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宮本亞門、新作ミュージカル『カラテ・キッド』が米セントルイスで開幕 ブロードウェイに向け確かな手応え

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ミュージカル『カラテ・キッド』セントルイス公演(トライアウト)より The Company of THE KARATE KID – The Musical, 2022 by Danny Zofness of DTK Studios.

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6月1日、ブロードウェイを目指す宮本亞門演出の新作ミュージカル『カラテ・キッド』が、アメリカ中西部セントルイス郊外のカークウッド・パフォーミング・アーツ・センターで開幕した。

日本では『ベスト・キッド』(1984)のタイトルでヒットした映画『カラテ・キッド』は、か弱い少年ダニエルが、沖縄出身の空手の達人ミヤギに出逢い、その技と精神を学んでゆく成長物語。2018年からは登場人物の34年後を描く続編ドラマ・シリーズ『コブラ会』がYouTubeやNetflixで放映され話題となっており、人気が再燃している。

構想から十年余というこの初の舞台ミュージカル化には、映画版と同じロバート・マーク・ケーメンによる脚本、ヒップホップ系の注目株ケオネ&マリ・マドリッドの振付といった他ジャンルからの才能と、昨年『ムーラン・ルージュ!』でトニー賞を受賞した舞台美術のデレク・マクレーンら、ブロードウェイ常連のトップ・クリエイティブ・スタッフが集結。演出の宮本亞門とプロデューサーの吉井久美子コンビが、『太平洋序曲』(2004)以来のブロードウェイ入りを念頭に創り上げ、トライアウト(試演)に漕ぎ着けた。

宮本亞門

会場のカークウッド・パフォーミング・アーツ・センター内のロス・ファミリー劇場で5月25日にプレビュー公演が始まり、一週間を経て正式オープンとなったこの晩には、地元の観客に加え、ニューヨークからも多くの業界関係者がつめかけた。

会場となったセントルイス郊外のカークウッド・パフォーミング・アーツ・センター ©Ingrid Borecki

舞台中央の黒松の盆栽に、スポットライトが当たっている。障子を思わせるスクリーンと桟で仕切られた背景の中央に、その美しい枝振りのシルエットが映り、中から化身のような5人のダンサーが登場すると、たちまちスピリチュアルな空気が舞台を満たした。一転して、塞ぎ気味なダニエル少年と息子に手を焼く母ルシールの会話で、映画版でなじみのある世界が始まり、やがてコブラを描いたアイコンとともに黒い道着の猛者たちが勢揃いするコブラ会道場が現れると、客席からは怒濤の大歓声。空手の型を取り入れた力強くもクールな演武的ダンスシーンではしばらく拍手が鳴り止まず、文字通りショーストッパーとなった。こうした印象的なダンスシーンの数々と可動パネルを駆使したハイスピードの場面転換では、アンサンブルキャストが大活躍。新鋭ドリュー・ガスパリーニの親しみやすくツボを心得た楽曲も、多大な貢献を果たしていた。

The Company of THE KARATE KID – The Musical, 2022 by Danny Zofness of DTK Studios.
The Company of THE KARATE KID – The Musical, 2022 by Danny Zofness of DTK Studios.

大いに盛り上がった初日を終えた宮本は、「今日は開演前に、クリエイティブスタッフで集まり、今後どこを直していくかをしっかり話し合ったんです。これからさまざまな意見が耳に入ってくることになるけど、いちいち迷って流されないようにするために。時間が足りないなかで開幕したので、まだ整理されていない部分もあるんですが、今夜はブロードウェイの劇場主など、トライアウト公演を見馴れているお客さんが多く、彼らはそんな過程の状態であることを承知のうえで、判断していたようです。その結果として『これならいける』という反応の拍手をもらえた気がするので、みんなちょっと自信をつけることができたと思います」と、確かな手応えを感じた様子。

昨秋のワークショップに続き、今回のトライアウト公演でも高評価を得たミュージカル『カラテ・キッド』。目標のブロードウェイ公演が、いよいよ射程距離に入ってきた。次なる課題は、「いつブロードウェイ入りできるか」。吉井プロデューサーは、2023年春以降を目論みながら準備を進めている。朗報を待とう。

取材・文・=伊達なつめ

ミュージカル『カラテ・キッド』のコブラ会クリース役アラン・H・グリーン(左)と初日を観劇に訪れた映画版および『コブラ会』の同役マーティン・コーヴ
ミュージカル『カラテ・キッド』PLAYBILL(プレイビル)

<公演情報>
ミュージカル『カラテ・キッド』(The Karate Kid - The Musical)

ミュージカル『カラテ・キッド』ロゴ

脚本:ロバート・マーク・ケーメン(Robert Mark Kamen)
作詞・作曲:ドリュー・ガスパリーニ(Drew Gasparini)
演出:宮本亞門(Amon Miyamoto)
振付:ケオネ&マリ・マドリッド(Keone & Mari Madrid)
セットデザイン:デレク・マクレーン(Derek McLane)
衣裳デザイン:前田文子(Ayako Maeda)
照明デザイン:ブラッドリー・キング(Bradley King)
音響デザイン:原田海(Kai Harada)
オーケストレーション:ジョン・クランシー(John Clancy)
音楽監督:アンドリュー・レスニック(Andrew Resnick)
アソシエイト・プロデューサー兼演出家付きドラマターグ:松堂今日太
製作:木下直哉(木下グループ代表取締役社長兼グループCEO)/ 吉井久美子(ゴージャス・エンターテイメント)/ マイケル・ウォーク(Michael Wolk / Wolk Transfer)

■セントルイス公演(トライアウト)
2022年5月25日(水) ~6月26日(日)
会場:カークウッド・パフォーミング・アーツ・センター ロス・ファミリー劇場
https://www.kirkwoodmo.org/recreation/arts-and-music/performing-arts-center

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