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「この宝を抱きしめて精進していきます」MORISAKI WIN 初のワンマンライブツアー完走――『MORISAKI WIN -Dancing Charter Flight』ライブレポート

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『MORISAKI WIN -Dancing Charter Flight』5月5日昭和女子大学 人見記念講堂 昼公演より 撮影:渡辺誠司

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森崎ウィン初のワンマンライブツアーとなる『MORISAKI WIN -Dancing Charter Flight』。5月3日には大阪での公演を終えたばかり。晴天の“Flight”日和となった5月5日。昭和女子大学人見記念講堂で行われた昼公演の模様をレポートする。

いつも以上にダンサブルに! 唯一無二のエンターテイナーショー

開演前の会場では、あちこちから「シャカシャカ」という特徴的な音が。今回、販売されているグッズのひとつ、エッグシェーカーだ。ライブ中に歓声を出せない状況下ということで活用されるものだが、なんとなくその音が少しずつ増えていくことで、開演を待ちわびるCREW(ファンの総称)の期待の大きさが現れているようにも感じる。

定刻となり、会場が暗転すると「ポーンッ」という機内音が響き渡る。ウィン本人による“機内アナウンス”が響き、フライトアテンダント姿のダンサーたちがキャリーケースを手にステージへと姿を現す。いざ、音楽の旅へ。

ウィンはどこに――と思って視線を動かすと、ステージ上段、強いスポットライトの中、シルエットが。ウィンの歌声のみの「Live in the Moment」が響き渡る。そのままご機嫌なナンバー「Fly with me」へ。「東京のみなさんこんにちは! 一緒に!」と『Dancing Charter Flight』というツアータイトルにふさわしく、1曲目からファンと一緒に楽し気に体を動かす。

続く「Be Free」では思いっきり飛び跳ね、「めっちゃ楽しいんだけど!」とにっこり。ウィンのその言葉に、自然と観ているほうもワクワクする気持ちが膨らんでいくから不思議だ。「What U Wanna Do」と3曲を歌い終えたところで、「みなさんこんにちは! 森崎ウィンです!」と改めて会場にご挨拶。「楽しんでますか!」「まだまだ楽しむ準備は……」というところで噛んでしまい、「始まったね。こういうのがあると始まったな、っていう感じ、ありません? ウィンが来た!って」と照れ笑い。それに会場もエッグシェーカーを振って応えるとウィンも反応。「シャカシャカ鳴らしてください! シャカシャカ持ってない方、バットを鳴らしてください、持っていない方は拍手をしてください!」と元気いっぱいに言う。「声は出せませんが、思いをシャカシャカとバット、手拍子で伝えてください。手拍子足りないな、と思ったら体中叩いてください。体に残った手の跡、湿布あげるから」とにっこり。

そして、「この場所に来たら、最後の最後まで森崎ウィンに酔いしれて帰ってください」と言葉に続き、始まったのは「Blind Mind」。のびやかで心地よい歌声が響き渡り、ステージは赤いライティングでムーディーに染められていく。「UNBROKEN WORLD」と続き、先ほどまでとは打って変わって「酔いしれて」という言葉にぴったりなナンバーで会場の心を掴んでいく。また、「d.s.t.m」ではダンサーとの大人っぽい絡みを見せ、またこれまでとは違う魅力を見せていく。次第にトーンアップしていくステージで「Wonder Land」では会場も一緒になって手拍子で盛り上げていく。これまでのライブでも幾度となくダンスパフォーマンスを見せてきているが、今回は改めてウィンのその技術の高さを感じさせられる。立ち居振る舞いの美しさもさることながら、瞬間、留めた指先の美しさにさえも目を奪われてしまう。

「動画も写真も撮っていいよ!」

しかし、ダンサー、バンドのパフォーマンスを挟み、衣装をチェンジして登場したウィンは、スポットライトがさす位置とは異なる場所に立ち、思わず「嘘やん!」と言い、おちゃめな表情を見せ、会場から笑いが漏れる場面も。

「怒涛でやってきましたが、みなさん楽しんでいますか?」と問いかけると大きな拍手が起こり、ウィンも嬉しそうに微笑む。「やっとツアーということで都内から出ることができました! 大阪でもやらせてもらったんですけど、温かく迎えてくれて本当に楽しかったです」と振り返った。

エッグシェーカーや、拍手で客席とのコール&レスポンスでコミュニケーションをとったあと、「このあとはみなさんゆっくりと座っていただいて、もっと森崎ウィンの音を楽しんでいってください」と「JUST GO」で後半戦をスタートさせた。スタンドマイクに手を添わせ歌う姿も、ただ佇んでいる姿だけでも絵になる。「anymore」ではステージ上の階段に腰をおろす。座っただけでも何か物語が始まりそうな、そんな雰囲気をまとっている。「Midnight」でさらに物語を積み重ねていく。じっくりと歌を届けながらも、「Love in the Stars-星が巡り逢う夜に-」ではステージに腰掛け、ファンと一番近い場所まで近づく。途中、ステージから降り、一瞬ではあったが客席で同じ目線で歌う場面も。が、そのあとに「ひとつだけ言っていいですか。ステージ高かった」とぽそりと言い、会場を和ませることも忘れない。

そして、話題は次の曲「My Place,Your Place」へ。先月、発売されたばかりの新曲だが「先日、大阪でも初披露させていただいたんですけど……結構評判が良くて」と言うと、大きな拍手が。「『これ記録に残したい』という声があったんですよね。……だから、今日は動画とか、写真とか撮っていいよ」とクールに言うと、思わず会場からは驚きの声が。思わずこぼれた歓声にウィンも「久しぶりに聞いた! 超嬉しいんだけど!」と笑顔を弾けさせた。しかし、それだけファンにとってはハッピーな試みだということ。早速、いそいそとスマホを取り出す会場の空気が楽し気だ。

客席の準備が整うと、改めて新曲について触れるウィン。「歌詞を追ってみるとすごくストレート。思っていてもなかなか、言葉にするのはためらったり、長い付き合いの人だからこそ言えなかったりすることがあると思うんです。けど、音楽の力がすごいなって思うのは、その楽曲の力に背中を押されて素直に言える。今日は、曲にのせてこの想いを届けさせてください」と言い、優しく歌い上げた。ロマンチックなラブソング、客席が撮影するスマートフォンの灯りもまたひとつの演出になっているように見え、一体感がある。

曲を終えると、「いい写真を撮ってもらうから」と客席に向かってポーズをとることも忘れない。そんなキュートな様子に思わず笑みが漏れる。

「僕と一緒にパレードしてくれますか?」

「1.2.3」のメロディに合わせてCrumple BandとCrumpleパフォーマーズを紹介。ウィンが「1.2.3」をワンコーラス歌い上げると自然と客席も立ち上がる。ウィンの「このあとも楽しめますか!」という声にそれぞれのリアクションで大きく応える。ダンサーたちと「Me,Myself and I」を元気いっぱいに踊り、歌い、「楽しいな!」と顔をほころばせる。フリを少しばかり間違えてもハプニングもショーの一部のようにしてしまうのはウィンだからこそ、かみしれない。そして本編ラストは「僕と一緒にパレードしてくれますか!」と呼びかけ「パレード-PARADE」を。サビでは客席も思いっきり体を動かし、会場全体をダンスホールへと変えていく。

そんな熱気を帯びた状態でライブが終わるはずがない。暗転するとすぐに会場からは手拍子とエッグシェイクで大きなアンコールが湧きおこる。ライブグッズのTシャツを身に着け再登場したウィンは「本当にありがとうございます!」とアンコールにお礼を言いつつ、Tシャツを指さし「かわいくない?」とアピール。グッズ紹介さえもトークで楽しませつつ、会場の笑いを誘う。ライブのいいところはセリフがないからステージを自由に歩き回れること! と言い、フリーダムに動くのもらしさが出ていて微笑ましい。

もちろん、アンコール曲でも更にボルテージをあげていく。「歌ってもいいですか!」と言ったあと、「あ……いま、みんな俺と目が合ったよな? これでお前らとの縁ができたな」という最高のセリフで立て続けに歌い上げたのは『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』のオープニング曲「俺こそオンリーワン」、エンディング曲「Don’t Boo! ドンブラザーズ」。体に響くサウンドでテンションは上がり、力強い手拍子に一体感は高まっていくばかりだ。

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』のテーマソングのオファーについてウィンは「最初は歴史が長いシリーズの新しいオープニングとエンディングということで正直ちょっとプレッシャーは僕の中であったんですけど」としつつ、「ぜひウィンに歌ってほしいというお話をいただいて、これもひとつ縁ができたな、というのもありまして。それに、新しい戦隊ものシリーズのイメージを壊さないように、かつ森崎ウィンの音楽性を理解しようとしてくれまして……とにかく強い愛を感じたんです」と語った。「そんな曲をライブで歌えてめちゃくちゃ楽しくないですか? こうやって歌える場所があって、みなさんと共有できてこの楽曲がどんどんいろんな進化、変化していくのも僕自身楽しみで。『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』、1年間よろしくお願いします」と熱い思いを伝えた。

故郷への想いを込めて…Wアンコール「おばあちゃんの言葉」

そして、最後を締めくくったのは「Live in the Moment」。「Live in the Moment」のアカペラで始まったライブ、最後までのびやかな歌声で魅了し続け、ステージをあとにした。

……が、鳴りやまない手拍子にウィンはダッシュでステージへと帰還。「Wアンコールありがとうございます」と言い、ギターを手に取る。Wアンコールに選んだ曲は2017年に制作した「おばあちゃんの言葉」。

「ミャンマーのドラマで、僕にあてがきしてくれたんですけど、おばあちゃん子として育ってそのおばあちゃんへの想いを託して、日本で最初のライブで歌うっていうシーンのために、リアルにおばあちゃんの言葉を思い出して書いた曲」と振り返った。ミャンマーにも全然帰れていない、というウィン。「やっぱり直接帰ってミャンマーの空気、自分のルーツ、自分のふるさとっていうのは帰りたくなるものなのだと今回のこういうことが起きて初めて実感しています。久々に歌ったら、感じ方変わるんだろうな、ということも思ったのでぜひ、Wアンコールの曲として歌わせてください」と、ギターの弾き語りで披露した。優しい歌詞、言葉がひとつひとつ心に染みていく。この5月、普段会わない家族と会う機会が多い時期だからこそ、聴きながらふと、ふるさとに想いを馳せた人も多かったのではないだろうか。

この日はこどもの日ということで、客席に子どもの姿も。そんな会場を見渡しウィンは優しい笑みを浮かべる。「僕も子どものとき、親の言うこととか、おばあちゃんのいうこととかっていうのはうるさいなー、って思うことは多かったんですけど、大人になって自立していろんな仲間、CREWのみなさんと出会って、こうやって人生を歩んでいくときに昔言われてきた親の言葉、おばあちゃんの言葉が身にしみるんです」と改めて自分のルーツについて回顧。 「みなさんにも自分のルーツを忘れないでほしいな、というのが一番のメッセージです。僕自身もルーツを忘れず、この瞬間もCREWと出会えて、この空間でこんなに楽しい時間を作れたことは僕の人生の中で宝となりました。この宝を抱きしめてこれからも精進していくのでどうか末永く森崎ウィンをよろしくお願いします。そしてCREWのみんなと最高の景色を見られたな、と思います」と噛みしめるように伝え、公演を終えた。

エンターテイメントショーとしても、森崎ウィンという人柄としても、魅力がギュッと詰まった今回の公演。同じ曲を歌っても、また違う魅力を必ず見せてくれる森崎ウィンのエンターテイナー性は計り知れないものがある。次のフライトではどのような姿を見せてくれるだろうか。

取材・文=ふくだりょうこ
撮影=渡辺誠司

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