017年以来の出演となる東京スカパラダイスオーケストラは、まず谷中敦(Baritone Sax)が「帰ってきたぜ、『YON FES』!」と挨拶。彼らは「Paradise Has No Border」などの軽快なスカチューンで観客を踊らせ、茂木欣一(Dr)の柔らかいボーカルが印象的な「君にサチアレ」、沖祐市(Key)のピアノが光る「水琴窟-SUIKINKUTSU-」を続ける。「銀河と迷路」ではフォーリミのGEN(B, Vo)が登場し、スカパラメンバーと目を合わせながら楽しげに楽曲を歌い上げた。続くWiennersは「Justice 4」でフォーリミのKOUHEI(Dr, Cho)とコラボ。KOUHEIは「こういうのって前もって言われると思うんですけど、さっき言われました」と明かしつつ、うれしそうにパーカッションでセッションを繰り広げた。KOUHEIがステージから去ると、玉屋2060%(Vo, G)がKOZO(Dr)に「もっとリードするべきだった」と怒り出したかと思いきや、4人はフォーリミの「Galapagos」をカバー。アサミサエ(Vo, Key, Sampler)がメインボーカルを務めて会場をさらに盛り上げた。
「YON FES」皆勤賞のMy Hair is Badは、メジャーデビュー前の初期曲を多くセットリストに配しつつ、新曲も披露。椎木知仁(G, Vo)が「『YON FES』皆勤賞、今までで一番の『YON FES』にしにきましたよろしく!」と高らかに宣言をして、3人は「アフターアワー」で気迫に満ちたパフォーマンスを繰り広げた。4月1日に放送されたテレビ朝日系「ミュージックステーション 春のレジェンド曲3時間SP」でテレビ初パフォーマンスを行ったばかりのマイヘア。彼らは最後に、番組で披露した人気曲「真赤」、新曲「歓声をさがして」を情熱的にプレイした。続いて登場したのは「YON FES」初出演のハンブレッダーズ。彼らは昨年11月にCDリリースした最新アルバム「ギター」の収録曲を中心にセットリストを構成した。ムツムロアキラ(Vo, G)は「『YON FES』のインタビューを読んだら、フォーリミのメンバーが俺らのことを“隠キャ”って言ってたんですけど……。“隠キャ”が一番いいライブして帰るんで。そういうのが見たいんでしょ?」と言い放ち、青春感のある「ワールドイズマイン」「ライブハウスで会おうぜ」でバンドの魅力をアピールした。
WANIMAは、KENTA(Vo, B)がフォーリミの「monolith」の一節をWANIMA節で歌い上げてからライブをスタートさせた。彼らは一段と寒くなってきたこの時間帯にスカパンクチューン「BIG UP」を演奏して場内を温め、すっかり雨の上がった空を見上げて「見て見て、雨上がったよ!」と声を弾ませ笑顔で「雨あがり」を届ける。MCではKENTAが「これからもWANIMAと、フォーリミとともに生きていってください。1人で生きてると思うなよ!」と観客に語りかけ、バンドは「Hey Lady」「ともに」を熱演した。初出演のSaucy Dogは登場するなり、石原慎也(Vo, G)がアルペジオを奏で始め「シンデレラボーイ」で一気に観客を引き込む。せとゆいか(Dr, Cho)が「私が初めてフォーリミを見たのは2014年。いまだにそのときの感情を覚えてるんですよ」と語り、バンドは最新曲「魔法にかけられて」、アップテンポの「ゴーストバスター」などを続けた。石原はフォーリミとのエピソードを話そうとするも残り時間を確認し「このときの話はまたいつかどこかで」とひと言。3人は石原が話すことのできなかった思いを曲に託すように「いつか」を渾身のプレイで届けた。
大トリの04 Limited Sazabysは、1日目とまったく異なるセットリストを用意。序盤に「fiction」や「Alien」など攻撃的なサウンドの曲を配し、メンバーは花冷えの続くモリコロパークで熱量の高いパフォーマンスを繰り広げて、場内を熱気で満たした。間髪入れずに4曲をプレイしたあと、GEN(B, Vo)は「いろんなバンドが愛をくれて、愛を返さなきゃなと。やっぱり俺たちには『YON FES』が必要ですね。音楽を好きでよかったなと思います。昨日とかHump Backが始まった瞬間から泣きそうで」と感慨深げにこの2日間を振り返る。そしてバンドは名古屋のライブハウスについて歌った「758」を披露したり、スカパラをゲストに迎えて「swim」を華やかにパフォーマンスしたりと「YON FES」ならではのレアな曲や演出でオーディエンスを喜ばせた。
中盤のMCでは、GENが「今日も後輩が来てくれて出たいと言ってくれて、『YON FES』が1つの目標になってたり、何かのきっかけになっているのはうれしいなと。よく出てくれてるバンドも予定を空けておいてくれたり、調整してくれたりして。俺たちは並々ならぬ思いがありますけど、『YON FES』が自分たちのものだけになってないのが幸せです。本当にいろんな人に支えられて今日を迎えることができました。『YON FES』を構成するすべての人に拍手!」と「YON FES」への思いを語り、場内には温かい拍手が広がった。アンコールではGENが雨上がりの空を見上げてほほえみ、バンドは夜にぴったりの「midnight cruising」を披露。そして最後にGENが「明るい未来からのメッセージ」と前置きして「message」を届けて3年ぶりの「YON FES」の幕を下ろした。
音楽ナタリーでは、終演直後にフォーリミのメンバーに「YON FES 2022」を無事に終えた率直な感想を聞いた。GENは「自分たちが主催者だから贔屓目かもしれないですけど、どのバンドのライブもいつもよりカッコよかった気がする」と笑顔で振り返った。
04 Limited Sazabys コメント
KOUHEI(Dr, Cho)
前も同じようなことを言ったかもしれないんですけど、「生かされてるな」と思いました。音楽シーンにもそうだし、フォーリミにもそうだし。自分がドラマーとして、今置かれてる環境の一部になれてることが信じ難い感覚に毎年させられますね。幸せです。
RYU-TA(G, Cho)
3年ぶりだったので「どうやって『YON FES』を楽しんでたっけな?」という感じで、お客さんのような気持ちで楽しんだ気がします。1日目はライブもちょっと固かったかなと思うんですけど、全体では2日間ホントに楽しく過ごせたし、ちゃんと「YON FES 2022」の場を締められたなと思います。
HIROKAZ(G)
各バンドがMCのたびに僕らの名前を出してくれて。みんながちゃんと僕らにバトンをつなげてくれたのがシンプルにうれしかったですね。
GEN(B, Vo)
2日間一瞬で、楽しかったですね。今日は終わっちゃうさみしさも感じながらやってたけど。自分たちが主催者だから贔屓目かもしれないですけど、どのバンドのライブもいつもよりカッコよかった気がするんですよ。僕はバンドマンという生き物がすごく好きで、こういうときに気持ちの入ったライブができるバンドマンのみんなが好きだなと改めて思いました。僕らもバンドの面白さ、楽しさ、カッコよさを体現する存在でありたいし、「YON FES」をそういうバンドの魅力があふれているフェスにし続けたいなと思いました。