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是枝裕和がソン・ガンホとの共同作業振り返る「最後の最後まで一緒に走ってくれた」

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是枝裕和

第75回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞とエキュメニカル審査員賞を受賞した「ベイビー・ブローカー」の凱旋記者会見が、本日6月13日に東京・スペース FS汐留で行われ、監督の是枝裕和が出席した。

本作は自らの手で育てられない赤ん坊を匿名で預けられる、“赤ちゃんポスト”をきっかけに出会った人々の旅路を描いた韓国映画。裏稼業として赤ん坊を高く売る“ベイビーブローカー”の男2人が、一度は赤ん坊をポストに置いていった女性とともに、養父母探しの旅に出るさまがつづられる。ソン・ガンホが借金に追われながらクリーニング店を営むサンヒョン、カン・ドンウォンがポストの置かれた施設で働くドンスを演じたほか、イ・ジウン(IU)、ペ・ドゥナ、イ・ジュヨンがキャストに名を連ねた。

ソン・ガンホは韓国人の俳優として初めてカンヌ国際映画祭の最優秀男優賞を受賞した。是枝は、その瞬間の思いを「『なるほど。これが、この作品にとって最高のゴールなんだ』と名前を呼ばれた瞬間に気付きました。その日の夜はパク・チャヌク監督のチームと合同でお祝いをしました。みんなが幸せな夜でした」と述懐。これまでソン・ガンホと組んできたパク・チャヌク、ポン・ジュノ、イ・チャンドンといった韓国の監督の名前を挙げ「どの監督の作品で(賞を)獲ってもおかしくない俳優。韓国の監督たちには『僕らのソン・ガンホ!』という気持ちがどこかにあるんじゃないかなと思うので(笑)、この映画にとってはラッキーでしたが、ちょっと申し訳ない気持ち」と冗談交じりに話した。

是枝は映画祭が開催されたフランスから直接、渡韓し、6月8日に封切られた韓国でプロモーション活動を行った。初日の興行成績では「犯罪都市2(原題)」や「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」を抑え、初登場1位という好発進。全国1600スクリーンという大規模な公開に「27年前に単館から始めた監督なので。そんなスクリーン数で大丈夫なのか……?というのが正直な気持ち。僕が持ってるキャパシティははるかに超えている。でも大丈夫でした」とほほえみながら、「ソン・ガンホさんにとってはコロナ明けの復帰作。お客さんに入っていただくのは、何よりのご褒美。皆さんもうれしそうでした」と喜んだ。

現場でのソン・ガンホについて聞かれると「本当に楽しい人。その場にいると、みんながニコニコしちゃう。そんな俳優はなかなかいない」と振り返る。撮影が始まる前にはポン・ジュノと話す機会があったそうで「いろいろ不安はあると思うけど、ソン・ガンホが現場に来たらすべてがソン・ガンホのペースで進んでいく。何も心配はいらない」とアドバイスをもらったそう。是枝は「その通りでした」と話し、ソン・ガンホはほぼ毎日のように予定よりも30分から1時間早く現場にやってきて、すでに編集された素材をモニターで観ていたことを明かす。

是枝は「基本『最高だった』とすべて褒めてくれる。褒めてくれるけど『もしかしたら、あのセリフは今使ってるテイクじゃなくて、2つぐらい前にいいのがあったと思う。もう一度比べてみてくれ。最終的な判断は監督に任せる』と。基本毎日。それは、とても助かりました」と回想。「彼(の演技)はテイクごとに違う。僕もニュアンスはつかめますが、言葉がわからないので、どこまで追えてるかがわからない。そこを補ってくれてるのかな、と思いました」と述べつつも「意外と、どこの現場でもやっているそうで(笑)。自分のお芝居に対する基準がかなり高い。それをクランクアップまで続けてくれた。本当に頼りになる存在」と称賛する。ソン・ガンホは最後の仕上げ作業が行われる編集の現場にも姿を見せ、余韻のためにサンヒョンの“あるセリフ”を途中で切ることも提案したそう。是枝は「そこは実際に切って、結果的に本当によくなった。最後の最後まで一緒に走ってくれました」と感謝をつづった。

「ベイビー・ブローカー」は6月24日より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国でロードショー。

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