『特別展「琉球」』東京国立博物館で開催中 復帰50周年の節目に、沖縄固有の文化と歴史をたどる過去最大規模の展覧会
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左:国宝《黒漆脇差(号 治金丸)》(刀身 室町時代 16世紀、拵 江戸時代 17世紀) ※展示期間:5/3~5/29 右:国宝《青貝螺鈿鞘腰刀拵(号 北谷菜切)》(刀身 室町時代 15世紀、拵 江戸時代 16〜17世紀)※展示期間:5/3~5/29 ともに沖縄・那覇市歴史博物館蔵
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すべて見る戦後、アメリカの統治下にあった沖縄は1972年5月15日、日本に復帰し、今年で50年という節目の年を迎えた。これを記念した琉球の歴史と文化を紐解く展覧会、『特別展「琉球」』が、6月26日(日)まで東京国立博物館で開催、その後、九州国立博物館へ7月16日(土)〜9月4日(日)の期間で巡回する。
かつて琉球王国として、独自の文化と歴史を有していた沖縄は、現代まで続く様々な困難のなか、その文化、歴史を未来につなぐ努力をたゆまず続けている。同展は、沖縄の考古遺物や民族作品から、王国時代の歴史資料や工芸作品そして、国王尚家に伝わる宝物まで、さまざまな沖縄の文化財を紹介する、琉球をテーマにしたものとしては過去最大級の規模をほこる展覧会だ。
展覧会は5章構成。第1章「万国津梁 アジアの架け橋」では、アジア各地の貿易の中継地点として反映した琉球王国の姿を追う。「万国津梁の鐘」として知られる重要文化財《銅鐘 旧首里城正殿鐘》は、かつて首里城の正殿にかけられていたと考えられている。鐘に刻まれた琉球王国が世界の架け橋になろうとする気概が「万国津梁」(“万国の架け橋”の意)の文字が入った銘文に込められている。
そして、当時の那覇港の様子や、首里城などから出土したものから、琉球王国が日本や朝鮮半島、中国大陸、東南アジアと盛んに交易し、繁栄していたことが伺える。
琉球王国は1470年から約400年間、尚氏が統治し、繁栄していた。第2章「王権の誇り 外交と文化」は王家の宝物や、諸外国から送られた工芸品などが展示される、同展のクライマックス。刀剣や染織品、簪(かんざし)などの至宝の美しさを堪能しよう。
続く、第3章、第4章では繁栄を誇っていた琉球王朝の周辺の暮らしや、その前の歴史について考察を深める。
第3章「琉球列島の先史文化」では、琉球王国の繁栄前の歴史を紐解く。土器や石器が作られたほか、海に囲まれた琉球列島では、貝やサメの歯などで作られた装身具が作られており、独特の文化がこの頃より育まれていたことが伺える。
続く第4章「しまの人びとと祈り」では、祭祀を女性が司るという沖縄独特の風習と、それらにまつわる文化をたどる。
そして、最終章の第5章「未来へ」では、これまでの困難を乗り越え、その歴史を未来につなげていく沖縄の道のりと今後について、首里城の復活を中心に紹介していく。
古琉球時代よりアジア各国と交易し、反映していた琉球そして沖縄。同展はこれまでの歴史と文化を俯瞰し、未来の沖縄についても考えを巡らせることができる。これまでにない大規模な琉球展、ぜひ足を運んでおこう。
取材・文:浦島茂世
【開催情報】
『沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」』
5月3日(火・祝)~6月26日(日)、東京国立博物館平成館にて開催
※会期中展示替えあり
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/ryukyu2022/
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