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戸塚祥太(A.B.C-Z)× 内博貴 揃って挑む『フォーティンブラス』再演

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『フォーティンブラス』ビジュアル

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『ハムレット』でフォーティンブラスを演じる脇役俳優にスポットを当て、演劇界のリアルと、役者たちの悲喜こもごもを描いた横内謙介の名作『フォーティンブラス』。昨年、中屋敷法仁による新演出版が幕を開けるや、たちまち人気を集め、たった1年という短期間での再演が決定した。そこで前回と同じ役に挑む、A.B.C-Zの戸塚祥太と内博貴に話を訊いた。

芝居を愛し、芝居に人生を捧げてきた人々の物語

――昨年の上演から、早くも再演が決定しました。その心境は?

戸塚 僕は再演の経験自体がほとんどないのですが、やっぱり怖いですよね。初演を越えなきゃいけないっていうプレッシャーがあるので。とはいえやるからには絶対にいいものにしたいので、気を引き締めてまた取り組まねば!という感じです。

 僕は逆に再演ものが多いんですよね。

戸塚 あっ、再演パイセン?(笑)

 再演俳優です(笑)。

戸塚 えっ、どういうこと?(笑)

 わかんない(笑)。でもこれまでの経験から、再演で余計なことはしないっていうのが教訓としてあって。だから変に気負わず、初演に基づいて、もう一度頑張ろう、という気持ちです。

――横内謙介さんが1990年に書き下ろした『フォーティンブラス』ですが、改めて作品としての魅力とは?

戸塚 劇団や役者の話という点に、やっぱり面白みや愛おしさを感じました。本当に芝居を愛して、そのために人生を捧げてきたような人たちの物語なので。しかもその中にはスターがいて、脇役がいて、演出家がいて、ヒロインがいる。そのそれぞれの視点から観ることが出来ると思いますし、そういう自分の役割みたいなものに関しては、ほかの職業にも置き換えられるだろうなと。だからこそ何度観ても楽しめる作品だと思います。

 すごくリアルな作品だなと思います。現実にこういうことって昔はあったと思うので。あとはみんなが役者を目指して、芝居のために汗をかいてアグレッシブに頑張っている。そういう人たちの姿を見るのが、僕はすごく好きなんですよね。まるで役者のドキュメンタリーを見ているような、お芝居といえども胸に刺さるものがある。と同時に、自分自身ああいった感覚は一生忘れちゃいけないなとも思いました。

武年はストレートしか投げられないかわいい正直者

――演じる羽沢武年、黒沢正美(サミー)について、それぞれどんな人物として捉えていますか? ​

戸塚 武年は正直者ですよね。 ​

 武年かわいいよね。なんて正直なヤツなんだ!って。武年みたいな後輩がいたら、絶対にかわいがると思う(笑)。 ​

戸塚 確かに(笑)。真っすぐだよね。 ​

 ストレートしか投げられない(笑)。 ​

戸塚 そうそう。で、やっぱり芝居が、役者という仕事が好きなんだと思います。劇中、死んだ役者が亡霊になってまで劇場に現れますが、あれって後々の武年の姿だと思いますから(笑)。 ​

 面白い! それで続編書いてもらおうよ。『その後のフォーティンブラス』(笑)。 ​

戸塚 いいね(笑)。まぁきっと武年は、なにがあっても舞台が好きで、舞台には関わっているんでしょうね。 ​

 サミーは劇団のトップで、非常に横暴な人間ですが、かつては自分も同じようなことを先輩にされてきたと思うんです。それでも折れずに、必死に頑張ってきたからこそ、今の地位がある。でも同じことを後輩にもしてしまっていて……。それは悪意からではなく、そういう環境下で育ってきたことによって、当たり前のようにそうなってしまったのかなと。そんなところもすごくリアルだなと感じました。 ​

あの判断は正しかったと再確認する内の配役

――『ハムレット』における脇役・フォーティンブラス役の武年と、主役・ハムレット役のサミー。そんなふたりの対比が、作品の大きな軸となっていますね。 ​

 だから武年が正直で真っすぐな分、ある意味サミーってぶっ飛んでいないとダメな役どころなんですよね。 ​

戸塚 サミーは大変やね(笑)。 ​

 そうそう。とっつー(=戸塚)ファンの子からしたら、僕のこと大嫌いになると思いますよ(笑)。「なんて嫌なヤツやねん!」って。でも作品としてはそれでいいと思うんです。そもそも僕、当初は別の役でオファーをいただいていて。でもそれは武年と近い役だったので、自分からこう提案させてもらったんです。「とっつーとの絡み的に、俺がこの役をやっても面白くないと思う。でもハムレットだったら面白いと思うよ」って。 ​

戸塚 確かにその通りだよね。 ​

 今もその判断は正しかったと、自分では確信しています!(笑) ​

戸塚 うん、正しい!(笑) ​

 でしょ?(笑) ​

――おふたりは本作の初演が外部公演での初共演でしたが、お互いの役者としての魅力をどんなところに感じましたか? ​

戸塚 内博貴と言ったら、やっぱり圧倒的な“主役感”ですよね。主役でいて欲しい、真ん中にいて欲しい人というか。だから後にも先にも、内がこういうキャラクターをやることって恐らくないと思うんです。というのもサミーって、下手したら単に嫌味な役で終わってしまうので。でもそんな役ですら、愛おしく思えてしまう。それは内がやっているからこそ、だと思います。 ​

 とっつーはすごく器用な人だと思います。センスとかオーラっていうのは努力しても身につかないものですが、器用さって努力すればしただけ身につくもの。ただ実際身につけようと思ったら、それはすごく難しいことで。でもとっつーは、僕にはない、ズバ抜けた器用さを持っている。たぶん僕が武年をやっても、絶対にとっつーの武年は越えられないと思うんです。そういった意味でもとっつーって、心からリスペクト出来る存在なんですよね。 ​

取材・文=野上瑠美子

​『フォーティンブラス』
作:横内謙介
演出:中屋敷法仁
出演:戸塚祥太(A.B.C-Z) / 能條愛未、矢島舞美 / 富岡晃一郎、桑野晃輔、吉田美佳子、新原武、吉田智則 / 内博貴 ほか

2022年6月3日(金)~9日(木)
東京都 自由劇場

2022年6月18日(土)~20日(月)
大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

2022年6月28日(火)~30日(木)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール ​