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カラフルな仕掛けと多彩なダンスで魅了! 個性溢れるキャラクターが魔法の世界へ誘う『不思議の国のアリス』開幕

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Alice’s Adventures in Wonderland© by Christopher Wheeldon, Designs by Bob Crowley, Puppetry Designs by Toby Olié 撮影:長谷川清徳

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新国立劇場のバレエ公演『不思議の国のアリス』が6月3日に開幕した。前日に行われた舞台稽古の模様をレポートする。

英国出身の振付家、クリストファー・ウィールドンによるバレエ『不思議の国のアリス』は、2011年に英国ロイヤル・バレエが初演、カラフルで目を見張るような仕掛けと、主役ふたりのパ・ド・ドゥや群舞、またタップダンスまで登場する多彩な踊りの力で世界中の観客を楽しませてきた。新国立劇場バレエ団は2018年11月に初めて取り組み、本作を上演することが許されたアジア初のカンパニーとして、充実の舞台を実現。今回はコロナ禍による延期を経ての、待ちに待った再演だ。

今回の公演では3人のダンサーが日替わりでアリスを演じるが、当日ヒロインを演じたのは、プリンシパルの米沢唯。このバレエのアリスは、ルイス・キャロルの原作よりもぐっと大人っぽい、恋する年頃の女の子だ。米沢は、古典バレエで見せる豊かな音楽性、精確なテクニックはそのままに、快活で好奇心旺盛ながら、透明感あふれる魅力的なアリスで客席を魅了。白ウサギを追いかけて落ちた穴にずっと落ち続けたり、大きくなってしまった身体を持て余したりと、この物語ならではの現実離れした状況が、リアルの米沢の演技と独創的な装置、プロジェクションマッピングとの見事な調和で、鮮やかに描き出されていく。世界初演から10年以上が過ぎたいまも全く色褪せることがない美術の美しさ、新しさは、まさに名匠ボブ・クロウリーの手腕だ。

この日、相手役の庭師ジャック/ハートのジャックを演じたのは、やはりプリンシパルの渡邊峻郁。アリスと惹かれ合う庭師の青年ジャックは、やがてハートのジャックとして登場、第2幕、第3幕ではアリスとともに清々しいパ・ド・ドゥで魅せる。

アリスを不思議の国へと導くルイス・キャロル/白ウサギを演じた木下嘉人のミステリアスでコミカルな演技も、アリスの母/ハートの女王の益田裕子の傍若無人なパフォーマンスも実に印象的。ハートの女王には、古典作品の『眠れる森の美女』で可憐なオーロラ姫が4人の求婚者たちと踊る名場面「ローズ・アダージオ」のパロディ、「タルト・アダージオ」という大きな見せ場も用意され、客席を笑いの渦に巻き込む。

さらに、タップダンスのハイレベルな技術が求められる手品師/マッドハッター役は、この日、中島駿野が独特の存在感で大健闘。別の日程では福田圭吾がこの役に取り組むが、さらに、オーストラリア・バレエのジャレッド・マドゥン、英国ロイヤル・バレエのスティーヴン・マックレーがゲスト出演。マックレーはこの役の初演ダンサーだ。

クセのある個性派キャラが次々と登場するだけに、飽きている暇はない。公演本番も、バレエ団の才能あふれるダンサーたちがそれぞれの持ち味を最大限に発揮し、物語の楽しさを存分に味わわせてくれるだろう。

公演は6月12日まで、新国立劇場オペラパレスにて。

取材・文=加藤智子

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