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成田凌&葵わかなW主演、演出・杉原邦生で立ち上げる新たな『パンドラの鐘』【取材会レポート】

ぴあ

左から、杉原邦生(演出)、葵わかな、成田凌  撮影:源賀津己

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23年前、当時のシアターコクーン芸術監督であった蜷川幸雄の依頼により、野田秀樹が書き下ろした『パンドラの鐘』。本作は両者それぞれの演出により連続上演され、それは今なお演劇界の事件として語り継がれている。そんな名作が、気鋭の演出家・杉原邦生の手で甦ることに。古代を生きるミズヲとヒメ女を演じるのは、成田凌と葵わかな。稽古の日々を重ねる3人に、本作に寄せる想いを語ってもらった。

パンドラの鐘に込めた“希望”をどう未来に繋ぐか

――蜷川幸雄さんの依頼を受け、野田秀樹さんが1999年に書き下ろされた作品ですが、新たに杉原さんが演出される上で意識していることは?

杉原 基本的にこの物語は、現代で発掘された“パンドラの鐘”の謎を解くというサスペンスと、古代のミズヲとヒメ女のラブストーリーというふたつの軸が同時に進行していき、最終的には長崎に落とされた原爆の話へと集約されていきます。そこで野田さんがパンドラの鐘に込めた“希望”を、僕ら今の人たちがどう未来に繋いでいけるのか。そういうことを考えながら作品を立ち上げていきたいと思っていて。重いテーマを扱ってはいますが、取り立ててそこを強調するわけではなく、とはいえなんとなくお客さんに引っかかるようなフックを要所要所に作りつつ、終盤へと繋げていきたいと思っています。

杉原邦生

――成田さん演じるミズヲと、葵さん演じるヒメ女。役に対して、現段階ではどうアプローチされていますか?

成田 蜷川さん演出版と野田さん演出版の映像を拝見させてもらいましたが、勝村(政信)さん、堤(真一)さん共に、ものすごいエネルギーを感じました。ちょっとおふたりの芝居がすご過ぎて、打ちひしがれる思いというか……(苦笑)。ただそれでは今回の共演者の方々に失礼なので、ミズヲってものを皆さんと一緒に作っていきつつ、過去のおふたりとはまた違う自分のエネルギーを発信出来たらと思います。

成田凌

 すごい作品、すごい役ではありますが、野田さんがコメントで「好き勝手やって欲しい」ということをおっしゃってくださったんです。だから演出の(杉原)邦生さんを始め、今この時に作ろうとしている私たちとしては、ちょっと無鉄砲でも、例え見栄だったとしても、堂々としていたいなっていう気持ちがあります。ただ稽古が進めば進むほど、この役が難し過ぎて……。過去公演の映像を私は観ていないのですが、今、観たくて観たくてしょうがない状態です(笑)。

葵わかな

いろんなイメージが乱反射した野田の言葉の世界

――かつての蜷川さん版、野田さん版の舞台は、ビジュアルなどまったく異なる印象でしたが、杉原さん版ではどういった舞台になりそうですか?

杉原 おふたりと同じことはしたくないので、やっぱり僕なりの、そして今回集まったキャスト、スタッフの皆さんと一緒に作る、新しい『パンドラの鐘』にしたい、というのが一番です。まずはパッとイメージが沸いた歌舞伎の『娘道成寺』と能の『道成寺』、このふたつの世界と現代劇の世界観をない交ぜにしたような空間を作ろうと思っていて。さらにそこにm-floの☆Taku Takahashiさんの現代的な音楽が重なり、日本の文化に魅入られた海外デザイナーのAntos Rafalさんの衣裳が加わる。野田さんの言葉の世界っていろんなイメージが乱反射しているので、それを空間的に体現しつつ、古代と現代を行き来する物語を、日本の演劇における古典と現代を意識する世界観の中で構築していきたいと思っています。

――演出家としての杉原さんとは?

成田 とても優しいです。優しいにもいろいろタイプがあると思うんですが、しっかりと芯の通った優しさというか。例えるならすごくいいベッド(笑)。柔らかいけどしっかりしていて、ずっと寝ていたいと思う。そういう包み込んでくれる優しさと、視野の広さ、頭の良さを持った方だと思います。

 ベッドってすごくいい例えですね(笑)。私はさらにしなやかな印象があって。今までお会いしたことがないタイプの方ですし、とても不思議な、でも心から信頼出来る演出家さんです。

――では役者としてのおふたりの魅力は?

杉原 成田くんはちょっとクールな印象があったんですが、稽古に入ってみたら、かなり前のめりに熱い人なんだってことを強く感じました。しかもマインドがいつもオープンで、なんでも吸収しよう、なんでもやってみます!みたいな。葵さんはいい意味で真面目で、自分なりの意見を持って稽古に臨まれるのですが、僕がなにか言うことで、今までの自分を自分から壊すことが出来る。破壊と創造がちゃんと出来る人というか。だから舞台を一緒に作っていく方としては、おふたり共すごくやりやすいですし、なにも心配はなくて。初日までに絶対、いいミズヲとヒメ女を作ってくれるだろうという信頼があります。

いい作品には、必ず現代にリンクする部分がある

――最後に、公演を楽しみにされていらっしゃる読者にメッセージをお願いします。

成田 作品的に難しい部分もありますが、それは全部僕らがやりますので(笑)。お客さまには物語的にも、視覚的にも楽しんでいただけると思いますし、壮大なエンターテインメントをお届け出来ると確信しています。

 23年前の作品ですが、やっぱりいい作品には現代にリンクする部分があって。それは悲しいことでもありますが、私たちが信じるエンタメの持つパワーがこの時代に作用し、なにか少しでも今を生きる方々にお届け出来たらなと思います。

杉原 こういった社会状況の中で、ライブのエンターテインメントを観に行くということ自体、尻が重くなっているような時代かもしれません。だからこそ観に来てくれた方には、必ず「観てよかった」と思っていただけるようなものにする。それを使命と感じて僕らは稽古を続けていきますので、ぜひ劇場に、生のエンターテインメントを体験しに来ていただきたいです。

取材・文=野上瑠美子
撮影=源賀津己

<公演情報>
『パンドラの鐘』

【東京公演】
2022年6月6日(月) ~6月28日(火) シアターコクーン

【大阪公演】
2022年7月2日(土) ~7月5日(火) 森ノ宮ピロティホール

チケット情報はこちら:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2201584