『ヨシタケシンスケ展かもしれない』世田谷文学館にて開幕 幅広い世代に愛される絵本作家のインスピレーションの源とは?
アート
ニュース
『ヨシタケシンスケ展かもしれない』会場にて、絵本作家のヨシタケシンスケ
続きを読むフォトギャラリー(11件)
すべて見る2013年に『りんごかもしれない』で絵本作家デビューして以降、子どもから大人まで幅広い層に支持されているヨシタケシンスケ初の大規模個展『ヨシタケシンスケ展かもしれない』が4月9日(土)、世田谷文学館にて開幕した。
『りんごかもしれない』『もう ぬげない』『あんなに あんなに』など、ひとつのテーマから想像や妄想をどんどん広げていき、発想の転換や違ったものの見方に気づかせてくれるヨシタケシンスケの絵本の世界。先日発表された第3回「小学生がえらぶ!“こどもの本総選挙”」では『あるかしら書店』ほか3作品がベスト10に入るなど絶大な人気を誇っている。
今回の展覧会では、そんな人気作品の原画やアイデアスケッチだけでなく、ヨシタケが考案した立体作品や私物のコレクションなども紹介し、人気絵本作家のインスピレーションの源を探っていく。
4月8日(金)に行われた内覧会で登壇したヨシタケは「最初に展覧会のお話を頂いたときは、僕の原画はサイズも小さいし色もついていない。(展覧会場で見せたときに)絵本よりも情報量が減ってしまうから難しいと思いますと言っていたんですけど、じゃあ何ができるのか、いろいろな方々とアイデアを出し合いながら何とか作り上げていくことができました。普段、絵本づくりは僕と編集の方と2人でのやりとりなんですけど、展覧会って団体競技なんですよね。それぞれの技術を持ち寄って、何かひとりではできないものを作り上げていく高揚感を久しぶりに味わうことができてすごくおもしろかったです」と挨拶。
展示室に入るとまず目に飛び込んでくるのが、約2000枚という小さなサイズのスケッチだ。これはヨシタケが絵本作家デビュー以前から常に持ち歩いている手帳に描きためていたスケッチを複製したもの。大きな壁面が約13×8センチメートルという小さなスケッチで埋めつくされている。
「半年間だけ会社員をしていたんですけど、結構辛かったんですね。それで紙に愚痴をイラスト付きで描いていたんです。でも会社の人に見つかったら大変なので、小さく描いていて、気づいたらそれが自分にとって描きやすいサイズになっていました(笑)」
人気絵本の原画やアイデアスケッチの展示は、現物とともに拡大パネルが設置されているものも。ほかにも「じごくのトゲトゲイス」「りんごでうるさいおとなをだまらせよう!」など、ユニークな体験展示も用意されている。
「僕が子どものころ、展覧会に連れてきてもらってもつまらなかったんですよね。なので今回わざわざきて頂いた方には、大人は大人なりに、お子さんはお子さんなりに、それぞれがおもしろがれる場所がある方がいいなという思いがありました」
ほかにも、壁と壁の間に、こそっと私物や資料が展示されていたり、付箋に手書きで解説が書かれていたり、動く年表が設置されていたり。会場じゅうにちりばめられた細やかな演出が楽しい。
「(世の中には)いろいろな人がいて、ストレス解消のためにやっていたことが仕事にまでつながることもある。決まったことだけで正解にたどり着く訳じゃない、紆余曲折を経て、思わぬところで何か自分のもっていることが役に立つことだってある。そういうことを僕は小さい頃に誰かに教えてほしかったですよね。なので絵本を書く中で、僕が通ってきた道、そういう自分が小さいころ知りたかったことを形にできればいいなと思っています」
展覧会は世田谷文学館のあと、兵庫、広島、愛知へと巡回する。
【開催情報】
『ヨシタケシンスケ展かもしれない』
4月9日(土)~7月3日(日)、世田谷文学館にて開催
https://yoshitake-ten.exhibit.jp/
フォトギャラリー(11件)
すべて見る