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映画史に残る快挙! 濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』凱旋記者会見レポート

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『ドライブ・マイ・カー』凱旋記者会見

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村上春樹の短編を映画化した島秀俊主演、濱口竜介監督最新作『ドライブ・マイ・カー』が第94回「アカデミー賞」国際長編映画賞を受賞した。この映画史に残る快挙を記念し、4月5日(火)に、東京・千代田区の日本記者クラブで凱旋記者会見が行われ、濱口竜介監督と主演の西島秀俊、本作のプロデューサー・山本晃久が出席した。

日本映画がアカデミー賞の国際長編映画賞(旧称:外国語映画賞)を受賞するのは、映画『おくりびと』(滝田洋二郎監督)以来13年ぶりの快挙。栄誉の象徴であるオスカー像を手にして登場した濱口監督は「これだけ多くの国に作品が受け入れられたということを、驚きを持って受け止めている」と戸惑いつつも、広く支持された理由については「(原作の)村上春樹さんの物語が持つ普遍性にあると思う」と村上文学の高いドラマツルギーにあると分析する。

さらに受賞の瞬間についての感想を問われると「どう言ったらいいのかわからないというのが根本にある。直前に至るまでにオスカーというものが自分の人生に関係するとは思ってもいなかったので、どう振る舞っていいのかわからなかった」と率直な感想を吐露した。

また今回の快挙は自身のキャリアにおいてあくまでも「通過点であったらいい」と言うが、受賞の際のスピーチには若干の反省があるようで「僕がサンキューと言ってしまったがために会場の音楽が流れてしまって、その先の言葉が言えなかった。もし次にチャンスがあるならば、今回の教訓を活かしたい」とはにかむ。

亡き妻への喪失感を抱える舞台俳優で演出家の家福悠介を演じた西島。「応援していただいたみなさんの力のお陰で素晴らしい体験をさせていただきました。現地でも『美しい映画だった』と言っていただきました。この魂の救済の映画が国や言語の壁を越えて人々の心に大きく響いたことを実感しました」と喜びを噛みしめ、山本プロデューサーも「小さくささやかな現場から始まったこの作品が数々の賞とアカデミー賞を経てみなさんのもとに戻ってきました!」と凱旋を報告した。

本作は国際長編映画賞だけでなく作品賞、監督賞、脚色賞にもノミネートされている。濱口監督は「前日にノミネート者たちとのディナーがあり、スティーヴン・スピルバーグ監督やポール・トーマス・アンダーソン監督と同じテーブルになりました。なんでこんなところにいるのだろうか?という気持ちになった」と夢心地だったことを回想。

映画で世界を目指す後進に向けては「このような機会(アカデミー賞ノミネートや受賞)が今後も続いてくれれば日本映画にとってはありがたいこと。世界の目が今アジア映画や日本映画に向いていることは今回の経験でわかったので、世界を目指すのならば野心を持ってやってもらいたい」とエールを送った。

現地で授賞式に参加した西島は「アカデミー賞の場に行くまでは緊張するだろうと思っていたけれど、意外に緊張しなくて今日の方が緊張しています」とジョークを交える。授賞式前日には敬愛する映画監督であり俳優のジョン・カサヴェテス監督のお墓参りに行ったそうで「その時に自分の中でも驚くくらいに心が動いた。かつて濱口監督も観ていたジョン・カサヴェテス監督の特集上映から約20 年の時を経てロスに降り立ち、カサヴェテス監督のお墓に行き『明日アカデミー賞に出るんだ』と感じ入るものがありました」としみじみ。アカデミー賞という貴重な場に同席した栄誉については「素晴らしい作品という偉大な魂が僕をここに運んでくれたんだと思いました」と喜びを噛みしめた。

濱口監督の演出術を「丁寧に時間をかける現場だった」と語る西島は「今回の演技は説明を排除した演技で、観客の皆さんとの共同作業で作り上げるような演技でした。自分の信じる演技を見つめ直し、勇気を出してやろうと演じた記憶があります。その演技を各国の皆さんに見てもらえたことは希望であり、素晴らしいこと」と回想。その結果「自分の信じる演技をやるしかない」という結論に達したという。

そして後輩たちに向けて西島は「僕よりもはるかに才能のある日本の若い俳優さんも多いので、みなさんが自分の信じる演技を突き詰めていったその先には、信じられないようなことが起こるのではないか。今回僕が体験したことは若い俳優さんたちに会ったら伝えていきたいと思うけれど、僕程度の俳優が行けたので、みなさんにも可能性があるはずです」と謙遜交じりに後進の活躍に期待を込めた。

本作は、これまでに第74回「カンヌ国際映画祭」にて日本映画初の脚本賞を含む4冠を受賞。その後「ゴールデングローブ賞」非英語映画賞、「インディペンデント・スピリット賞」国際映画賞、「クリティクス・チョイス・アワード(放送映画批評家協会賞)」外国語映画賞、「ニューヨーク映画批評家協会賞」作品賞、「ロサンゼルス映画批評家協会賞」作品賞・脚本賞・監督賞次点、「ボストン映画批評家協会賞」にて西島秀俊の最優秀男優賞を含む4冠、「米批評家協会賞」では作品賞とアジア初・主演男優賞を含む主要4部門での受賞など、世界中で90以上の賞を受賞している。

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