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神谷浩史&宮野真守の強い絆「全幅の信頼を置いています」

映画

インタビュー

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神谷浩史、宮野真守  撮影 / 友野雄

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国内外問わず高い人気を誇る日本を代表するTVアニメシリーズ『ドラゴンボール』。その最新作『ドラゴンボール超』から、原作者・鳥山明が脚本・キャラクターデザインを務めた新たなる映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』が2022年6月11日(土)に公開する。

TVアニメ『ドラゴンボール』で孫悟空たちが倒したはずの「レッドリボン軍」が今作で復活。さらに彼らが生み出した“スーパーヒーロー”を名乗る人造人間たちが新たに登場し、孫悟飯とピッコロを中心にお馴染みのキャラクターたちが立ち向かうストーリーだ。

今作の新キャラクターである人造人間を確かな実力と人気を兼ね備えた声優の神谷浩史(ガンマ1号)と宮野真守(ガンマ2号)が演じる。『ドラゴンボール』に並々ならぬ影響を受けている二人に、シリーズの魅力や自身の演じるキャラクターについてインタビュー。さらに、数々の作品で共演している神谷と宮野から、お互いに抱いている印象を語ってもらった。二人の仲睦まじい様子を堪能してほしい。

『ドラゴンボール』は“教科書”のような特別な作品

ーー本作のキャストコメントを拝見したところ、お二人にとって『ドラゴンボール』はすごく特別な作品だとお見受けしました。ご自身にとって『ドラゴンボール』がどのような作品か、思い出と共にぜひお伺いしたいです。

神谷浩史(以下、神谷) どう答えていいか分からないです!(笑) 『ドラゴンボール』って教科書に載っているやつでしょ?載っていないんだっけ!?と思うくらい影響を受けている作品ですから。

宮野真守(以下、宮野) ははははっ。歴史上の人物に対して「どこが魅力ですか?」と聞かれているようなものですからね。もちろん語ろうと思えば語れますよ! でももうみんな知っているでしょ?みたいなところが『ドラゴンボール』にはあるんですよ。

僕なんかは物心ついた頃から悟空が近くにいて、悟空と一緒に修業していたこともありますし。重いリストバンドをつけて、シュシュシュシュッとかやっていました(笑)。

神谷 亀仙流のやつね(笑)。

宮野 そう(笑)。絶対に“気(体内エネルギー)”は使えると思っていましたし。

神谷 同じように“舞空術(空中を飛行する技)”できないかな……と思っていたなぁ(しみじみ)。

宮野 あははは。あと、悟空は行ったところなら瞬間移動でどこでも行けるじゃないですか。それで「瞬間移動はイメージする力が大事」と言っていたから、行ったところを事細かに思い浮かべる練習をずっとしていましたよ。中学生時代の登校中に(笑)。

神谷 中学生の時に?(笑)

宮野 マジでやっていました(笑)。

神谷 それくらい影響力があったということですね(笑)。

僕が小学生の時にマンガの連載が始まって、アニメ化して。中学生くらいの時には『ドラゴンボールZ』シリーズがアニメで放送していたのですが、受験勉強のために塾へ通っていたのでAパートまでしか見られなかったんですよ。だけど、Aパートを見ただけでも塾へ向かう自転車のペダルを漕ぐ足にはやっぱり力が入りましたよね。

宮野 あははは!

神谷 自分がものすごく強くなるような“気”を感じて、全速力で自転車を漕いで塾へ向かっていました。そんな作品に対して「どのような作品ですか?」と聞かれても、どう回答すればいいのか分からないんですよ(笑)。それほど影響を受けていました。

宮野 本当にそうですよね(笑)。だからこそ、今回参加できることをただただ嬉しく思っております。

好きなキャラクター「ピッコロさん」の魅力

ーー宮野さんはキャストコメントで「ピッコロさんは大好きなキャラクター」と仰っていたのが印象的でした。好きな理由も併せて教えてください!

宮野 まず「マジュニア(2代目ピッコロ大魔王、登場初期の名称)」って名乗っちゃう感じ、カッコ良くないですか?

一同 (笑)

宮野 あははは(笑)。おどろおどろしい悪の化身であるピッコロ大魔王を何とか倒した後、ピッコロ大魔王の口から生み出された卵でマジュニアが誕生するじゃないですか。最初はちっちゃくて可愛らしいのに、天下一武道会で再登場した時は一気にカッコよくなっていて。どんだけシュッとするの!?とビックリしました。

そのあとは悟空と宿敵関係になり、ラディッツの地球襲来で仲間になり、今やそんなに任せるの!?と思うくらい家政婦のような立ち位置に……。今作では悟飯の娘であるパンちゃんの面倒も任されていて、どんだけ孫家はピッコロさんの世話になるんだ!と(笑)。

ーーたしかにそうですね(笑)。

宮野 それくらい優しさに溢れていて面倒見がいいんですよね。

「フリーザ編」では、ほかのナメック星人たちとピッコロさんの関係性が掘り下げられていくのですが、それがさらにピッコロさんの深みを出していて。クールでカッコよくて、優しくて、深みがある。一言では言い表せないいろんな側面が、ピッコロさんの魅力だと思います。

ーー神谷さんが特に好きな『ドラゴンボール』キャラクターは?

神谷 僕もピッコロさんですね。マンガの連載を読んでいた時からずっと、「ピッコロ大魔王から生まれた新たな悪いやつ」という印象が拭えなくて。そんな悪いやつがすごく良いことをしているから、なんでこんなことしてるの?と違和感を覚えていました。そして、いまだにその違和感は強いのですが、同時にそこが魅力でもある。

それは古川(登志夫)さんの声が乗っているからだと思っていて。全面的に信用していいのかな?と、いつ敵になるか分からない独特な緊張感を持っているところに魅力を感じます。

懐かしさと新しさが融合した『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』

ーー『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』(以下、スーパーヒーロー)の台本を読んだ時の率直な印象はいかがでしたか?

神谷 まず「レッドリボン軍」を扱うんだ!と思いました。解決していなかったんだなと。

宮野 うんうん、思いましたね。

神谷 地球を滅ぼしかねない生物をつくるような悪の限りを尽くしたやつらを、やっとこさ悟空たちが倒すわけです。だけど、世の中的にはサタンが危機を救ったスーパーヒーローになっているという話で終わるのですが……実はレッドリボン軍の火種は残っていたという。そして今作では、新たに人造人間ガンマ1号・2号を生み出した。僕の知らない『ドラゴンボール』の歴史がここでまた誕生したんだ、と思いました。

宮野 僕は懐かしさを感じましたね。『ドラゴンボールZ』の後半からは悟空たちが宇宙で頑張る話が多かったと思うんですよ。ナメック星人やサイヤ人と地球人の力の差が凄すぎて、地球人は対抗できない蚊帳の外感があったなと(笑)。

だけど『スーパーヒーロー』では、地球を舞台にピッコロさんへスポットが当たり、初期のような日常のドタバタの中に事件が起こっていて。ピッコロさんがパンちゃんの面倒を見るところから始まるとか。そういう意味で懐かしい感じがしました。

神谷 たしかに。

宮野 ほかにも初期のキャラクターが登場するので、これまで『ドラゴンボール』を見てきたファンの方が掴まれるところがたくさんあると思います。

「原作者・鳥山明の渾身の一作」とキャッチコピーにもあるように、セリフ回しやギャグの言い回し、キャラクターの動かし方など、鳥山先生独自の演出がふんだんに盛り込まれています。それでいてルックは新しい要素である映像技術を取り入れている。懐かしさと新しさの融合がすごく面白いと思います。

ーー『スーパーヒーロー』ではお二人のお好きなピッコロさんが活躍しますが、ピッコロさんの見どころシーンもぜひ教えてください。

神谷 悟飯との共闘は見どころの一つですね。ピッコロさんと悟飯は師弟関係であり、悟飯を育てないと地球が危うくなるという名目のもと、ある意味では共闘関係にもありました。

そんな二人で共闘するシーンはこれまでも数多く描かれてきましたが、作戦失敗シーンも多くて。ピッコロさんが囮になっている隙にフルパワーの悟飯が敵を攻撃して倒す作戦を立てても、ピッコロさんが「今だ、悟飯!」と言っているのに悟飯は「ピッコロさん、怖い……」と何もできないとか(笑)。その当時からかなりパワーアップした悟飯とピッコロさんの共闘に注目してほしいです。

謎多き新キャラクター、ガンマ1号・2号

ーーお二人が演じるガンマ1号・2号は自身を「スーパーヒーロー」と名乗りながらも、悟飯やピッコロさんたちの敵のような存在で登場します。どんなキャラクターなのかご説明いただけますか……?

神谷 「スーパーヒーロー」です!

宮野 ははは(笑)!

キャラクターの説明は物語の核心に触れるので言えないのですが……僕と神谷さんの組み合わせから察せられるようにガンマ1号・2号は対比となるキャラクター性です。僕自身、台本を読む前から、“たぶん”僕がバカっぽいキャラかな?と思っていたのですが。

神谷 ははは! ”たぶん”ね?(笑)

宮野 やっぱり僕の方がバカというか、軽い感じのキャラクターでした。ははははっ。

神谷 そういう意味では、僕が演じるガンマ1号は実直で真面目なスーパーヒーロー、まもちゃん演じるガンマ2号は「スーパーヒーローたるもの」を研究しているスーパーヒーローという対比がありますね。

宮野 ガンマ2号はずっとポーズを取っていますしね。

神谷 ポーズはスーパーヒーローたるもの必要ですからね! そんなポーズを取り続けている2号と、「そういうものは必要ない」と思っている1号と思っていただければ。

ーーでは、ガンマ1号・2号の思う「スーパーヒーロー」というのは、「正義の味方」とは意味合いが変わってくるのでしょうか?

神谷 当然彼らなりに正義感は持ち合わせていて、それが彼らの言葉を通すと「スーパーヒーロー」になってくるのかなと。だけど、それが果たして「正義の味方」かというと、僕は似て非なるものだと思います。

なぜなら彼らをつくったのはDr.ミーユー(Dr.ヘド)なので……。

宮野 ははっ。Dr.イリノミーユー(笑)。 ※Dr.ヘドのキャストが入野自由さん

神谷 彼の趣味を多分に受け継いで作られた人造人間なので、彼らの抱くスーパーヒーロー像は結局Dr.ミーユーが抱いていたものだと思うんですよね。だから彼らがどこまで意思を持ってスーパーヒーローとして行動しているかは、正直分からない部分でもあります。

宮野 Dr.ミーユーに目的を与えられているわけですからね。その与えられた目的、自分たちが戦うべき道に対して非常に真っすぐな二人であることはたしかです。そんな二人が物語の中で変化していく様子は、映画を観ていただければ感じてもらえると思います。

神谷 そうですね。二人が物語にどう関わっていくのか、なぜ敵のように描かれているのかはぜひ劇場で確かめてみてください。

「まもちゃんは“スーパーヒーロー”を成立させられる人」

ーー神谷さん、宮野さん、お互いが演じるキャラクターへの印象についてはいかがでしょう。まずは神谷さんから見た、宮野さん演じるガンマ2号についてお聞かせください。

神谷 「スーパーヒーロー」です。その一言に尽きます。

宮野 角2本あるしね。

神谷 角2本あるし。

宮野 あははは!

神谷 要するに、まもちゃんには説得力がある。「自分はスーパーヒーローなんだ!」と声高々に言ってしまうと、ほとんどの場合は滑るんですよ。だけど僕含め、みんなまもちゃんのことが大好きじゃないですか。そんな魅力あふれる人が声高々に言うと「スーパーヒーロー」を成立させてしまう。そんな力を持っているのは、とてもすごいことなんです。

宮野 前にある作品で「宮野だから成立する」と言っていただいたことがあって。また言ってもらえてうれしいです。

神谷 まもちゃんは特別な役者さんなのだと思います。まもちゃんが「スーパーヒーローなんだ!」と言えば、だよね!スーパーヒーローだもんね!ってなってしまう。

宮野 むかし、「銀河美少年!」(※アニメ『STAR DRIVER 輝きのタクト』)って言っていたこともありまして……(笑)。

神谷 ね! どうかしているよね(笑)。

宮野 はははは(笑)。

神谷 でも、まもちゃんなら言いそうだもん(笑)。普通なら成立させられないことを成立させる力を持っている。2号もそういう人ですね。

ーー宮野さんから見た、神谷さん演じるガンマ1号についてはどうでしょう?

宮野 それこそ、2号が成立するのは1号がいてこそだと思っています。1号がいるからミッションをこなしていけるし、神谷さんだから僕も存分に甘えようと思えるんですよ。

今作のアフレコは僕が先の収録で、神谷さんの声がまだ入っていなくて。アドリブを入れなければいけないシーンがあったのですが、神谷さん相手なら絶対に大丈夫だろう!と思いきりやりました(笑)。

神谷 そう言ってもらえるのはありがたいですよね。

宮野 ずっと一緒にやってきたし、「まもちゃんだから」と言ってくれるのが分かっていたから。変な言い方かもしれませんが、神谷さんなら僕の尻を拭ってくれるので(笑)。僕の演じる2号を成立させてくれる安心感がすごくあったから、僕も思い切り2号を演じることができました。

「神谷さんの愛情が絶対的な安心感へ繋がっています」

ーーお二人はこれまで数多くの作品で共演していますが、お互いについて尊敬する点や魅力を感じる点を改めてお聞きしたいです。

神谷 まもちゃんは存在が「スーパーヒーロー」ですよね。

宮野 あははは(笑)。

神谷 だから、『スーパーヒーロー』のキャスティングを知った時も、なるほど!スーパーヒーローだもんな!と思いました。

常に“みんなが好きなまもちゃん”でいてくれる安心感があります。ずっと頑張っている。そこそこ付き合いが長くなっていることもあって、弱い部分を見せてくれたり甘えてくれたりするのですが、そういう時に「すごく頑張っているじゃん!」と伝えると「そうなんだよね!」とさらに頑張るんですよ。本当にすごいなと。本当のヒーローなんだなって思います。

宮野 神谷さんは一緒にいる時の安心感があると同時に、気づきを与えてくれる方でもあります。

神谷さんの安心感というのは、神谷さんが持つ作品・座組へのリスペクトや愛情から来るものだと思っています。台本を読み解くためにすごく事細かに理解を深めるのですが、その作品への理解度の深さや突き詰め方は本当に素晴らしい。神谷さんが「ここはこうした方がいい」と提案する時に僕も乗ることがあるのですが、そうすると作品を深められたり僕自身が演じる役のフィードバックもできる。特に『機動戦士ガンダム00』で神谷さん含め先輩方とご一緒したことで、作品の突き詰め方を意識できるようになりました。

とにかく神谷さんと一緒にいると勉強になることが多く、それが“気づき”にも繋がっています。いつも神谷さんの存在に助けられています。

ーー先輩である神谷さんも宮野さんに「助けられている」と感じることはありますか……?

神谷 もちろんありますよ。自分は0を1にすることができないから、今まもちゃんが言ってくれたように0から1を生み出している作品やスタッフの方たちに対するリスペクトがすごく強いんです。だからこそ、アフレコ現場ではみんなで同じ方向を向いて、作品を良い方向に導きたいと考えています。

アフレコ現場の空気感を一番大事だと思っているのですが、みんながバラバラの方向を向いている現場も当然あるわけです。そういう現場は同じ方向にしようよ!と思う一方で不安になることもあって。方向性の考え方が違えば、空気が悪くなることもあります。

だけど、まもちゃんがいると明るい空気のまま絶対に同じ方向を向くことができるんですよ。なぜかというと、まもちゃんはエンタメが好きでエンタメを理解しているから、どうすれば良くなるか・面白くなるかを常に考えて同じ方向を向いてくれる。全幅の信頼を置いています。

宮野 ありがとうございます……!

撮影 / 友野雄 取材・文 / 阿部裕華

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