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“イッキ見”必至の新シリーズが配信中。監督が語る『ULTRAMAN』シーズン2

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神山健治監督、荒牧伸志監督

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神山健治監督と荒牧伸志監督の最新作『ULTRAMAN』のシーズン2がNetflixで全世界に配信されている。前シーズンではかつて科学特捜隊に所属していた早田進の息子、進次郎が迷いながらもウルトラマンになるドラマが描かれたが、最新シーズンは伝説のウルトラ6兄弟のイメージを継ぐキャラクターが集結。6話構成でクライマックスまで一気呵成に進む“シーズン2らしい”作品になった。

本シーズンはシーズン1と何が違うのか? ウルトラマンを集結させる際に監督たちは込めた“隠しスパイス”とは? 両監督に話を聞いた。

『ULTRAMAN』シーズン1は2019年にNetflixで配信をスタートした。舞台はウルトラマンの存在が過去のものになった時代。しかし、再び地球に危機が迫り、早田進次郎はウルトラマンとして活動することになる。世界観や物語の導入部が提示され、ひとりの主人公が試練を乗り越えてウルトラマンになっていく物語がシーズン1では描かれた。

しかし、まもなくスタートするシーズン2では新展開に突入。謎の人間消失事件が発生し、ジャーナリストの東光太郎がその謎を追う中で超人になってしまい、様々なウルトラマンたちが集結して異星人の陰謀に立ち向かう。

神山 まず最初の段階で、新しいウルトラマンを3人登場させることが決まっていました。その上、原作のシーズン1ではあえて描いていなかったり、原作の連載が進んだ部分もあるので、それをすべてテーブルに並べて、何を使ってシーズン2を作るのか考えたら……正直にいうと途方に暮れました(笑)。

6話で新たに3人のウルトラマンを出さないといけない。それに当時はまだタロウのキャラクターを完全には掴み切れていなかったんです。原作では我々が描かなかった部分のエピソードを膨らませてタロウの物語が進んでいたのでこれは……困ったなと(笑)。でも結果としては、最初に“無理だなぁ”と思うようなことを振られた時の方がうまくいくんだなと改めて思いましたね。

転機になったのは前シーズンでレイアウトを担当した内山寛基が新たにシリーズ監督に就任したことだ。

神山 僕も荒牧監督も『ウルトラマンタロウ』を観ていた世代ではなかったんですけど、今回、シリーズ監督をやってくれた内山くんは「タロウのこの部分が面白いと思います」というアイデアを持っていた。そこで彼に入ってもらって、一緒にやっていく中で「彼にはタロウがこのように見えているのか」と思う中で、我々もタロウのことが理解できましたし、6話で描く以上、仮に他のドラマが手薄になってしまうことがあったとしても、タロウを中心にしようという割り切りができたんです。

荒牧 僕らが内山くんに「こういうのやりたいでしょ?」ってつついた部分もあったんですよ(笑)。彼ならきっとできるし、前シーズンではレイアウトもやってくれていたので、今回はシリーズ監督として僕らとやりとりしたり、僕らがバックアップしたりしたりしながら作っていった。それが結果的にはすごく良かった。

神山 少なくとも僕はヒーローが集まっていくことに“やったー!”と思う世代ではなくて、ひとりのヒーローを掘り下げていく方が好きなんです。集まってくると技とかもどんどんインフレーションを起こすし、この面白さって一体、どこにあるんだろう?って思ってたんですよ(笑)。でも、内山くんはヒーローが集まることにちゃんと価値を見出していたから、彼がそのことを僕らにちゃんと伝えることができたら、お客さんにも伝わるだろうと思ったんです。

シーズン2に込められた“隠しスパイス”とは?

『ULTRAMAN』シーズン2

神山監督が“第三の価値観”と表現する内山監督が新たに加わったことでエピソードやキャラクターが整理され、6話と限られた時間の中で観客が“イッキ見”したくなるような脚本が用意された。前シーズンは主人公の迷いや逡巡をある程度の時間をかけて描いていったが、本シーズンは世界観や設定はすでに共有済み。冒頭からクライマックスまでフルスピードで物語が進んでいく。

神山 そういう展開ができる時とできない時があると思うのですが、今回は結果としてそうなりましたね。前シーズンは旧来通りのテレビシリーズの考え方で、次のエピソードを楽しみにしてもらう形式に全力を傾けたわけですけど、今回はNetflixのフォーマットに合ったものになったと思います。

通常、主人公の成長を描く時は、必ず前の世代だったり先輩から説教されたり、否定されたり、喧嘩したりするのが一種のお約束としてあるんですけど今回は“隠し味”として入れてるんです。新しく登場するキャラクターって異物なので、そもそも摩擦感がある。それは作家にとっても、お客さんにとってもそうなので、劇中の人まで摩擦を感じてると、物語の時間もかかる上にぜんぜんうれしくないんですよ(笑)。でも、うれしくないのになぜか入れてしまう暗黙の法律がエンターテイメント業界にはあるんです。だから今回は摩擦は最後の最後に“隠しスパイス”のように入れて、基本的には排除したことがこのスピード感につながっていると思います。

両監督は本作のシーズン1で初めてタッグを組み、『攻殻機動隊 SAC_2045』でもモーションキャプチャーの技術を駆使したアニメーション制作を手がけてきた。ふたりがこの数年で得たノウハウや思考が本作にも投入されている。

荒牧 実写でも着ぐるみのスーツで撮影するわけですから、そういう意味ではモーションキャプチャーと大きく変わらない。中に人が入って動くわけですから。その点で、この技術と題材の親和性は高いと思います。

僕はずっとキャプチャーをやってきて、良いところと悪いところを感じた上で、それをどうブラッシュアップしていこうかやってきた結果が現在なんです。長所がちゃんと表現できて、弱点はあまり気にならないやり方がある程度のところまでは見えてきた。だから今後もジワジワとやりながら、もっとブラッシュアップできるんじゃないかと思っています。

神山 作り手としてはキャプチャーの良さと弱点を3年前よりはよりわかってきたなという気がします。『ULTRAMAN』が救われているのは、そもそもウルトラマンがマスクをしたヒーローで、マスクをしていることで絵空事が成立している部分があって、それがキャプチャーでも成立しているんだと思うんです。これがアニメーションのキャラクターの顔をした登場人物のドラマ部分がもっと長かったら、観ている人がもしかしたら違和感を感じるかもしれない。でも、ウルトラマンになっている時は違和感がないんです。今回のシーズンは変身しっぱなしなので、その点でもうまくいったと思います。

事前知識の不要なシーズン2の強み、取捨選択されたスピード感のある展開、ウルトラマンとモーションキャプチャー技術の相性の良さが相まって生まれた『ULTRAMAN』シーズン2は“イッキ見”必至の作品になっている。

『ULTRAMAN』シーズン2
Netflix にて世界配信中
(C)円谷プロ (C)Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi (C)ULTRAMAN 製作委員会 2

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