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「ガイズ&ドールズ」井上芳雄らが開幕に喜び「これが最後の舞台だとしても満足」

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ミュージカル「ガイズ&ドールズ」囲み取材の様子。左から望海風斗、浦井健治、井上芳雄、明日海りお、演出のマイケル・アーデン。

ミュージカル「ガイズ&ドールズ」が、本日6月9日に東京・帝国劇場で開幕。これに先駆け昨日8日にゲネプロ、本日9日に囲み取材が行われた。

ミュージカル「ガイズ&ドールズ」は、1950年にアメリカ・ニューヨークのブロードウェイで初演され、日本でも上演が重ねられてきたコメディ作品。今回の上演版では、訳詞・日本語台本を宝塚歌劇団の植田景子、演出をマイケル・アーデンが担当する。

劇中では1930年代のニューヨークを舞台に、天才ギャンブラーのスカイ・マスターソン(井上芳雄)と救世軍の軍曹のサラ・ブラウン(明日海りお)、ギャンブラーたちの仕切り役であるネイサン・デトロイト(浦井健治)、ナイトクラブのダンサーであるミス・アデレイド(望海風斗)という、2組のカップルが描かれる。ネイサンは婚約者・アデレイドへのプレゼント代と賭場代を得るため、「自分が指名した女を落としてみろ」とスカイに賭けを申し込む。自信たっぷりのスカイだったが、ネイサンが指名したのは堅物のサラで……。

冒頭、オーケストラがオーバーチュアを奏でると、舞台上の紗幕にはスタッフやキャストの名前が映し出され、観客はまるで古い映画を観ているかのような感覚に。幕が上がると、ステージにはニューヨークの街角が広がっている。色とりどりの衣裳をまとったキャストは音楽に乗せて軽快に踊り、人々の人生が交錯するさまを描き出すと共に、スカイやサラたちの物語の始まりを予感させた。

軽薄なスカイは「女なんてみんな一緒」と言ってはばからないが、サラへの恋をきっかけに変わっていく。井上はスカイの心境の変化を、スカイがサラを見るまなざしや彼女に触れる仕草から垣間見せた。明日海は、信心深いサラがスカイの振る舞いにぷりぷりと怒るさまをキュートに演じつつ、酒に酔ったサラが乱闘するシーンではコミカルにパフォーマンスし、その落差で観客を沸かせた。

14年間も婚約しているネイサンとアデレイドは、息ぴったりの掛け合いで笑いを誘う。浦井はなかなか結婚に踏み切れないネイサンを、少し情けないがチャーミングな人物として演じる。望海は抜群の歌唱力で会場を盛り上げ、アデレイドがネイサンとの関係に悩むあまりに風邪をこじらせるというソロ曲で観客を笑わせた。

囲み取材には井上、明日海、浦井、望海、演出のアーデンが出席。井上は稽古を振り返り、「僕らは正面を向いて演技しがちですが、(演出のアーデンから)『お互いを見て、ただ役として生きてほしい』と言われた。今回は原点に戻ってお芝居ができている気がします」と手応えを語る。浦井は「井上さんのスカイが空まで届くほどカッコいいので注目して」と目を輝かせ、「チケットが取りにくいそうで、このご時世で本当にありがたいこと。望海さんのアデレイドとどれだけふざけられるかが勝負なので、舞台のスパイスになれたら」と意気込んだ。

浦井は久しぶりに井上と舞台で共演することについて「芳雄さんの“座長っぷり”が素晴らしくて。演出のマイケルさんが考えをまとめているとき、そっとバナナをあげていた」とエピソードを披露。浦井についてコメントを求められた井上が「浦井くんのことはよく知らないですけど……」と冗談を飛ばすと、浦井が即座に「なんでですか!?」とツッコミを入れる。井上はその後改めて「浦井くんはさらに“一生懸命度”が増している。僕らもそれぞれ経験を積んできたんだなと。僕も彼も、みんなが集まっている輪から少し外れたところにいるようなことがあって、なんとなく『同志だな』と思っています」と浦井にほほ笑みかけた。

宝塚歌劇団の同期だった望海との共演に、明日海は「不安もありましたが、望海とのシーンでは、女性のキャラクターらしく自然体でいられる気がします」と話す。望海も「宝塚音楽学校に戻ったような感覚です」とうなずき、「実は私は、芳雄さんと明日海の共演シーンにドキドキで。『ああ、明日海りおが(女性役を)……』という気持ちでした(笑)」と明かした。また井上の妹はかつて宝塚歌劇団に在籍しており、明日海、望海と同期でもあった。井上はこれに触れて「お2人も僕の妹のようなもの(笑)」と言い、「男役だった方が“女優”に移行していく期間が大好き。そんなタイミングで2人と共演できてうれしい」と喜びをのぞかせた。

アーデンは「70年以上前に作られた作品ですが、人のあり方は今も変わっていない。登場人物は互いに譲り合いながら寄り添っています。譲り合いは、現代においても学ぶべきこと」と話し、「良い俳優は、国にかかわらずどこにいてもわかる。この4人(井上、明日海、浦井、望海)はすぐに素敵な俳優だとわかりましたし、カンパニー全体から仕事に対する美学や誠意を感じました」と、座組のメンバーに熱い信頼を寄せた。

最後に井上が「ブロードウェイで舞台を観ているかのようなクオリティです。引退するわけじゃないけど(笑)、『もしこれが僕の最後の舞台だとしても満足』と思うくらい。『ここにいられて幸せ』と思っていただける舞台を届けられると思います」とメッセージを送り、囲み取材は終了した。

上演時間は休憩25分を含む3時間を予定。東京公演は7月9日まで行われ、その後は16日から29日まで福岡・博多座で上演される。

ミュージカル「ガイズ&ドールズ」

2022年6月9日(木)~7月9日(土)
東京都 帝国劇場

2022年7月16日(土)~29日(金)
福岡県 博多座

原作:デイモン・ラニヨン
音楽・作詞:フランク・レッサー
脚本:ジョー・スワリング、エイブ・バロウズ
訳詞・日本語台本:植田景子
演出:マイケル・アーデン
振付:エイマン・フォーリー

キャスト

スカイ・マスターソン:井上芳雄
サラ・ブラウン:明日海りお
ネイサン・デトロイト:浦井健治
ミス・アデレイド:望海風斗

ナイスリー・ナイスリー・ジョンソン:田代万里生
ベニー・サウスストリート:竹内將人
ラスティー・チャーリー:木内健人
ハリー・ザ・ホース:友石竜也

ビッグ・ジューリ:瀬下尚人
カートライト将軍:未沙のえる
アーバイド・アバーナシー:林アキラ
ブラニガン警部:石井一孝

青山航士、荒川湧太、井上真由子、岡田治己、伽藍琳、輝生かなで、工藤広夢、後藤裕磨、酒井航、塩川ちひろ、篠本りの、シュート・チェン、鈴木万祐子、富田亜希、中嶋紗希、永松樹、焙煎功一、橋田康、福永悠二、藤森蓮華、本田大河、Macoto、松島蘭、松田未莉亜、吉田彩美、米澤賢人、茶谷健太

※茶谷健太はスウィング。

※2022年7月8日追記:6月21・22日公演と26日から7月9日までの公演は、新型コロナウイルスの影響で中止になりました。