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美弥るりか「皆さんの台詞があまりにも響いてしまう」【Musical『The Parlor』インタビュー第1弾】

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美弥るりか 撮影:You Ishii

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美弥るりかが主演を務めるMusical『The Parlor』が4月29日に開幕する。

本作は、『The Last 5 Years』をはじめ数々の海外ミュージカルの演出を手掛け、オリジナルミュージカルの創作も得意とする小林香による新作ミュージカル。今の日本で、どこか生きづらさを抱えている人たちのためによりよい社会をと願い開かれた場所「ザ・パーラー」を舞台に描く三世代の女性たちの物語で、ジェンダーギャップ指数 120 位と発表された日本で、小林自らがいま一番伝えたいものとして企画し実現した。作曲・編曲はアレクサンダー・セージ・オーエン。アメリカで、ASCAP 財団のルシール賞とジャック・イエレン賞の作詞家賞を受賞し、ミュージカルの音楽も手掛けるなど、いま注目されている新進気鋭の作詞作曲家だ。

稽古が開始したばかりの頃、パーラーの娘であり、孤高の人気ゲームクリエイターの円山朱里を演じる美弥に話を聞いた。

初めて演じる現代を生きているキャラクター

――お稽古が始まって3日ほどだそうですが、どのようなことを感じられていますか?

私は最近、悪役とか幻とか、キャラクターに特徴のある役が続いていたのですが、今回演じる朱里という役は、日本人で世代も近くて今の時代を生きているという、初めてのジャンルのキャラクターで。「普通の人ってどうやって喋るんだっけ」とそこがまず最初の大きな壁になっています。

そしてもうひとつ難しく感じているのは、出演者の皆さんがハートフルな方ばかりだということ。この作品は(朱里の曽祖母の時代は談話室、祖母の時代は美容室、母の時代は喫茶室として)「人々が集まる温かい場所をつくりたい」とつくられた“ザ・パーラー”という場所が舞台になっているのですが、皆さんの一言一言にはそこにふさわしい温かさが滲み出ているんです。だから、朱里は人と関わりたくない人物なのに、ついつい私自身がその温もりに近づいていきたくなっちゃう(笑)。暖炉に当たりたくなるような気持ちになるんです。(芝居の中で)話を聞いて、うるうるしちゃったりして(笑)。

――お稽古3日で既にそういう空気があるんですね。

はい。最初に「男性として、女性として、不思議に思うことはあるか」についてお話しする時間をつくっていただいて。「全く何もないです」という方もいたし、「ないと思っていたけれど、今みんなの話を聞いたら、あれは実はちょっとストレスに感じていたかもしれない」とか、私も「演じるうえで、“男であること”“女であること”になんの意味があるんだろうと思っている人間もいます」ってお話ししたりしました。あれはすごく良い時間だったと思います。

あとこれは私の勝手な憶測ですが、みなさんどこかで役とご自身の生活や人生がリンクしている気がしています。それで「自分が喋っているのか役が喋っているのかわからない」みたいな瞬間を味わっているのかなって。だからあまりにも響いてしまうというか、台詞として聞こえず、自分の心も共鳴してしまうんじゃないかと思います。さらに香さん(作・演出の小林香)が作品への想いをすべて伝えようとしてくださる方なので、稽古が最初から濃い。段取りをつける段階ですが、そこには既に“心”がくっついてきている感じがします。

自身のジェンダーフリーな活動が朱里にも通じる

――美弥さんが演じるうえで「“男であること”“女であること”になんの意味があるんだろう」と思われているのはなぜですか?

私は宝塚歌劇団では男役だったのですが、退団して“男役”というヴェールを脱いだ時に、「性別に垣根なんてないのに、なんで“女優”というんだろう」ってすごく不思議に思ったんですよね。男役が終わったからドレスを着て歌いたいかと言われたら、私はそう思わなかったですし、無理に思うことでもないとも思いました。だから自然に「演じることに性別を持つ必要はない」と思い、「ジェンダーフリーな活動をしていきたいです」と言うことができました。そこには朱里とリンクするものがけっこうたくさんあります。だから私が朱里を演じることで、よりリアルさが出たらいいかなと思います。

――朱里の祖母・阿弥莉を演じるのは剣幸さん、朱里の母・千里と朱里の妹・灯の2役を演じるのは花乃まりあさんで、おふたりとも初共演ですが同じ宝塚歌劇団出身です。なにか印象はお持ちですか?

すごく個人的な話になっちゃうんですけど、剣さんは私が宝塚歌劇団に入るきっかけとなった方なんです。だからその方とお会いできる、そして言葉を交わし、お芝居を近くで感じて学ぶことができる、ということを奇跡のように感じています。小学生の私に「この人と共演できるよ!」って言ってあげたい気持ちです(笑)。花乃ちゃんは、学校の下級生の時から「すっごいかわいい子がいるらしい」って噂になっていたんですよ。実際、同期の男役たちと一緒に廊下ですれ違った時に、あまりにもかわいくて声をかけましたから(笑)。その時から「とてもナチュラルな方だな」と好印象を持っていました。ただ今回お会いしたら、思っていた以上にかわいくてびっくりしましたけど(笑)。これはすごく不思議なのですが、おふたりともまだお会いして1週間くらいなのに、既に安心してしまう温かさがあるんです。きっと剣さんがつくってくださっている空気だと思うんですけど、いい意味で3人とも普通に話せている感じがある。まさに家族といるような、自然体でいられるんですね。その空気が作品に繋がっていったらなと思います。朱里としてはそこに拒絶感がなくちゃいけないんですけどね。ついついお話したくなってしまいます(笑)。

「宝塚歌劇団OGだからこうあるべき」という言葉に縛られずに

――お話をうかがっていると、朱里はひとりでいたいキャラクターですが、美弥さんご自身は人と一緒にいるのが好きなのかなと感じます。

好きです。でも、大勢といるより「一対一」が好きです……って言うと、今までずっと団体生活(宝塚歌劇団)だったので、どういうことってなるんですけど(笑)。大勢と戯れるのは得意なほうではないです。自分で言うのもなんですが、気を使っちゃうタイプで、いろんなことが気になって、心がすごく疲れちゃうんですよ。だから一人ひとりとじっくりゆっくり話すのが好きです。そしてその時は、本音しか言いたくない。私は無駄な時間は本当に要らないって思うから、うわべで話す時間はもったいなくて、最初から思っていることしか言いたくないんです。そういうふうに人と話すのがすごく好きですね。

――劇中で阿弥莉さんの美容室や千里さんの喫茶室が「小さな自由をつくった」という表現がありましたが、美弥さんがつくりたいものはありますか?

これが答えになるのかわかりませんが、宝塚歌劇団を卒業した時に「女優」という言葉に疑問を感じて、「私は演じるうえで性別を気にしません」と言ったことが、自分の武器にもなったし、生きるうえで「自分をラクにできるもの」「自分らしくいられるもの」を自らつくったなと思います。それを、例えばこれから卒業していく後輩たちが見て、「美弥さんみたいな人がいたから、私もこういうことをやってみようかな」と思ってくれたら嬉しいです。「宝塚歌劇団OGだからこうあるべき」ということにとらわれずに、一人ひとり違う人間で、人生も違うし、考え方も違うし、表現したいことも違うので、私はなるべくフリーダムにやっていきたいです。それでひとりでも勇気づけられたらいいなと思っています。

すべてのエネルギーを「今」に

――では、美弥さんの気持ちが強くなれるのってどんな時ですか?

「今」を生きている時です。欲望も、そして希望もそうですが、生きていると人は必ず何かを望んでしまいますよね。でも、例えば過去を後悔している自分とか、未来でこうなっていてほしい自分とかって、どちらも「今」じゃない。私はもともと心配性で、過去はうじうじマンだったんですよ。だから例えば舞台でも、「今日もしあそこでこんなことしちゃったらどうしよう」とかそういうことばかり考えてしまっていました。でも実際には起きていないんですよ。つまりとっても無駄なんですよね、起きてないことにエネルギーを費やすって。過ぎ去った変えられないことにエネルギーを費やすこともそう。だからそのエネルギーをすべて「今」に持ってくるんです。そうすると、とても強い自分でいられます。「あ、私またうじうじしてる」と気付いた時、「はいはい、無駄でした。今を生きます!」って軽く思うだけで、なんだか気持ちがラクになったり、楽しくなったり、いま考えるべきことに気付けたりします。

取材・文:中川實穗 撮影:You Ishii



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★【Musical『The Parlor』インタビュー第2弾】美弥るりかさん・花乃まりあさん・剣幸さんの宝塚歌劇団OG3人の鼎談記事はコチラ→https://lp.p.pia.jp/article/news/226944/index.html

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