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小林悠「ゴールを決める自信はすごくある」、グループ首位の川崎Fが因縁の蔚山戦へ!

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小林悠(川崎フロンターレ) (c)KAWASAKI FRONTALE

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次が重要である。グループIで首位に立った川崎フロンターレが蔚山現代FC(韓国)との第2ラウンドに臨むのだ。『AFCチャンピオンズリーグ2022』第4節ではそれまで1位だったジョホール・ダルル・タクジムFC(JDT/マレーシア)に大勝。2勝2分・勝点8の1位川崎Fを2勝1分1敗・勝点7の2位JDT、3位蔚山が追う展開に変わった。 それにしても、前節は見事だった。4月17日、3日前のスコアレスドローから川崎Fは6人、JDTは5人先発を入れ替えたメンバーを並べた。試合の入りはボールを丁寧に回すJDTとプレスから奪おうとする川崎Fの形でスタート。重い展開の中、突破口を開いたのはCFとして今季初先発した小林悠だった。 12分、インサイドハーフ脇坂泰斗のディフェンスから小林がボールを受けるとすかさず前を向きゴールへ突き進もうとする。一瞬遅れたDFマウリシオのスライディングで倒されるも、相手DFはイエローカードを受けるとともに負傷、8分後に途中交代を余儀なくされた。

14分、ペナルティボックス手前ほぼ中央の好位置でFKを得た川崎F。キッカーの脇坂がGKファリザル・マルリアスに触れられながらもゴールネットを揺らすスピーディなFKを叩き込んだのだ。背番号14が「『絶対結果を残してやる』『自分がチームを勝たせるんだ』という思いで試合に臨んだし、先制点はその強い気持ちだけで決めたようなもの」と振り返った1点でチームは本来の形を取り戻した。

先制ゴールから3分後、左SB佐々木旭のパスをゴール前で受けた脇坂がワンテンポ溜めて小林へ託すと、背番号11はダイレクトで左足を振り抜く。惜しくもシュートはGKの正面を突くが、いいリズムが続く。

31分、右ウイング家長昭博からの横パスを脇坂がダイレクトで縦に送ると、右SB山根視来が抜け出し、中央に折り返す。そこにゴール前に走り込んだ小林が右足を伸ばして追加点をマークした。43分には山根が家長とのワンツーで右サイドを駆け抜けるとシュート性のクロスを放った。山根の速いクロスを小林は右ボレーで叩き込んだのだった。

前半の内に3ゴールを決めた川崎Fだが、後半も攻撃の手を緩めない。81分、ハーフウェイライン手前からボックス手前までドリブルで持ち込んだインサイドハーフのチャナティップから左ウイングのマルシーニョをボールが渡ると、マルシーニョは狙い澄ましたシュート一閃。88分にはマルシーニョのシュートのこぼれ球をチャナティップが押し込み、5-0。戦前、指揮官、選手たちが「覚悟を決めて臨まなければいけないゲーム」「絶対に勝たないといけない試合」と異口同音に口にした大一番で完勝を飾った。

試合後、鬼木達監督は5得点を挙げた選手たちを「当然、評価できる。このスタジアムで戦うのは簡単なことではない。心と体の準備をしてくれたこと、自分たちらしいサッカーをしようという気持ちが表れたゲームでもある。これまでも得点にこだわってやってきた。それを成し遂げてくれた選手たちに感謝をしているし、誇りに思っている」と称えつつ、首位に立ったことに関しては「このグループには2位突破はないと思っている。1位だけを目指して戦いたい。残り2試合勝つことしか考えていないし、選手にもそう伝えている」と勝って兜の緒を締めた。

先制点を決めた脇坂は「ようやく今シーズン初ゴールを決めることができた。やっとチームの力になれたのかなと感じている」と追い詰められていた胸中を明かした。佐々木は「最初はけっこう相手のペースだったが、ヤスくんのあの一発で試合の流れがこちらに傾いた。あの1点はすごく大きかったと思う」と思い返し、CB車屋紳太郎は「相手のプレーに対するジャッジを含め、いろいろフラストレーションが溜まる試合だった。そういう状況の中でも、みんな冷静に戦っていた。早い時間帯に先制点を取って、追加点も取って、こうしてアウェイの状況で5-0で勝てたのはチームの成長だと思っている」と手応えを口にした。

JDT戦から一夜明けた4月25日、オンライン取材の機会が設けられた。2ゴールをマークした小林もまたJDT戦には並々ならぬ覚悟で臨んでいた。
「真ん中の先発は初めて。真ん中で出たい気持ちはあったが、なかなかなくて、このタイミングで結果を出せないと、この先サイドになっても仕方ないと思ったので、2点取れてよかった。前回のジョホール戦も残り時間が少なかったが、すごく点が取れそうな感覚があり、『もっと長い時間出たい』とも思っていた」

今季、悪い意味で大人になっていたと本人は回顧した。
「いい意味で大人にならないといけないのに、自分の中で悪い意味で大人になっていた。もっと怒りとか不満をパワーに変えられるタイプなのだが、『大人だし、周りのことを考えてないといけない』と抑え込んでいた。そのへんが前半戦で試合に絡んでいなかった要因かと思う。もっとギラついたり、ゴールへの執着心につなげてきたので、もう一回抗っていかないといけない」

もう一回抗おうという思いに至ったキッカケは、3月19日・サンフレッチェ広島戦の前にもらった一本の電話だと言う。
「ちょっと前に(中村)憲剛さんが電話をくれて助言をもらって、自分の中で変わったというか、ゴールへの貪欲な気持ちが整理された。
憲剛さんから『ベテランになって、上がいなくなって、不満やストレスを相談する相手がいなかって、それはつらいよな』と。あと『年を取ることを受け入れちゃだめだよ。ベテランだからこそ抗っていかないと。試合に出るのは簡単ではない。ギラギラしたものを出して、試合に入っただけで何かやってくれそうだぞと感じさせてくれるのが悠のよさだから』と。今までチームのことを優先して考えていた。試合に出られず、苦しい状況が続いていて、練習でアピールしないといけないが、試合に出ていないとコンディションも上がらないので、悪循環というか。ちょうどいいタイミングで電話がきて。長電話しちゃって、本当泣きそうになった」

小林はJDT戦ではゾーンに入っていた。
「前回のジョホール戦から自分なら決められるという感じがあった。前日に視来とかに『明日、俺決められるわ』と言っていた。そういう時はほぼ100%決められるので、その状態が今年初めてきていた」

先制点につながったファウルについて、こうコメントした。
「あんまりチャンスがない中、いいところにこぼれてきたので、まず内に行きたかった。相手が間に合わないのでスライディングしてきて、それで泰斗のFKになり先制点につながったし、相手の選手もケガして代わったし、そのがむしゃらさがつながったのかなと。まず守備がハマっていなかった中、中盤の選手が下がり気味になっていたので、『もっと前へ出ようよ』と声を出した直後ぐらいだった。前へ向かう姿勢、シュートへ向かう姿勢がよかったのかなと思う」

自身の2点目、チームの3点目については、このように解説した。
「視来のボールがすごい速くてシュートみたいなボールがきたので、弱いクロスだと強く振らないといけないが、強いクロスの勢いでいけると思ったので面を作って当てるだけだった。あとは感覚。あのボールなら当てれば左隅にいくかと思っていた。ボールの勢いを殺さずに当てることだけを考えた」

小林は『ACL』にこだわっていた。
「蔚山に特別な思いはないが、『ACL』 には特別な思いがある。鬼さんと何度も臨んで、昨日も責任と覚悟を持って臨んでいる。今はリーグよりも、一番ほしいタイトルになっているので、結果を残したい。(蔚山は)結構ボールをつないでくるチームなので、守備に走らされると攻撃にパワー使えなくなる。かと言って守備にパワーを使わないと取れないので、攻撃も守備もいく時いかない時をはっきりさせたい。自分がどのタイミングで出るかわからないが、今ならゴールを決める自信がすごくある。できる限り長く出してほしい。チームが勝つためには自分のゴールだと思うので、ゴールを決めたい」

小林の2ゴールをアシストした山根はゴールシーンをこう解説した。
「(2点目は)アキさんの横バスのイメージを持って走って、泰斗も同じ絵を描いて動いてくれたので、3人が同じ絵を持つことができた。いつも鬼さんに『GKに平行に入れろ』と言われていたので、最高のゴール。
(3点目は)走りながらGKとDFの間に入れるのは難しいと思ったので、走ってくれるかなと思いつつマイナスに入れた。10回やって2回くらいしか成功しない形だが、悠さんがよく枠に飛ばしてくれた」

山根は蔚山への強い気持ちを口にした。
「まだ蔚山には勝てていないし、去年悔しい敗退をした。何としても勝って首位で通過したい。初戦は17時キックオフの試合だったが、一番暑くて動ける気候ではなかった。自分たちも蔚山もほぼ動けかなかったので、次は違う試合になるとも思う。試合に出れば疲れるが、この試合を勝てば変わる。今は蔚山戦へリフレッシュするのが大事。
ここ2試合は芝も素晴らしいスタジアムで、22時キックオフと涼しい環境でできた。次はボールコントロールが難しい芝で、17時キックオフと暑くなるが、蔚山が相手ということで気持ちも入っている」

鬼木監督もメディア対応に登場。指揮官は次のように各選手を評価した。まずは小林。
「やっぱり自分の中で違いを見せられる選手だと思っている。こういう時にやってくれるのが悠。そういう思いは自分の中にある。信頼して使いやすい、『頼むね』と送り出せる選手。だから選手からの信頼も厚い」

続いて脇坂。
「昨日のゲームに関してはFKの一発が大きく試合を動かした。結果という意味で本人もホッとした部分があるかと思う。いろんなプレッシャーと戦ってきたと思うし、得点は僕も求めているし、本人も追い求めているところ。彼本来のプレーを取り戻したのかなと思う。今後も楽しみにしている。本当は結果が出なくても一喜一憂せずにやれれば、さらに成長できると思う」

最後に家長。
「違いを完全に出せる選手。そこの安心感があるからこそ、周りの選手が動き出したりできる。コンビネーションを作る意味で重要な役割を担っている。彼は前線でその役割を担っている。そういう意味では中盤でゲームをコントロールする選手を育てていくのが自分たちの役割かと思う」

鬼木監督は蔚山戦へ向けて強い気持ちを発した。
「ゲームブランも何もない。一戦必勝。ジョホールに勝って、次に勝たないと意味がない。蔚山にすべてをぶつける」

スコアレスの延長、PK戦の末敗退を余儀なくされた昨年のラウンド16、試合終了間際に相手GKのミスを車屋が突いた1-1に持ち込んだ4月15日の第1節を経て、どんな結末を迎えるのか。『ACL2022』グループI第5節・蔚山×川崎Fは4月27日(水)・タン・スリ・ダトー・ハジ・ハッサン・ユヌススタジアムにてキックオフ。30日(土)には広州と第6節が待っている。試合の模様はDAZNにて生中継。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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