Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 『大英博物館 北斎―国内の肉筆画の名品とともに―』、サントリー美術館で イギリスのコレクターたちが収集した名品が里帰り

『大英博物館 北斎―国内の肉筆画の名品とともに―』、サントリー美術館で イギリスのコレクターたちが収集した名品が里帰り

アート

ニュース

ぴあ

葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》 天保元~4年(1830~33)頃 大英博物館蔵

続きを読む

フォトギャラリー(12件)

すべて見る

サントリー美術館で『大英博物館 北斎―国内の肉筆画の名品とともに―』が4月16日(土)よりスタートした。世界屈指の質とされる大英博物館の北斎コレクションを中心に、葛飾北斎の、特に還暦を迎えた60歳から90歳で亡くなるまでの30年間に焦点を当てる注目の展覧会。6月12日(日)までの開催となる。

江戸時代後期を代表する浮世絵師、そして世界でもっとも有名な日本人芸術家、葛飾北斎。「冨嶽三十六景」や『北斎漫画』の強いインパクトは国境を越えてヨーロッパの人々も魅了し、印象派やポスト印象派の画家たちに大きな影響を与えた。

イギリスでも北斎の魅力に惹き付けられた多くのコレクターや研究者が誕生。大英博物館には複数のコレクターによる北斎の優品が収蔵されるようになり、時を経て世界有数の北斎コレクションが形成された。

この展覧会は、その大英博物館が所蔵する北斎作品を中心に、国内の肉筆画の名品をあわせて北斎の画業の変遷を追っていくもの。特に代表作の多くが描かれている60歳から90歳にかけての北斎の作品を紹介していく。

展覧会エントランス

展覧会は6章構成。第1章の「画壇への登場から還暦」では60歳までの北斎の画業をコンパクトにまとめている。

勝川春章に入門し「春朗」と名乗っていた北斎は役者絵で頭角を表していたものの、師の没後は勝川派から離れ「宗理」の名前で活動を開始。琳派に接近しつつ、日本や中国、さらにはヨーロッパの技法を学び、精力的な活動を行っていた。その後、今日最も知られている「北斎」を筆頭に名前を変えながら独自の芸術を追求していく。

《市川鰕蔵の山賤実は文覚上人》は、春朗時代の作品。後の五代目市川團十郎となる市川鰕蔵が演じていた文覚上人を描いている。文覚上人は、現在の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では四代目市川猿之助が演じている。

葛飾北斎《市川鰕蔵の山賤実は文覚上人》 寛政3年(1791) 大英博物館

《為朝図》は、版元の平林庄五郎が、北斎と曲亭馬琴とのタッグで制作した読本『椿説弓張月』の完成を祝って注文した肉筆画。画中に馬琴が漢詩を寄せている。

葛飾北斎《為朝図》一幅 江戸時代 文化8年(1811) 大英博物館

第2章「富士と大波」では、北斎の世界的な代表作「冨嶽三十六景」など、北斎が富士山をモチーフにした作品を取り上げる。当時、輸入されたばかりの藍色の色料「ベロ藍(プルシアンブルー)」を用いた「冨嶽三十六景」や、版本『富嶽百景』など、北斎は富士山の姿をさまざまな構図で描き、日本はもちろんのこと、海の向こうの人々までをも熱狂させている。

展示風景より

また、富士山と同じく北斎は水の造形に興味・関心を持ち、丹念に描いている。《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》の波のうねり、しぶきはその研究のあらわれのひとつだ。

葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 江戸時代 天保元~4年(1830~33)頃 大英博物館蔵

第3章「目に見える世界」、続く第4章「想像の世界」は、では、北斎の卓越した描写力と想像力に着目する。北斎はたぐい稀なる画力で、名所絵や花鳥画を描き、やがては現実を凌駕した世界も描き出すようになる。奇抜な橋が多数登場する《諸國名橋奇覧》は北斎が好んで描いた水、そして橋がさまざまな形で登場する。《百物語》は当時江戸の町でブームになっていた怪談をテーマにしたシリーズ。現在展示されている2作品を含め5作品が確認されている。

葛飾北斎《諸國名橋奇覧 三河の八つ橋の古圖》 天保5年(1834)頃 大英博物館蔵
葛飾北斎 左:《百物語 こはだ小平二》 右:《百物語 笑ひはんにや》天保4年(1833)頃 いずれも大英博物館蔵

第5章「北斎の周辺」は、葛飾北斎を取り巻く人々にも焦点を当てる。《女重宝記》は北斎の娘で絵師の葛飾応為が挿絵を描いた、女性に日常的に必要となる知識ををまとめた本。そして《漁師図》は、北斎と応為との共作。画中には北斎と応為のそれぞれが書いた句が書かれている。

葛飾応為《女重宝記》 弘化4年(1847)  大英博物館蔵
葛飾北斎《漁師図》 文政年間(1818~30)頃  大英博物館蔵

最晩年の北斎は肉筆画に制作の中心を移していった。最終章となる第6章「神の領域―肉筆画の名品―」では、肉筆画の名品を取り上げる。80代にしてなお画力の向上を願い、長生きを願った北斎の探究心が作品から垣間見える。

葛飾北斎《白拍子図》 文化3年(1820)頃 北斎館所蔵 ※5月16日までの展示
葛飾北斎《肉筆画帖》天保5~7年(1834~36)頃 北斎館蔵 ※5月16日まで展示、5月18日より場面替

年齢を重ねれば重ねるほど、画力が研ぎ澄まされていった葛飾北斎。日本でこれだけの良質な作品をまとめて鑑賞できるこの機会を逃さず、しっかりと楽しもう。

【開催情報】
『大英博物館 北斎―国内の肉筆画の名品とともに―』
4月16日(土)~6月12日(日)、サントリー美術館にて開催
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2022_2/

取材・文:浦島茂世

フォトギャラリー(12件)

すべて見る