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『セールスマンの死』開幕 段田安則らキャストが「生き方が下手」な主人公に思いを寄せる

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『セールスマンの死』初日会見より、左から 鶴見辰吾、林遣都、鈴木保奈美、段田安則、福士誠治、高橋克実

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パルコ・プロデュース2022『セールスマンの死』(アーサー・ミラー作)の初日会見が4月4日、東京・渋谷のPARCO劇場で行われ、主人公ウィリーを演じる段田安則をはじめ、本作が25年振り2回目の本格的舞台出演となる鈴木保奈美、共演する福士誠治、林遣都、鶴見辰吾、高橋克実が意気込みを語った。

1949年ニューヨークで初演され、トニー賞、ニューヨーク劇評家賞、ピューリッツア賞を受賞し近代演劇の金字塔となった『セールスマンの死』。過酷な競争社会が生んだ弱者であるセールスマンのウィリー・ローマンを主人公に、彼が帰宅した月曜日の深夜から、自ら命を絶つ火曜日の深夜まで24時間が、フラッシュバックの手法や、ウィリーや家族の過去の記憶を巧みに織り込みながら描かれる。

段田が演じるウィリーは、かつては敏腕のセールスマンだったという役どころで「(過去の成功体験を通して)理想や希望を持ちつつ、そううまくはいかず、理想と現実のギャップで苦しんでいて、息子たちにも理想を託してしまった。その挫折もあって、まあ、生き方が下手なおっさんだなと思う」と自己分析。初日を前に「阪神があれだけ負けていても、それが頭からいっちゃう(消えちゃう)くらい(笑)。1週間前は大丈夫かなと不安もいっぱいだったが、こうして劇場に入ると、これはそこそこいけるんじゃないかと手応えを感じております。こん身の『セールスマンの死』。数々の名作(舞台化)があったと思いますが、今回も失敗はないと思います」と自信のコメントだった。

ショーン・ホームズによる演出については、「今までにない、でも奇をてらっているわけではなく、本質をついた演出だなと。現実の24時間を描きつつ、私の頭から出る妄想と回想。ここが演出の腕の見せどころだと思いますし、それがうまく視覚的に演出されている」と称賛を送った。

ウィリーの妻・リンダを演じた鈴木は「通し稽古と返し稽古、プレビューとゲネプロ。舞台の用語の違いも分からないまま、やっていますが、カンパニーの皆さんにただただついていくだけ」と緊張の面持ち。「こんなにさらけ出して、言い合える家族はうらやましい」とローマン家の“喧騒”を語った。「充実した楽しい時間が、さらに深くなり、さらに変化し、1回も頭が休まっていない状態だった。それだけ深い戯曲」と語るのは、ウィリーの長男・ビフを演じる福士。その弟・ハッピーを演じる林は「約1ヶ月間の稽古は、部活のような日々。ショーンが部活の監督のようで(笑)。今日からみんなで試合に臨む気持ち」と気合いを入れた。

ウィリーの友人・チャーリー役の鶴見は、「すごく芝居のしがいがある。(ウィリーは)愛情ゆえに空回って、夢を追っていた亡き父を見ているよう」としみじみ。高橋はウィリーの兄・伯父ベンを演じ、「ちっちゃい自分を大きく見せたかったり、自分とウィリーに重なる部分もあり、違う感情が高ぶっております」と話していた。

取材・撮影・文:内田涼

【公演概要】
パルコ・プロデュース2022『セールスマンの死』
作:アーサー・ミラー
翻訳:広田敦郎
演出:ショーン・ホームズ
出演:段田安則
鈴木保奈美、福士誠治、林遣都、前原滉、山岸門人、町田マリー、皆本麻帆、安宅陽子、鶴見辰吾、高橋克実

2022年4月4日(月)~4月29日(金・祝) 東京・PARCO劇場
2022年5月3日(火) 松本・まつもと市民芸術館 主ホール
2022年5月7日(土)~5月8日(日) 京都・ロームシアター京都 メインホール
2022年5月13日(金)~5月15日(日) 豊橋・穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール
2022年5月19日(木)~5月22日(日) 兵庫・兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール
2022年5月28日(土)~5月29日(日) 福岡・北九州芸術劇場大ホール

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