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「PFFアワード2020」審査員特別賞『頭痛が痛い』 受賞後の再編集を経て、念願の劇場公開

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左から、守田悠人監督、阿部百衣子、せとらえと

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ぴあフィルムフェスティバルの「PFFアワード2020」で審査員特別賞を受賞したロードムービー『頭痛が痛い』の初日舞台挨拶が6月3日、東京・アップリンク吉祥寺で行われ、出演する阿部百衣子、せとらえと、本作で監督デビューを飾った守田悠人が登壇した。

新国立競技場の建設が進む2018年の東京を舞台に、空気を読みながら明るく振る舞う一方で憂鬱な気持ちを抱えていた女子高生・いく(阿部)と、自傷行為を繰り返しながら、心の隙間をライブ配信で埋めようとする不登校気味の鳴海(せとら)が、互いの心と傷の手当てをし、支え合う姿を描いた。実際の事件がモチーフになっており、守田監督は「当時、自分の中になった憂鬱とリンクした瞬間があり、これを今の自分が映画にしなければ。10年後の自分が映画にできるか分からないと思い、製作しました」と振り返った。

『頭痛が痛い』初日舞台挨拶より

撮影は4年前に行われ、阿部は「こうして作品を皆さんにお見せできる機会にめぐりあえて、幸せだなと思います」と俳優デビュー作の念願の劇場公開に喜びの声。本作を鑑賞するのは、およそ2年ぶりだといい「当時の私は、自分の苦しさや、嫌だなと思うことを表に出せなかったり、いくと重なる部分もあった。ズーンと心に残るものがあった」と明かし、「彼女たちの生きざまは泥臭いですが、美しいなと。逃げ出したいときは、いくや鳴海を思い出して、もう少し頑張ろうかなと思ってもらえれば」とアピールした。

阿部百衣子

せとらも「繊細で傷つきやすいところは重なっているなと思いました」と役どころに共感。「自分には価値がない、誰にも愛されていないと思っている人にも、私は生きていてほしいと思うんです。見ず知らずの人間に言われても届かないかもしれないですが、自分を愛してあげてほしいです」とメッセージを送った。

せとらえと

ぴあフィルムフェスティバルでの上映を経て、劇場公開にあたっては再編集が施され、守田監督は「自分が(再編集を)やらなくてもいいかなと思っていたら、当時高校卒業したての小本(菜々香)に出会って。150分くらいの素材を渡したら、90分にしてきて肝が据わっているなと思った」と舞台裏を回想。審査員特別賞受賞については、「受賞の瞬間は何かしゃべらないといけないと焦りましたが、作品に箔が付いたので、スタッフや俳優の皆さんのためにもなって、うれしかった」と話していた。

守田悠人監督

取材・文=内田涼

<作品情報>
『頭痛が痛い』

公開中

『頭痛が痛い』ポスタービジュアル

脚本・監督:守田悠人
出演:阿部百衣子 / せとらえと / 鐘ヶ江佳太 / 山本華世子 / 大友久志 / ナツメ / 杉山宗賢

『頭痛が痛い』予告編

『頭痛が痛い』公式サイト:
https://zutsugaitai-movie.com/