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2年越し念願の『お勢、断行』実現! 岡本健一×成河二人芝居も 世田谷パブリックシアター2022年度ラインアップ発表

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世田谷パブリックシアター2022年度ラインアップ発表会見より 左から、五戸真理枝(演出)、生田みゆき(演出)、倉持裕(作・演出)、福本莉子、白井晃、倉科カナ、岡本昌也(安住の地)、中村彩乃(安住の地)、私道かぴ(安住の地)  撮影:田中亜紀

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この4月より白井晃を芸術監督に迎えた世田谷パブリックシアターの2022年度のラインアップ発表会見が4月19日に開催。白井をはじめ、同劇場で上演される『お勢、断行』に出演する倉科カナ、福本莉子、演出の倉持裕、同じく『毛皮のヴィーナス』の演出・五戸真理枝、『建築家とアッシリア皇帝』の演出・生田みゆき、『凪げ、いきのこりら』(仮)を上演する「安住の地」の中村彩乃(代表/出演)、 共同脚本・演出の岡本昌也、私道かぴらが出席した。

白井は冒頭、コロナ禍によるここ2年ほどの間に演劇界が直面した厳しい状況について言及しつつ、同劇場の初代芸術監督を務めた佐藤信の「劇場は広場だ」という言葉を引用し「広場であるべき劇場になかなか人が集まれない状況になった中で、もう一度、この劇場が広場たるものであり続けるためにどうすればいいか考えていきたい。この2年間の間、若干、人々の心が委縮してしまった気がします。笑ったり、泣いたり、怒ったりという感情の起伏が狭まってしまった気がします。それを取り戻すために、劇場は心をもう一度、復活、躍動させる場でありたいと思っています」と思いを口にする。

倉持裕演出による『お勢、断行』は2年前にゲネプロまで行ないながら、初日直前に中止となった作品であり、2年越しでついに上演が実現する。江戸川乱歩の短編「お勢登場」に出てくるお勢を主人公に据え、倉持がオリジナルで紡いだ物語であり、倉持は「稀代の悪女であるお勢を中心に、立場によって善悪が変わるということを描いています。まさにいま、コロナ禍にあって、それぞれがそれぞれの正しさを主張して様々な対立が生まれ、戦争も起きています。本来上演されるはずだった2年前よりも善悪を巡るテーマがより鮮烈に観客の目に映ると思います」と語る。

ゲネプロまで行ない、一度は“完成”した作品ではあるが、2年の時間と社会の状況の変化に伴い、作品もまた変化を遂げているようで、倉持は「2年前は、悪人を悪人として描いていましたが、今回は、そこはちょっと変わったかなと思います。自己暗示にかけているというか、最初は(悪いことをしている)自覚があったかもしれないけど、『自分は悪いことはしていない』『自分は正しい』『正しい道に進むには多少の犠牲は仕方ない』という考え方になっていて、自分を正当化し、自分のウソに騙されてしまっている人間になったと思います」と明かした。

『お勢、断行』チラシ

お勢を演じる主演の倉科は、2年前の上演中止の悔しさを口にしつつ「その時、『2年後にやりましょう』と言ってくださった世田谷パブリックシアターの心意気、尽力いただいたみなさんに感謝でいっぱいです。悔しさを糧に、さらにブラッシュアップしたものを見せたい」と意気込む。今回、新たに出演が決まった福本は「2年前に中止になったことを知っていたので、まさか参加させていただけることになるとは…」と驚きを口にしつつ、自身と同世代の「若い方に劇場に足を運んでほしいです」と力強く語った。

高岡早紀×溝端淳平、岡本健一×成河の期待が高まる二人芝居に野村萬斎演出のハムレットも

8月に上演される五戸演出による『毛皮のヴィーナス』は高岡早紀と溝端淳平による二人芝居。あるオーディションに遅れてやってきた女優と演出家の姿を描くが、五戸は「演出家・女優あるあるも多くて共感できるエピソードが満載です」と笑う。女優が色仕掛けで演出家をたぶらかそうとするなど、昨今のコンプライアンス的に「ギリギリ」(五戸)の描写もあるそうだが「ギリギリなところが知的でスリリングです」と魅力を語る。

左から『毛皮のヴィーナス』演出の五戸真理枝、出演の高岡早紀と溝端淳平

生田みゆき演出による『建築家とアッシリア皇帝』も二人芝居で、こちらは岡本健一と成河という日本の演劇界を引っ張る実力派俳優2人が出演。自称・アッシリア皇帝と彼によって“建築家”と命名された男のやりとりを描くが、生田は「岡本さんは、少年のような好奇心と挑戦心、とにかく演劇を楽しむ姿勢を持っているし、成河さんはディティールまで理解した上で、どんなことでも受け止め、自分をジャンプさせていける人。そんなふたりが組み合うことにワクワクしているし、ふたりがちゃんと遊べる“場”を作りたい」と語った。

左から『建築家とアッシリア皇帝』演出の生田みゆき、出演の岡本健一と成河

このほか、りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)と世田谷パブリックシアターの共同主催により、白井自身が演出でイタリアのルイージ・ルナーリの戯曲を上演する「住所まちがい」、田中圭、西田尚美、山田杏奈らを迎え、栗山民也が松田正隆の読売文学賞受賞作に挑む「夏の砂の上」、新たな才能を紹介するシアタートラム ネクスト・ジェネレーションの第14弾として、京都を拠点に活動する「安住の地」による『凪げ、いきのこりら』(仮)、ベルギーのダンス・カンパニー「ピーピング・トム」による『マザー』など、多彩なラインアップが実現した。

また、前芸術監督である野村萬斎が演出を務め、息子の野村裕基が主演し、父と共演する「ハムレット」も2023年3月に上演される。

ダンス・カンパニー「ピーピング・トム」からは日本上演に向けての映像も到着。 世田谷パブリックシアター2022年度ラインアップ発表会見より 撮影:田中亜紀

白井は昨年まで、KAAT 神奈川芸術劇場で芸術監督を務めてきたが、KAATと世田谷パブリックシアターでの芸術監督としてめざすべきもの、スタンスの違いについて問われると「難しい問題ですが、立地も違うし、こちらは区の劇場であり、KAATは険の劇場で、行政の枠組みも異なり、そこでの使命も違ってきます。世田谷という区に根差した、“公共財”としての劇場を考えようとしています」と同じ公共劇場とはいえ、KAATとはまた違った、世田谷ならではの劇場の在り方を模索していく考えを口にした。

取材・文:黒豆直樹

世田谷パブリックシアター2022年度ラインアップ

<主催事業:国内演劇創作事業・海外招聘>
■『世田谷パブリックシアター新芸術監督就任イベントー公共劇場における芸術監督の役割を考える』
登壇者:白井晃(世田谷パブリックシアター)、小川絵梨子(新国立劇場)、近藤良平(彩の国さいたま芸術劇場)、長塚圭史(KAAT神奈川芸術劇場)
進行役:成河
2022年4月19日(火)※終了

■『フリーステージ2022』
出演:世田谷区民団体44組
2022年4月29日(金・祝)~5月5日(木・祝)・ダンス部門:世田谷パブリックシアター/音楽部門:シアタートラム

『フリーステージ2022』チラシ

■『お勢、断行』
原案:江戸川乱歩
作・演出:倉持裕
音楽:斎藤ネコ
出演:倉科カナ、福本莉子 / 江口のりこ、池谷のぶえ、堀井新太、粕谷吉洋、千葉雅子 / 大空ゆうひ、正名僕蔵、梶原善
2022年5月11日(水)~5月24日(火)・世田谷パブリックシアター

せたがやこどもプロジェクト 2022
■子どもとおとなのための◎読み聞かせ『お話の森』
出演:ROLLY(7/30)片桐仁・馬喰町バンド(演奏)(7/31)
2022年7月30(土)・31日(日)・シアタートラム

■『せたがや 夏いちらくご』
出演:春風亭一之輔 ほか
2022年7月30日(土)・世田谷パブリックシアター

■夏の劇場・りんかん学校『流星スプーン』
演出:白井晃
2022年7月26日(火)~8月4日(木)・世田谷パブリックシアター

■『毛皮のヴィーナス』
脚本:デヴィッド・アイヴス
翻訳:徐賀世子
演出:五戸真理枝
出演:高岡早紀、溝端淳平
2022年8月~9月・シアタートラム

■りゅーとぴあ×世田谷パブリックシアター『住所まちがい』
原作:ルイージ・ルナーリ
上演台本・演出:白井晃
出演:仲村トオル、田中哲司、渡辺いっけい、朝海ひかる
2022年9月26日(月)~10月9日(日)・世田谷パブリックシアター

■世田谷アートタウン 2022『三茶 de 大道芸』
出演:国内外のパフォーマー
2022年10月15日(土)・16日(日)・東京・三軒茶屋キャロットタワー周辺

■世田谷アートタウン 2022関連企画
カンパニーXY with ラシッド・ウランダン『Möbius/メビウス』

演出・振付・出演:カンパニーXY
振付・コラボレーションアーティスト:ラシッド・ウランダン
2022年10月21日(金)~23日(日)・世田谷パブリックシアター

■『夏の砂の上』
作:松田正隆
演出:栗山民也
出演:田中圭、西田尚美、山田杏奈 ほか
2022年11月~12月・世田谷パブリックシアター

■『夏の砂の上』
作:松田正隆
演出:栗山民也
出演:田中圭、西田尚美、山田杏奈 ほか
2022年11月~12月・世田谷パブリックシアター

■『建築家とアッシリア皇帝』
作:フェルナンド・アラバール
翻訳:田ノ口誠悟
演出:生田みゆき
出演:岡本健一、成河
2022年11月~12月・世田谷パブリックシアター

シアタートラム ネクスト・ジェネレーション vol.14
安住の地 第8回本公演『凪げ、いきのこりら』(仮)

脚本・演出:岡本昌也、私道かぴ
2022年12月・シアタートラム

■ピーピング・トム『マザー』
構成・演出:ガブリエラ・カリーソ
ドラマトゥルク・演出補佐:フランク・シャルティエ
2023年2月6日(月)~8日(水)・世田谷パブリックシアター

■『ハムレット』
作:W.シェイクスピア
翻訳:河合祥一郎
演出:野村萬斎
出演:野村萬斎、野村裕基、村田雄浩、若村麻由美 ほか
2023年3月・世田谷パブリックシアター

■『地域の物語2023』
2023年3月・シアタートラム

【提携公演】
[演劇]
・shelf volume 30『バイオ・グラフィ:プレイ(1984)』(6月)
・ハイバイ『ワレワレのモロモロ2022』(7月)
・to R mansion『注文の多い料理店』(8月)
・serial number『BUG』(11月)
・シス・カンパニー『ショウ・マスト・ゴー・オン』(11~12月)
・オペラシアターこんにゃく座 オペラ『賢い女狐の物語』(仮題)(2023年2月)
・シス・カンパニー公演(2023年2月)

[ダンス]
・井手茂太新作ソロ『イデソロキャンプ』(6月)
・SePT独舞 vol.23 スズキ拓朗『GHOST』(6月)
・鈴木ユキオプロジェクト『刻の花』/『moments』(7月)
・大駱駝艦・天賦典式 創立50周年公演(7月)
・大駱駝艦 壺中天・田村一行 新作公演(10月)
・lal banshees 新作公演(12月)
・Noism Company Niigata 金森穣新作公演(2023年2月)
・関かおりPUNCTUMUN 新作公演(2023年3月)

※各公演の最新情報は、劇場公式サイトhttps://setagaya-pt.jp/にてご確認ください。

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