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いきなりクライマックス、勝負の蔚山戦! 川崎F、昨季ACLのリベンジなるか?

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橘田健人(川崎フロンターレ) (C)スエイシナオヨシ

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いきなりの大一番である。川崎フロンターレが『AFCチャンピオンズリーグ2022』グルーブI第1節で蔚山現代FC(韓国)と対峙する。昨季ラウンド16で敗退を喫した因縁の相手と、初戦から激突するのだ。

昨季も負けたわけではない。2021年9月14日・蔚山文殊フットボールスタジアムで行われた『ACL2021』ラウンド16は緊迫感張り詰めた死闘となった。90分では決着がつかずに延長戦を終えてもスコアレス。勝敗はPKに委ねられた。PKでは川崎Fが3人失敗し、蔚山5人目のキッカーのユン・ビッガラムがGKチョン・ソンリョンの逆を突いて勝負あり。川崎Fはアジアの舞台から姿を消したのだった。

川崎Fはこの試合でCB谷口彰悟、車屋紳太郎、MF大島僚太、旗手怜央を欠いた。そもそもレギュレーションが不公平だった。6戦6勝27得点3失点で『ACL』グループステージ全体でダントツトップの好成績を収めた川崎Fが、2番目の成績を残した蔚山のホームに乗り込む理不尽を受け入れなければならなかった。

今季も蔚山は強い。『Kリーグ2022』では7勝2分で首位に立つ。15得点はリーグ最多で5失点はリーグ最少。横浜F・マリノスからレンタル移籍した天野純も2試合連続FK弾を決めるなど好調をキープしている。

川崎Fも『2022明治安田生命J1リーグ』で1位となった。昨季までの圧倒的な力はないと言われつつ、6勝2分2敗の星を残すのはさすが。しかも、前節の勝利は大きかった。セレッソ大阪にホームゲーム25戦無敗を止められる1-4のショッキングな敗戦となった第6節、シュートの雨を降らせながら試合終了間際のゴールで1-1に持ち込むのがやっとだった第7節・ジュビロ磐田戦を受けての第8節・柏レイソル戦。スコアこそ1-0だが、悪い流れを断ち、再び自信を得る勝利となった。

これまで橘田健人をアンカーに置いていた川崎Fだが、この日は橘田とジョアン・シミッチのダブルボランチを配置。守備に安定感が増し、ボランチのボール奪取から素早い攻撃へスイッチを入れた。9分、CB山村和也のボールロストからピンチを迎えるも、相手FWのシュートが枠を外れてことなきを得る。17分には右SB山根視来のクリアにCFレアンドロ・ダミアンが反応、ドリブルで持ち込みGKとの1対1からシュートを放つも、キム・スンギュの好セーブに遭う。26分にはトップ下遠野大弥の右CKの流れから左ウイング・マルシーニョがゴールネットを揺らすも、その前に山村のハンドがありVARの末ノーゴールとなった。

待望の先制点は前半終了間際に生まれた。CB谷口の縦パスに遠野がワンタッチでマルシーニョを走らせると、マルシーニョは爆発的なスピードで相手を振り切り、マイナスのラストパス。お膳立てを受けたダミアンが落ち着いて右足を当ててゴールを奪ったのだ。

後半立ち上がりも橘田のボール奪取から右ウイング家長昭博とダミアンのパス交換を経て家長がクロスを上げると、ゴール前の遠野が右ボレーを炸裂。しかしまたもやキム・スンギュの好守に阻まれた。64分には遠野のFKをシミッチ、谷口とつなぎ、ダミアンが押し込んだが、VARで谷口のオフサイドが判明。71分も橘田のボール奪取から遠野のミドル、81分は橘田のサイドチェンジから左ウイングに入った宮城天がサイドを深くえぐり、ゴール前に走り込んだ遠野へラストパスを送るなど、追加点とはならなかったが分厚い攻めを披露した。

試合後、鬼木達監督は「とにかく『気持ちの入ったゲームをしよう』という話をした中、そういう姿勢を出してくれた。チームとしても球際のところを求め、ピッチ上で表現してくれた」と選手たちを称えた。またボランチについて「(シミッチは)トレーニングからエネルギーを感じていた選手のひとりだった。今日の試合では球際の強度が必要、ロングボールが増えてその回収も求められた。健人と一緒に、攻守にバランスを取ることを考えて起用した。彼も勝負の1試合だと思って臨んだと思うが、素晴らしいパフォーマンスだった」と言及した。

今季初先発となったシミッチは「今日は少なからず勝利に貢献できたと思う。やり慣れている3人の中盤の形とは違うポジショニングになったが、自分もダブルボランチでのプレーをたくさん経験し、健人も素晴らしい能力を持った選手。何をしなければならないか集中するだけだった」と手応えを語り、キレキレのドリブルを連発したマルシーニョは「トレーニングのようにうまくできた。大弥からボールが相手の裏に出ると信じて走った。ボールが持って中を見た時にフリーでダミアンがいて、うまく決めてくれた」とゴールシーンを振り返った。

4月13日、メディア対応を実施。指揮官は次のようにコメントした。
「対蔚山というのもあるし、初戦の重要性もある。(蔚山への特別な思いは)それはなくてはならないものだと思う。そういう思いが個人やチームを強くすると思う。でもゲームでは冷静に、熱く冷静に戦いたい。(勝負のキーは)すべてだが、ゲームの状況を全員が把握し戦えるか、球際や切り替えのところを相手にしっかりぶつけられるか」

中2日の6連戦、マレーシアでの集中開催となるが、鬼木監督は去年の経験が大きいと言う。
「一回経験しているのは大きい。すべてのことが予定通りいかない。その時その時臨機応変に対応していくのが大事。1試合通してもそう、6試合全体でもその都度対応していくことが大事。この大会は集中開催なのでチームの一体感が必要だし、問われる。過密日程ということで、これまでチャンスがなかった選手に出られるチャンスがある。去年も新しい力が出てきた。今年もそういうところにこだわっていきたい」

蔚山、地元のジョホール・ダルル・タクジムFC(JDT/マレーシア)、広州FC(中国)と争うグループIを難しいグループと認識した上で、「圧倒したい」と語った。
「まず圧倒したいという気持ちは変わらない。でもうまくいかない場合は頭を切り替えて、勝点を考える。1点取りに行くのか、1点を守るのかチームとして統一していく必要がある。難しいグループ。去年負けている蔚山がいる。地元のチームもいる。広州に関しては情報もない。全員でゲームの状況、グループステージの状況を把握して戦っていきたい」

鬼木監督は『ACL』ならではの難しさを以下のように明かした。
「球際でこぼして一発強い振りで入れられるとか、何でもないところからゴールが生まれるのが『ACL』だと思う。89分集中していても一本のロングボールや一発のクロスで変わってしまう。レフリーのジャッジも自分たちで思うものと違うものが出てくる可能性もある。どんな時も隙を見せない。自分たちはしっかりその隙を突く。そういうところを研ぎ澄ましてやっていかないといけない」

マレーシアの蒸し暑さも警戒する。
「予想以上に蒸す。ストレッチしている時から汗が出て、その後は汗が止まらないので、6試合を考えると相当なものだなと思う。この湿度は地元のチーム以外は慣れないと思う。やっていってみないとわからない」

初戦・蔚山戦の重要性を理解している。
「お互いのチームにとって大きなウェートを締めると思う。最高の準備をしないといけないと思っている。お互い選手の入れ替えがある中、リーグ戦でも結果を残している。最近では天野選手がすごく調子がいいし、前線はクオリティが高いと感じる。昨年の延長のところと、個の特徴がハッキリしている。ドリブルがあったり、強さがあったり、スピードがあったり、アジアの中でもトップレベルだと思う」

また敵将ホン・ミョンボ監督へのリスペクトも口にした。
「尊敬している。試合の中の表情を見ても常に落ち着いている。代表とかクラブで結果を残しているので、チームのリーダーという感じがする。話す機会があった時も丁寧に話してくれて非常に紳士。日本のサッカーを知っている。だから天野君も溶け込めたと思うし、懐の深い人物だと思う」

オンライン取材には橘田と大卒ルーキーの左SB佐々木旭も登場、このように意気込みを語った。

橘田「今年もしっかり6連戦6連勝したい。初戦が大事、勝って勢いを付けたい。しっかり1位でグループステージを突破したい。
(ダブルボランチは)アンカーの時に自分の脇を抜かれる場面もあったので、2枚になって守備面では良かったが、攻撃面で枚数が減るのでより攻撃的にいくことが課題。チームがきつい時に助けるプレーを意識してやっているので、みんながきつい時間帯にあらゆる場所に顔を出していければと思っている。最初からどんどん行こうとやっている。
(蔚山戦は)リベンジするチャンスがきたので、『次は勝ってやろう』という気持ち。去年負けて悔しい思いをしたので、チームとして『絶対勝ってやろう』という雰囲気で練習している。柏戦では相手も球際が持ち味だが、そこで上回れたので、蔚山戦でも上回っていけば勝てると思う。個人としてもチームとしても球際で上回れるようやっていきたい」

佐々木「海外でサッカーをやるのは初めて。すごく暑く、環境もガラリと変わったので、早く慣れてやっていきたい。暑さが一番違う。日本と同じ入り方では持たないと思うので、調整していきたい。『ACL』を経験できるというのはすごく幸せなこと。まずこの舞台に立てることに感謝し、自分の持てる力をすべて出し、この予選を突破できるようにしていきたい。相手が蔚山ではなくても初戦は大事。しっかりいい試合をして、いい結果を残し入れるようにしたい。球際のところは鬼さんからも毎日言われている。そこは変えずにやっていきたい。個人的には判断のスピードにこだわってやっていきたい」

果たして、白星発進するのは川崎Fか、蔚山か。『ACL2022』I組第1節・川崎F×蔚山は4月15日(金)・タン・スリ・ダトー・ハジ・ハッサン・ユヌススタジアムにてキックオフ。川崎Fはその後18日(月)・広州FC、21日(木)・JDT、24日(日)・JDT、27日(水)・蔚山、30日(水)・広州と対戦。試合の模様はDAZNにて生中継。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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