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善戦か? 歴然たる差を見せ付けられた敗戦か? ブラジル戦での手応えと課題を手にキリンカップへ

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遠藤航 (c)スエイシナオヨシ

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善戦した。しかしながら、0-1でも、PKのみの失点でも、負けは負けである。勝点で言えばゼロだ。だが、得失点を考えれば最小限のマイナスにとどめた。6月6日・国立競技場で行われた『キリンチャレンジカップ2022』ブラジル戦はふたつの見方ができるゲームとなった。

6月2日・札幌ドームでパラグアイ代表を4-1で粉砕した日本代表は先発を8名入れ替えた。『FIFA ワールドカップ 2022』アジア最終戦を戦った主力メンバーでブラジルと対峙したのだ。一方4日前に韓国代表を5-1と圧倒したブラジルはスタメンを4人変更。GKアリソンやCBエデル・ミリトン、左MFヴィニシウス・ジュニオールら『UEFA チャンピオンズリーグ 2021-22』決勝を戦ったメンバーらが加わった。

守備は粘りに粘った。2分、ヴィニシウスの横パスをFWネイマールがヒールへつなぎ、右MFルーカス・パケタが放ったシュートはポストに救われた。19分、右SBダニエウ・アウベスのスルーパスを受けたFWラフィーニャの左足はGK権田修一が好セーブで防いだ。27分、カゼミーロのロングシュートのこぼれ球にネイマールが走り込んでシュートを放つも、権田が好反応を見せた。39分、ペナルティエリア手前中央でのラフィーニャの左足から巻いてくるFKは枠をとらえず、その2分後の裏へ抜け出したネイマールが右足を振り抜くも権田がファインセーブで立ち塞がった。

後半に入り、日本も盛り返したが、ブラジルは日本の倍のシュートを放つ。53分のショートカウンターからのネイマールのシュートをアンカーの遠藤航が頭で跳ね返せば、56分にはラフィーニャのドリブル侵入も強烈なタックルで阻止した。

57分ネイマールの浮き球のパスをアウベスがヘッドで落とし、ラフィーニャが右足を振り抜くも枠をとらえず、64分アリソンから一発でネイマールがシュートまで持っていくもCB板倉滉がブロック。

75分、カウンターからゴール前で好機を作ると、シュートの跳ね返りに途中出場のMFリシャルソンが詰めると、一歩遅れた遠藤と接触……PK判定が下された。77分、韓国戦でふたつのPKを沈めたネイマールが権田の逆を突きブラジルが先制。ついに均衡が破れたのだった。

86分、途中出場の左ウイング三笘薫がドリブルで侵入し、ボックス内でミリトンに倒されるもノーファウル。結局、18本ものシュートを放ったブラジルに対して、日本はシュート4本、枠内シュートはゼロ。流れの中で得点を許さず、ほんの少し勝点1が見えたものの、勝点3は遠い結果となった。

果たして善戦か、ノーチャンスの敗戦か。

敵将チッチ監督の「非常にハイレベルな試合だった。両チームともにテクニックの高さを示し競い合ったワールドカップレベルの対戦だったと思う。そんな中我々が何とか得点しようと執拗に得点を追い求めた結果、我々は報奨を得た、勝利を得たと思っている。アジアのサッカーはクオリティが高く、競争力がある」というコメントは外交辞令だろう。

では、日本代表監督はどう見たか。森保一監督は「勝てなくて非常に残念。選手たちも我慢強く、粘り強く戦いつつ、攻撃の姿勢を忘れないで、ゴールに向かっていくところを見せてくれたが、結果が伴わず残念に思う。惜しいではダメなのはわかっているが、選手たちが今できるベストをやり続けてくれたことは未来の勝点、勝利につながっていくと思う」とコメントした。

手応えと課題のどちらが大きいか問われると、指揮官はこう答えた。
「現段階での力の差は認めないといけないが、戦い方次第で勝点を取れる。今日は一発勝負で勝点はないが、リーグ戦なら勝点を取る、我慢強く戦って勝つことができたかもしれないという思いがある。選手たちは今のベストを試合にぶつけてくれた。チャレンジすること、アグレッシブに戦うこと、我慢強く戦うことをピッチ上で表現し、ポジティブな評価は持っている」

強豪国から勝点を奪う術を聞かれると、森保監督はこのように返答した。
「攻撃力かなと思っている。ボールを奪ってから攻撃で前に運ぶ、相手のプレッシャーを外す部分はもっともっと上げていかないといけない。ボールを保持しながら相手のブロックに入っていけるように攻撃力を上げないといけない。相手のプレッシャーよりも早くいいポジションを取って、ボールをつなげていかないといけない。守備は1失点したが、ボールロストしてからの切り替えや最後のところで粘り強く止めるという部分を強豪相手に見せてくれた。守備に関しては継続しつつ、攻撃力を上げられるようにトライしていきたい」

CB吉田麻也主将は「課題と収穫の両方ある」と振り返った。
「0-1だが、点差以上に実力差があった。守備やプレスの剥がし方の部分はプラン通りにできた部分もあるが、でも本番はこんなものではないと思う。本番ならば0-0で終えないといけないし、メンバーが代わったタイミングで0-1になってからは何とか1点をもぎ取って1-1に戻さないといけない。0-1という結果に慢心することなく、もっともっと突き詰めて精度も強度も上げていかないといけない。
崩し方はもっと持っていた方がいい。それにセットプレーはずっと改善しないといけないと思っている。シンプルに真ん中に入れてもスペイン、ドイツ、ニュージーランドが勝ち上がっても強い。多くのデザインを持っていかないといけない。
後半に入ってきた選手たちに、もっといい形でボールを配給して、1対1を仕掛けられる場面をチーム全体で作らないといけない」

アンカーの遠藤も手応えと課題の両面を口にした。
「相手もそんなにコンディションがよくなかったが、そんなに悪くなかった。最後1点を取られてしまったことを考えると、まだまだ力の差はあるなというところ。全体的には悪くはなかった。
(デュエルについて)1対1のところは日本代表としても強豪国に対してやれる。日本らしいしつこさは相手も嫌がっていて、ブンデスでこだわってやってきたことを少しは出せたと思う。
(PKについて)あそこにいたことは悪くなかったが、相手ももらいにいったところがある。遅れたところもあるし、相手寄りにいってしまったのが微妙でPKになったのかも。次へ向けての課題として受け入れたい」

右SBとして先発した長友佑都は手応えが上回ったようだ。
「これまで手も足も出なかった。太刀打ちできなかった。1点差で負けてしまって、1点差以上の差があったが、僕自身は今までよりは手応えを感じている。
中盤やサイドでパスミスからショートカウンターでチャンスを作られることが多々あった。後ろからのポゼッションの質をもっと上げないといけないのと、アタッキングサードで個で剥がせないとチャンスは作れない。パスであそこまでいけるが、最後のチャンスが作れない。最後局面を打開するところで大きな差を感じた。最終的には個で剥がせないと『W杯』は難しい。ベスト8へいくには最終的な個の力は伸ばさないと厳しいと思っている」

何度もドリブルを仕掛けた三笘はブラジルとの差を痛感した。
「ベンチから見ていて、ワンツーなど崩し方がわかっていて技術が高く、組織というよりもアイデアを持って崩しにくる。誰が出ても同じレベルを出してくる。
相手が疲れていた中フレッシュな状態で出たに対応されてしまった。ドリブル以外の選択肢も持っていてもよかった。自分の得意な形で仕掛けたが、スピードのところでまだまだ全然足りないなと思った。(ミリトンは)速いのはわかっていたので、ドリブルがどこまで通用するか測りたかった。2回仕掛けて止められたので、自分の力を測れた。強度が高いとは感じなかったが、雨もあり前半の方が強度があったと思う。それでも得点に絡めなかったので、まだまだレベルが低い。差が大きいと感じられたので、レベルアップしないと本大会では勝てない」

ブラジル相手に善戦すると同時に、歴然たる差も見せ付けられた日本代表。『W杯』まで半年弱、強化の道はひとつずつ課題をクリアしていくほかない。まずはブラジル戦で得た課題を『キリンカップサッカー2022』で解消しなくてはならない。『キリンカップ』は6月10日(金)・ノエビアスタジアム神戸でのガーナ戦、14日(火)・パナソニック スタジアム 吹田でのチリ戦orチュニジア戦が組まれている。チケット発売中。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

キリンカップサッカー2022のチケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2208862

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