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フィジカル&メンタル面のダメージにケガ人! 川崎FはACLショックを跳ね返せるのか?

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レアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ) (C)KAWASAKI FRONTALE

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いかに切り替えるか。川崎フロンターレは難しい試合に臨むことになる。

周知の通り川崎Fは『AFCチャンピオンズリーグ2022』グループステージで敗退となった。今年こそと強い覚悟で挑んだ『ACL』でノックアウトステージにすら進めなかったショックは計り知れない。4月15日から30日にかけて、蒸し暑いマレーシアで中2日の6連戦を戦ったフィジカル面でのダメージの蓄積も相当なものである。

しかも帰国後も隔離を余儀なくされた。スタッフを含めた60名超のマレーシア遠征参加メンバー全員が3回のワクチン接種を終えていなかったため、帰国後の隔離が必要となったのだ。一行は5月1日に帰国。翌日から3日間、ホテル近くの練習場でトレーニングを積む間隔離生活を強いられた。コーチングスタッフ、選手たちが自宅へ帰ったのは5月5日に日付が変わってから。麻生グラウンドで練習ができたのは同日午後、試合2日前である。『ACL』グループI第6節から『明治安田生命J1リーグ』第12節まで、1週間空いているが、川崎Fは心身ともに追い込まれている。

それにしても『ACL』には縁がない。ホームの利があるジョホール・ダルル・タクジム(JDT)、昨季ラウンド16で敗れた蔚山現代FCという3強がひしめくグループIを3勝2分1敗・勝点11で戦い抜きながら、他グループとの兼ね合いで決勝トーナメントに進めないとは不運のひと言で片付けられない。レギュレーションで決まっていたことではあるが、さぞやモヤモヤが残ることだろう。確かに蔚山との第2ラウンドではデコボコのピッチコンディションの中、相手はシンプルに縦に速い攻撃を仕掛けにミスも重なり2-3で力負けした。だが、首位突破したJDTにはスコアレスドローの3日後、キッチリ修正し5-0と快勝している。そもそも対戦相手の異なる他グループと勝点を争うのはナンセンスである。

昨季もレギュレーションに泣かされた。グループステージで6戦6勝27得点3失点と全体トップの好成績を収めた川崎Fだが、ラウンド16では蔚山とのアウェイ一発勝負を強いられた。延長を含めて120分でスコアレスの死闘はPKによって決着を見たのだった。『ACL』での川崎Fはつくづく運に見離されている。

5月3日、チームはメディア対応を実施。指揮官と主将、エースは不平不満を言わず、『ACL』敗退にしっかり向き合おうとしていた。

4月30日・広州FC戦後、「1位を目指していた中での2位。すごく残念に思うし、いろいろなレギュレーションがある中で1位にならないと突破は難しいと思っていた。そういう意味では自分の力不足を感じている」と自らを責めた鬼木達監督は3日の時を経てこう語った。
「自分の力不足については試合直後と変わらないし、時間を置いて思ったのはもっともっと力を付けないといけないということ。自分自身がもっともっと力を付けないとチームも力を発揮できない。切り替えではなく、自分と向き合っているし、スイッチが入っている。チームに高い要求をして進んでいきたい」

監督は引き分けに終わった蔚山、JDTとの初戦を反省した。
「グループステージを考えた時に初戦のところ。ビハインドからあの状況(後半アディショナルタイム)で追い付いたのはポジティブに考えていいが、ライバルになりそうな蔚山、ジョホールとの初戦もそうだが、もっとエネルギーをかけて何が何でも勝つんだという風に自分がもっと持っていかないといけなかった。もっと得点のところにエネルギーをかけないといけなかった」

ボールを握り、ゲームを支配し、ゴールを狙い続ける自分たちのサッカーだけではなく、アジアを勝ち抜くためのスタイルの必要性を問われると、鬼木監督はやんわり否定した。
「ずっと言われているが、それぞれの思いがあっていいと思う。自分もいろいろ経験した中、アジア仕様の戦い方をしたこともある。すべては自分たちのサッカーで戦おうとは思っていないし、グループステージの中で使い分けてもいいが、蔚山戦も最初のチャンス(6分相手DFのバスミスを拾ったレアンドロ・ダミアンの決定機)を決めていれば別の結果になっていたと思う。基本的には個人、チームの強みを出して戦うべきだと思う」

さらにデコボコのピッチでもキッチリ止めて、蹴る技術、完全アウェイの中でも動じないメンタルの追求を口にした。
「やらないといけないことが多い。アジア制覇のためではなく、今のチームは力を付けていかないといけない。自分たちのサッカーをするためにどんな状況でも出せる技術、2年ぶりの完全アウェイでやったがメンタル面もそう。自分たちのサッカーというときれいにつないできれいに得点するというイメージが強いかもしれないが、自分の中では違う。グラウンドの状況にかかわらず、しっかり蹴れる、止められる技術が必要。あと自分たちのサッカーが必要な場合と必要ではない場合を共有させる、研ぎ澄まさせる、使い分けて出せるようになれば。あの試合日程、あのグラウンド状況で蹴り合ったり、セカンドボールの取り合いをする方が厳しいと思う。それよりも自分たちの武器を出した方が勝つ可能性は高まると思っている」

第5節・蔚山戦では20分の左SB佐々木旭のバックパス、47分のアンカー橘田健人のパスミスが失点に直結したが、監督は「ミスをした後が大事だ」と口にした。
「大事なのはミスをしても自信を持ってプレーし続けられるかどうか。『次の試合がんばろう』ではなく、ミスを忘れてその90分間で自信を持ってピッチに立ち続けられるか。これをきっかけに伸びていかないといけない。難しいですよ。でも若手、ベテランに関係なく、やらないといけない。ただ選手は責任を取ることはできないと思っている。選手には『責任感を持ってプレーしなければいけないが、責任は持てないし持たなくていい」と言っている」

CB谷口彰悟主将もミス自体は問題視していなかった。
「ミスが失点につながったが、そこに関しては何とも思わないと言うか、僕もミスをして失点につながることもあるので。ミスに関しては気にしない。その後の対応のところ。取られた後の対応で防げるシーンだったと思うので、ミスをした後の対応が気になる。ミスをしっかりカバーすることに目を向けていくべきだと思うし、チームとしてこだわっていきたい。ミスの原因は何か。消極的になったり、自信をなくしてしまったり、そういう風にしてほしくない。難しいのは理解しているが、失敗を繰り返してみんなで協力して前向きにサッカーできるよう働きかけをしていきたい」

谷口もアジア仕様の戦い方については考えを異にした。
「そこが難しいところでアジア仕様のサッカーはどうすればいいのか。自分たちのサッカーをした方が強いと思うし、監督、スタッフを信じて臨まないといけない。僕はプランの問題ではなく、判断の問題だと思っている。相手がロングボールをどんどん蹴ってきたらまず競り合いに勝つ、セカンドボールを拾えるところに詰めていないといけない」

チームとして、個人として『ACL』で宿題を与えられた。
「国際試合は得点がリーグ戦以上に重くのしかかることがあるので、個人としてもチームとしてももっともっとこだわっていかないといけない。いい流れの中で失点してしまうと重くのしかかってくる。『ACL』だからと考えずにリーグ戦でも起こり得ることなので、もう一度大事にして戦っていきたい。
(個人としても)課題は多く出た。自分が防げていれば問題ないシーンもあったので、キャプテンだからではなくひとりの選手として、ピッチに立つ以上高いレベルでやらなければいけない。もう一度しっかり取り組んでいかないといけない」

谷口は敗因を不公平なレギュレーションには求めなかった。
「もうちょっと改善した方がいいという思いはあるが、それは僕らが言うことではない。ほかのチームも同じ条件でやっているので、そこをどうこう言うつもりはない。自分たちの力がないから敗退してしまった。そこに目を向けないといけないし、重く大きく受け止めないといけない。結果は出てしまったので、次に生かしていかないといけないと、今は取り組んでいるところ。移動の疲れも感じるが、自分たちが変わっていかないといけない。もっと強くなっていかないといけないと思いが帰国してからのトレーニングでも見て取れているので、直近のリーグ戦でぶつけていきたい」

CFレアンドロ・ダミアンは『ACL』での手応えをコメントした。
「いい試合はできたと思っている。1敗したが、内容的にはいいゲームをこなすことができたと思っている。しかし、その1敗が次に進めない要因になってしまった。ジョホールには1勝1分で負けていないので、やるべきことはできた。ただ引き分けで勝点2失ったことと、蔚山には2-3で負けてしまった。この2点が今回の敗退になってしまった。1敗しかしていないが、今季のルールで突破できなかったのは残念で仕方がない。次のJリーグに向けて全員が気持ちを切り替えて向かっている」

『ACL』での教訓を受け、『明治安田J1』でのゴールを誓った。
「『ACL』を忘れずに、そこで学んだことを残り3大会で生かしていきたい。(第5節・蔚山戦で)2ゴールしたが、自分の中ではもっとゴールできたという気持ちがある。2ゴール目も引き分けに向けたゴールなのでうれしく思う。今回の大会で大きなことを学んだ。同じことを繰り返してはいけない。今後このようなことが起きないように、日々のトレーニングから意識していかないといけないし、次の試合から表現していきたい」

悔しさ、教訓、そしてモヤモヤをぶつける相手は清水エスパルスである。公式戦ここ14試合負けなしの11勝3分と相性のいい相手である。川崎Fが6勝2分2敗・勝点20の2位ならば、清水は2勝6分3敗・勝点12の12位だ。だが清水は前節、大勝を収めた。4試合連続ドローで迎えた5月3日『明治安田生命J1リーグ』第11節・湘南ベルマーレ戦でFW鈴木唯が3ゴールに絡んで4-1で快勝した。32分から7分間で3得点を強奪したゴールラッシュは見事だった。

日本平に乗り込む川崎Fはフィジカル面、メンタル面のダメージをどれだけ払しょくできているのか。『ACL』前にMF大島僚太、期間中にMFチャナティップ、左SB登里享平が戦線離脱するなど三重苦となって襲い掛かる。

果たして、川崎Fがどんな次なる一歩を踏み出すのか。『明治安田J1』第12節・清水×川崎FはIAIスタジアム日本平にてキックオフ。チケットはパルチケ(Jリーグチケット)にて発売中。試合の模様はDAZN、静岡放送にて生中継。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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