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沢木イーグルスが11連勝ワイルドナイツを止めるのか? 最後のトップリーグ王者が初代王座へ突き進むのか?

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田村優(横浜キヤノンイーグルス) (C)JRLO

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4位死守に向けて、正念場となる一戦である。横浜キヤノンイーグルスが『NTTジャパンラグビー リーグワン 2022』第14節で埼玉ワイルドナイツを迎え撃つのだ。4位・横浜Eは9勝4敗・勝点41、5位・東芝ブレイブルーパス東京が8勝5敗・勝点39とつばぜり合いが続く。対する埼玉WKは11勝2敗・勝点48の3位ながら、新型コロナウイルス感染症による不戦敗を除けば、11戦全勝。最後の『トップリーグ』チャンピオンは新リーグ初代王座に照準を合わす。

第1ラウンドはある意味衝撃的な結果となった。1月23日の『NTTリーグワン2022』第3節は横浜E有利と思われた。開幕戦でグリーンロケッツ東葛に33-12、続く第2節はコベルコ神戸スティーラーズに55-21と連勝スタートを切った横浜Eに対して、埼玉WKは開幕直前にコロナの陽性者・濃厚接触者が続出。2試合が中止を余儀なくされ、チームが活動を再開させたのは試合6日前であった。さしもの王者も試合勘、ゲーム体力、戦術理解、すべてにおいて不安視された。

だが、試合が始まれば、埼玉WKはそんな不安を一掃。2週間の空白を感じさせない好パフォーマンスを披露した。8分にFB小倉順平のPGで横浜Eが先制したが、6分後にはSO松田力のPGで同点。その後互いに決め手を欠いたが、前半の内に埼玉WKにトライを奪われた。36分オーストラリア代表42キャップのWTBマリカ・コロインベテからのパスが乱れるもCTBディラン・ライリーが拾いそのまま走り抜けて3-10で折り返した。

51分、埼玉WKは稲垣啓太&平野翔平の両PR、HO坂手淳史主将、FLラクラン・ボーシェー&福井翔大と一気に5枚替え、ギアを一段上げた。56分にスクラムからコロインベテが抜け、新加入のボーシェー、ウエールズ代表20キャップのCTBハドレー・パークスとつないでトライを奪うと、69分には松田がPGを成功。75分には松田が右サイドに張ったWTB竹山晃暉へキックパスをズバリ。終わってみれば3-27。横浜Eは埼玉WKの堅守と決定力、そして卓越した試合巧者ぶりに屈したのだった。

試合後、沢木敬介監督は「試合は生き物、前半は流れを掴むチャンスがあったが、ワイルドナイツの選手の経験や上手さで、なかなか自分たちが勢いに乗ることができなかった。今日もまたいい勉強をさせてもらった」と振り返り、欠場した田村優に代わりキッカーを務めた小倉も「敵陣に入れば入るほどディフェンスが堅くなることは事前にわかっていたこと。その中で崩し切れなかった。ブレイクダウンの強い相手やタックル後のリロードの早いチームに対して、どうやって崩すかが課題、次から何ができるかを話していきたい」と修正点を明確にした。

埼玉WK強しを強烈に印象付けた第3節から3か月、横浜Eは着実にステップアップしてきた。大雨・強風・寒さの三重苦に襲われた3月18日の第11節・トヨタヴェルブリッツ戦では田村とともにNO8アマナキ・レレイ・マフィを欠きながら20-9で勝利。続く首位・東京サンゴリアスとの第12節も、残り7分まで27-28と競った展開に持ち込んだ(最終的なスコアは27-40)。

4月15日・第12節では第5節で21-50の完敗を喫した2位クボタスピアーズ船橋・東京ベイに31-20の勝利。7分、SO小倉のキックがチャージされて先制トライを許すも、16分には連続攻撃を経て小倉がパスダミーから自ら飛び込んだ。FBエスピー・マレーのCGも成功し追い付くと21分にはS東京ベイに2本目のトライを奪われる。36分にはマレーがPGを決めて10-14で前半を折り返した。

後半は横浜Eが勢いを得る。44分ゴール前でのスクラムからのアタックでマレーのパスを受けたCTB梶村祐介がスペースを突きトライ。49分にはシンビン(10分間の一時退場)で数的有利となると横浜Eは圧を強める。横浜EのプレッシャーにS東京ベイがペナルティをおかすと57・70分とPGを決めて23-14。74分、残り5mでラインアントからドライビングモールを押すもグラウディングできずにノートライに終わるも、4分後の同じような局面では再びモールで押し込み今度はPR五十嵐優がしっかりグラウディングし、勝負あり。接点への出足の鋭さと運動量で18個ものペナルティを誘った横浜Eが見事に第1ラウンドの借りを返したのだった。

S東京ベイ戦の勝利に、辛口で知られる沢木監督も「チームもいい方向に進んでいると思う。ただこれからも試合は残っている。トップ4が目の前にぶら下がっている状況なので、チーム全員で一戦一戦成長しながら、自分たちのスタイルを築き上げながら、さらなる進化をしていきたい」と珍しく手応えを口にした。

HO庭井祐輔ゲーム主将が「前回はブレイクダウンの部分で負けたが、その課題をしっかりと修正できた。ブレイクダウンで善戦できたからこそ、この結果があると思う。そこが成長できた点」と胸を張れば、マレーも「トップ 4の相手に対しても、自分たちの能力をしっかりと信じて戦うことが徐々にできるようになったのではと思う。チームとしてもしっかりとこのまま継続して成長していきたい」と自信を深めた。

再び雨の金曜ナイトゲームとなった前節も危なげない完勝を収めた。相手は11位に沈むシャイニングアークス東京ベイ浦安だが、第12節・埼玉WK戦では善戦した。SA浦安は第5節5-48と大敗を喫した埼玉WKに前半を10-0で終え、後半に逆転を許してなお73分に24-24の同点に追い付くなど地力を発揮したのだ(最終スコアは24-31)。横浜Eはそんな相手にも隙を見せなかった。6分、相手のキックパスをインターセプトしたWTB松井千士が自陣10mラインから独走トライを奪うと、24分にはモールで前進しFLコーバス・ファンダイクがラックサイドを回り込んでトライ。前半の内に一本返されたが、14-5とリードした。

後半早々に会心のトライも決めた。43分、SH山菅一史からシザースパスを受けたマフィが一気にインゴールに飛び込んだのだ。50分には得意のモールが決まり、59分にSO田村が戦線復帰。66分その田村がキックパスでトライに導いたと思いきや、TMOの結果でノートライ判定に。それでも横浜Eは攻め続け、試合終了間際に途中出場のNO8シオネ・ハラシリがクイックタップからインゴールへボールを運び35-5。快勝劇を締め括った。

してやったりのゲーム展開に沢木監督は「結果的にボーナスポイントを獲得して勝てたことは次のワイルドナイツ戦へ勢いがつながる。ただ前半よかったスクラムが、後半あまり優位に立てなかった。まだまだ個々のパフォーマンスにこだわっていかないといけない。ワイルドナイツ、スティーラーズ、グリーンロケッツの3チームに対して、しっかりしたゲームをしないといけない」とラストスパートを誓った。

1か月ぶりにプレーした田村の評価を問われると、指揮官はこう答えた。
「優は先週しっかり練習できた。雨の試合もゲームコントロールがうまくできていると思う。ただもう少しタックルしないと」

改めてS東京ベイ戦の勝因を求められると、沢木監督はこのようにコメントした。
「勇気を持ってチャレンジするところが一番変わった。自分たちがやろうとしていることを相手のプレッシャーとか、ミスを恐れてチャレンジしないのが一番のミス。前回のスピアーズ戦でも、そういうマインドのところが変わってきた」

次節・埼玉WK戦へコメントを求められると、こう返した。
「1回やっている。ワイルドナイツのディフェンスはリーグで一番堅いと思う。そこをどうやって崩すかイメージはある。来週1週間しっかり準備をして、ワイルドナイツのプレッシャーに負けずにしっかりチャレンジしたい」

綿密かつ豪快なトライを決めたマフィは「あれはモールから始まったプレー。みんなが自分を犠牲して、いいモールを組んでくれたおかげ。その後のプレーはサインプレー。みんながお膳立てしてくれたおかげで、自分がいいプレーをしたように見えたが、あれはみんなで勝ち取ったトライ」とチームメイトを称えつつ、次節へ向けて「パナソニックはチャンピオンなので大きなチャレンジになる。前回の試合結果が残っているが、全力を尽くしてしっかり勝ちたい。非常に楽しみにしている」とキッパリ。

一方、無敗の埼玉WKだが、盤石かと言われると、決してそうではない。第11節・静岡ブルーレヴズ戦は80分にFWが近場を攻め最後はNO8ジャック・コーネルセンがトライ、松田がCGさせて25-24の大逆転劇となった。第12節・SA浦安戦は前記の通り、75分にSH小山大輝、松田、堀江、NO8大西樹、CTBヴィンス・アソとつないで31-24。神戸Sとの前節は18-17で迎えた56分に相手にイエローカードが出ると、59分にスクラムからのアタックでWTB竹山晃暉が飛び込み、64分には連続攻撃から堀江が密集を走り抜けるなど立て続けにトライを奪い勝負を決めたと思われたが、神戸Sのモールに苦しみ37-31。終わってみればまたもや接戦となった。

ここ3試合の戦いぶりを勝負強いと見るか、王者らしくないと見るかは意見が分かれるところだろう。事実、3トライ以上の差を付けるボーナスポイントが取れないことが響き、S東京ベイに2位の座を明け渡した。

神戸S戦後、堀江は「なかなか厳しいゲーム。自分たちのミスで思うようにできなかった。こないだの試合よりまだよかったが、自分たちがやらないといけないことができなくて、なかなか難しいゲームになった」と反省の弁を述べた。さらに遂行力の低下を問われると、「なんでやろう。教えてほしい。なんやと思います? わかんないっす」と考えつつ、「僕らの教え方が悪いのか。レフリーとか関係があるのかもしれないし、若い選手が目立とうとしているのか、逆に何も考えすぎなかったりしているのか。ラグビーにはいろんなキャラクターがいる、同じ方向を見させるのは難しい」と明かした。

両チームの試合登録メンバーは以下の通り。
【横浜E】
1五十嵐優、2庭井祐輔、3津嘉山廉人、4サウマキ アマナキ、5コリー・ヒル、6コーバス・ファンダイク、7嶋田直人、8アマナキ・レレイ・マフィ、9山菅一史、10田村優、11松井千士、12梶村祐介、13ジェシー・クリエル、14ヴィリアメ・タカヤワ、15エスピー・マレー、16高島忍、17岡部崇人、18松岡将大、19アニセ サムエラ、20シオネ・ハラシリ、21天野寿紀、22小倉順平、23南橋直哉

【埼玉WK】
1稲垣啓太、2坂手淳史、3平野翔平、4長谷川崚太、5ジョージ・クルーズ、6大西樹、7ラクラン・ボーシェー、8ジャック・コーネルセン、9内田啓介、10松田力也、11マリカ・コロインベテ、12ハドレー・パークス、13ディラン・ライリー、14竹山晃暉、15野口竜司、16堀江翔太、17クレイグ・ミラー、18ヴァル アサエリ愛、19マーク・アボット、20布巻峻介、21小山大輝、22山沢拓也、23セミシ・トゥポウ

果たして横浜Eが第1ラウンドのリベンジを達成するのか、埼玉WKが12連勝で返り討ちにするのか。『NTTリーグワン2022』第14節・横浜E×埼玉WKは4月23日(土)・日産スタジアムにてキックオフ。チケット発売中。試合の模様はtvk(テレビ神奈川)にて生中継。また『NTTリーグワン2022 プレーオフトーナメント』準決勝のチケットは4月22日(金)、決勝・3位決定戦のチケットは5月10日(火)よりJAPAN RUGBY SAKURA CLUB/JRFU メンバーズ先行抽選がスタート。初代王者を決める戦いも残り5試合、いよいよクライマックスへ向かおうとしている。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

横浜キヤノンイーグルス対埼玉ワイルドナイツ NTTジャパンラグビー リーグワン 2022 DIVISION 1
https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2207429&rlsCd=009&lotRlsCd=

ジャパンラグビー リーグワン 特設ページ
https://t.pia.jp/pia/events/rugby-leagueone/

ジャパンラグビー リーグワン 2022 観戦ガイド
https://book.pia.co.jp/book/b597752.html

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