川崎F、スコアレスドローから中2日の再戦へ! 3強1弱のACLグルーブI組を抜け出せるか?
スポーツ
ニュース
谷口彰悟(川崎フロンターレ) (C)KAWASAKI FRONTALE
続きを読むフォトギャラリー(8件)
すべて見るやはり、アジアの戦いは一筋縄ではいかない。川崎フロンターレは『AFCチャンピオンズリーグ2022』グルーブI第3節でジョホール・ダルル・タクジムFC(JDT/マレーシア)とスコアレスドロー。3試合を終えて1勝2分のI組2位のままとなった。
4月15日、蔚山現代FC(韓国)との初戦は試合終了間際に相手GKのミスを戦線復帰したDF車屋紳太郎が逃さず1-1に持ち込んだ。中2日で迎えた広州FC(中国)戦はGKチョン・ソンリョン以外のフィールドプレイヤー全員を入れ替えながら、若い相手を全く寄せ付けずに8-0。FWの知念慶と小林悠、そして車屋が2得点ずつマークするなどターンオーバーに手応えを掴んだ。
一方、JDTは初戦で広州をブラジル人FWベルクソンのハットトリックなど5-0で一蹴すると、第2節には蔚山も2-1で撃破。川崎Fと蔚山の2強と思われたI組を地元のチームがリードしているのだ。4月22日の川崎F戦も決して人数を割いて引いて守って、GKの大当たりでスコアレスドローに持ち込んだわけではない。JDTはマレーシア代表選手とともに前記のベルクソンやアルゼンチン出身のFWフェルナンド・フォレスティエリ、10番レアンドロ・ベラスケス、元オーストラリア代表DFシェーン・ロウリーなど、質の高い外国人選手を並べる。川崎F相手に縦に速い攻撃とともにトライアングルを作りワンタッチでリズミカルにパスを回すなど互角の攻防を繰り広げた。
もちろん、川崎Fに油断はない。前日会見の席で鬼木達監督は「地元のチームだし、難しい試合になると思う。覚悟を持って臨みたい。ここに来る前から、ジョホールは力があると認識していた。初戦の広州戦を見ても力があると感じたし、蔚山戦を見て改めて確信した。認識を変えたのではなく、我々の力を100%発揮しないと勝てない相手だと思うので、自分たちにフォーカスしてしっかり臨みたい」とコメントしていた。メンバーも第1節・蔚山戦のメンバーから右ウイングに知念を入れた布陣で臨んだ。
チャンスは作った。9分、知念が最終ラインにプレッシャーをかけクリアが乱れると、左ウイングのマルシーニョがカット、ボールは知念に渡るも残念ながらオフサイドポジションだった。13分にはマルシーニョがトップ下・遠野大弥とのワンツーで抜け出しマイナスのクロスを送ると、CFレアンドロ・ダミアンがダイレクトで合わすもシュートは枠外へ。27分ボランチのジョアン・シミッチのロングパスにマルシーニョが反応、最初のパスはカットされるも跳ね返りを抑えて次は遠野へパス。遠野のシュートは枠をとらえなかったが惜しいシーンを作った。
44分には遠野のパスがGKと1対1になったマルシーニョに通るも、トラップがふくらみシュートまで持ち込めず、53分の左CKはCB山村和也がヘッドでつなぐもCB谷口彰悟へは届かなった。71分シミッチのパスカットからのダミアンのロングシュートも、74分左SB佐々木旭のインターセプトからのミドルシュートもゴールマウスをとらえず。86分、途中出場の車屋、小林から知念とつなぐもオフサイドとなり、92分車屋のロングパスを小林がシュートまで持ち込んだが、またもや枠外へ飛んでいった。
試合後、鬼木監督はこのようにゲームを振り返った。
「まず非常にタフなゲームになった。前半でいくつかチャンスがあったので、そこで点を決めていれば違った展開になったと思うが、決められずに相手の集中力も続き、自分たちはコンディションもどんどん厳しくなっていった。後半ももう少し自分たちからアクションを起こせたら。チャンスの数をもっと増やさないといけない」
引き分けという結果について、こうコメントした。
「やはり勝点3を取りたかった。ただ、久しぶりの完全アウェイ、声援もあり、選手が経験したことがないような状況の中の勝点1。悔しい思いは強いが、次のゲームで勝点3を取れるように修正していきたい」
JDTの印象を問われと、指揮官はこう答えた。
「一人ひとりががんばり、組織としてもオーガナイズされていて崩すのは難しい。ただ、落ち着いて自分たちのサッカーを取り戻すことで、次はまた違った試合ができると思っている」
選手たちも以下のように試合を振り返り、中2日での再戦を睨んだ。
谷口「やはりホームチームとあって、手強い相手だと素直に感じた。ただ、自分たちがしっかりやれれば絶対に差を付けられと同時に感じた90分だった。その中で差を出すことができなかったことを反省し、修正したい。連続でもう1試合あるので、次は差を付けられるように、もう一回チームみんなで取り組んでいきたい。この会場の雰囲気も相手の特徴も掴めた。自分たちのクオリティを上げないと最後のゴール前で差を出すことができないと思うので、チームみんなで取り組んで次は勝ちたい」
知念「ザ・ACLという感じでタフなゲームだった。相手が球際で厳しくきて、自分たちもそれに合わせてしまったところがあった。ビルドアップでもう少し時間を作っていいところで自分も含めてスピードを上げてしまい、そこで相手にボールを刈り取られるシーンがあった。完全アウェイの雰囲気に飲まれたところもあったかもしれないし、もう少し自分たちのペースでやれたかなという気持ちもあるが、相手もかなり厳しくきていて、これが『ACL』だなと。
前半、前からプレッシャーをかけて何度かチャンスがあったが、決定機がたくさんあったわけではなく、数少ないチャンスを確実にものにしなければ勝てないと改めて感じた。3日後、また同じチームとの対戦がある。今日以上にタフなゲームになるかもしれないが、今回で相手の特徴やスタジアムの雰囲気はある程度わかったので、次は絶対勝てるように準備したい」
マルシーニョ「やはり難しいゲームになった。彼らのホームスタジアムで、相手のたくさんのサポーターの素晴らしい応援があった。ただ、自分たちもできることは精一杯やって、チームとしていいゲームはできたと思っている。事前の分析で相手の背後のスペースを突く狙いがあって、試合前からチームメイトと話しながら意図したプレーはある程度出せた。ただ、ゴールが遠かった。後半、相手も修正してきてスペースを突けなくなったところもある。次節、また中2日で同じチームとの対戦だが、総力戦なので全員で準備しなければいけない。まずはゆっくり休み、改善すべき点はしっかり改善して全力で挑みたい」
佐々木「相手チームのホームスタジアムで雰囲気は完全にアウェイだったが、自分たちでやるべきことを整理しながらプレーしていた。内容としてはそこまで悪くなかったが、得点が取れなかった。Jリーグでもそうだが1試合3点以上という目標を掲げているからには得点力、決定力の精度をもっともっと上げていかなければいけないと感じている。今回引き分けてしまったので、グループステージ突破のためには絶対勝つしかない。頭を切り替えて勝つことだけに集中して、次は2点、3点と取れるようにしたい」
出場機会はなかったが、初めてメンバー入りしたMF永長鷹虎は「折り返しだが、まだまだ連戦が続く。今回は最後の崩しのところでなかなか決められないという展開になったが、自分は攻撃のテンポやリズムを変えられる選手だと思っているので、そういう場面で持ち味を発揮できるようにしたい。いつ呼ばれても試合で力を出せるよう準備をしていきたい」と次戦を見据えた。
果たして、スコアレスの“前半90分”を経て、“後半90分”で勝点を手繰り寄せるのは川崎Fか、JDTか。JDTにはホームの追い風が吹くが、中2日の強行軍の中9人が3試合連続先発と疲労の蓄積が予想される。『ACL2022』I組第4節・川崎F×JDTは4月24日(日)・スルタン・イブラヒム・スタジアムにてキックオフ。川崎Fはその後27日(水)・蔚山、30日(土)・広州と対戦。試合の模様はDAZNにて生中継。
取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
フォトギャラリー(8件)
すべて見る
